兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 耳鼻科
院長ブログ

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子犬の耳疥癬立て続けに来院

先日からブルドッグの女の子とトイプードルの男の子と、立て続けに2頭の子犬から耳疥癬が検出されて、現在治療中です。

ブルドッグの女の子は直接ブリーダーさんから購入されたようですし。トイプードルの男の子はペットショップでの購入だったようですから。それぞれ別々の感染ということになります。

見つかった耳疥癬虫は、耳垢を顕微鏡で観察すると、こんな感じで見えます。

最近は、ブリーダーやペットショップで購入した子犬子猫で、さすがに回虫や鉤虫のような線虫と呼ばれる寄生虫に感染した個体は見ることがほとんど無くなりましたが。
耳疥癬の感染は時々見つかります。

耳疥癬は、通称ミミダニというダニの一種(疥癬虫)に感染することにより、耳の中に特有の黒い耳垢が多量に増えて、猛烈な痒みを生じる。いわゆる寄生虫性外耳炎という病気です。

耳疥癬の治療は、疥癬虫を殺すお薬を皮下注射で1週間間隔で3回投与することと。耳の炎症を抑えるお薬を点耳することで、比較的簡単に行なうことが出来ます。

子犬たちは早くに診断がついたので、外耳炎が慢性化して難治性になることはないと思いますが。

犬猫を販売される業者さんについては販売する子犬子猫の健康管理について万全を期していただきたいと切に願うものであります。

長時間作用型外耳炎治療薬とその限界

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その外耳炎治療薬は、オスルニアと言いまして。 割りと最近認可された外用薬ですが。

薬屋さんの曰くは、 外耳炎を患っている子が来院したら。 とりあえず、 このお薬を点耳(耳の穴の中に注入することをこう表現します)します。 この時に耳垢とかはそんなに頑張って除去しなくても良いということです。

オスルニアを1回点耳したら、内服薬を出す出さないは別として。 患者さんをお帰しして。 1週間後に来院するまで自宅では何にもしなくても良いということです。

初診で1回点耳して1週間経過して再来院して来た時に。 再度オスルニアを点耳します。

2回目の点耳の後も、そのまま帰宅させます。

その後も自宅では何にもしなくてもよろしいとのことです。

1週間後に3回目の来院の時に、治っていることを確認して治療終了となるということです。

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初めてそのことを聴いた時には、俄かには信じることが出来ませんでした。

それまでの外耳炎の治療は、最初の診察で耳垢を洗浄除去した後、自宅で毎日お薬を点耳し続けることが標準的なやり方ですから。

ものは試しにと、 外耳炎で来院して来た子に、 このオスルニアを使用してみたところ。

薬屋さんの言う通りに、 自宅で何もしなくても外耳炎は合計3回の診察で治りました。

その後、数頭オスルニアを使用してみましたが。

何頭目かに、オスルニアを使用しても治らない子に遭遇しました。

その原因を探るべく。 その子の耳垢の細菌培養と薬剤感受性試験を実施してみたところ。

オスルニアに使用している抗生物質に耐性を持つ細菌が感染しているということが判明しました。

オスルニアというお薬は。 基材やお薬の作り方に特殊な技法を用いて、耳の穴の中でお薬が長時間作用し続けるようにしたものだと思います。
使用している抗生物質が、今まで獣医療で使われて来なかった種類の物なので、最初の数例はたまたま薬剤耐性菌に出合う確率が低かっただけで。 順調に治ってくれたものの。

いつかはこのお薬に反応しない細菌による外耳炎に行き当たることは当然と言えば当然だと思います。

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これはオスルニアが利かない外耳炎の耳垢の細菌培養と薬剤感受性試験の例です。 上の画像の赤い矢印の先がオスルニアに使用している抗生物質を含ませているろ紙です。

ろ紙の周辺に、点々と見えているのが細菌でして。 薬の存在に関係なく生えていることは。 その薬が利いていないということです。

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これは、オスルニアが利いている外耳炎の耳垢の培養です。 矢印の先のろ紙の周辺には小さなツブツブの細菌は生えていません。

というわけで。 夢の新薬と言えども抵抗性のある細菌が原因の場合、治療には役に立たないということが判明してしまいました。

また。 これは従前からそうなのですが。 外耳炎を再発する動物は、基礎疾患としてのアレルギー体質や、免疫力低下などの素因を有しているわけです。

外耳炎の子が来院した場合には。 必ず基礎疾患の有無にも思いを致しながら診療にあたる必要があります。

ではまた。

 

 

慢性外耳炎の悪化

遠く兵庫県の東部から私のHPを見られて来院されたウェルシュテリアとその飼い主様のお話しですが。

このウェルシュテリアは、今年10才になる男の子で未去勢です。

昨年末、およそ10ヶ月前に黒い目ヤニと黒い耳垢が出て、食欲もひどく低下するような状態になったそうですが。近医にて治療し治っていたそうです。

それが、また再発したそうで、こちらに受診する11日前にやはり近医にて治療するも、2週間利くという抗生物質の注射も効を奏さず。食欲も無くなり、飲水もしないような状態になって。入院したそうです。その時には体温も40℃にまで上昇し。左耳の付け根が異常に腫れたのを切開し排膿したそうです。

しかし、切開排膿の後も全身状態は改善しなかったそうで。

そちらの獣医さんは、全耳道切除をしなければならないと説明してくれたそうですが。使用する抗生物質は、せっかく薬剤感受性試験を実施しているのにもかかわらず。明らかに利いていない薬剤を、「生体内と検査の環境とは違うから。」ということで使おうとしていたということです。

さすがに飼い主様は、おかしいのではないか?と疑問を感じられたらしく。私の動物病院を受診することにしたとのことです。

画像は、私が受診当初のを撮影し忘れてまして。飼い主様に送っていただいたものですが。受診初日の左耳とその周辺はひどく壊れていて、その付近を通っている顔面神経も侵されているらしく。眼の動きも明らかにおかしいものでした。

耳は、左右共垂直耳道はひどく石灰化しているようで。耳道は塞がっており、外から触るとカチカチに硬化しています。

切開排膿した大きな穴から滅菌綿棒をそっと挿入して材料を採取し。院内での細菌培養と薬剤感受性試験を実施しました。

翌日出た結果は、12種類調べた薬剤の内、ファロペネムとミノサイクリン、ドキシサイクリンの3種類のみがしっかりと効果ありで。フラジオマイシンがまあまあ利くというものでした。

そこで、今までの経験から、内服しても消化器症状などの障害の出難いファロペネムを内服しながら、フラジオマイシンの点耳をしてもらうことにしました。

同時に、この年齢になって急に感染に弱くなったのであれば。何らかの基礎疾患を有している可能性があると疑って。院内のスクリーニング血液検査を実施しました。

血液検査では、高コレステロール血症とアルカリフォスファターゼの軽い上昇が判明しました。

とりあえず、高コレステロール血症に対して、甲状腺の機能の検査を実施しましたが。甲状腺関係のホルモン濃度は正常でした。

残るは副腎機能の検査ですが。当初聴いていた少し大目の飲水量が、治療をしているうちにそんなにもおおくは無いという感じになりましたので。副腎機能の検査は経過をみて実施することにしました。

耳の経過ですが。感受性試験に基づいた投薬を実施したところ、来院1週間目には穴は塞がりつつあって。食欲元気さも回復して来て。

更に2週間投薬を続けたところ。排膿していた穴は完全に塞がって、元気食欲も正常に復したということです。

しかし、耳道を触診してみると、ひどく硬い状態はそのままですし。耳の穴も塞がったままです。

このままの状態で満足していると、またぞろ同じ感染が燃え上がって大変な状態になる可能性大ですから。全耳道切除をお勧めしました。

全耳道切除は、正直自分でやるには気の重い手術ですから。大阪府立大学獣医臨床センターの外科系の教授に連絡してお願いすることにしました。

飼い主様は手術に前向きですので。この11月11日に府立大学に行って、おそらく東部のCT検査くらいは実施して。後日に日を決めて全耳道切除ということになると予想しております。

全耳道切除を行なっても、鼓膜から奥の中耳内耳に問題無ければ、聴力もかなり残りますから、生活に不便は無いでしょうし。耳道を取っても耳たぶは触りませんから外見上の違和感はありません。

ミッチー君、もう一度元気になって飼い主様と幸せに過ごせるようになってもらいたいと切に願っております。

 

耳疥癬

犬と猫には耳に寄生する耳疥癬という寄生虫がおります。命がどうこうという寄生虫ではありませんが。

耳疥癬に寄生されると、激しい痒みを特徴とする外耳炎になって。対応を誤ると慢性外耳炎に移行し、ずっと外耳炎で苦しむようになる可能性があります。

今回の子は、生後2ヶ月に満たないラブラドール・レトリーバーの子犬です。

ワクチン接種で来院されて、気になる点が無いかどうか?いろいろ訊いているうちに、耳が汚れていて、掃除をしてもまたすぐに汚れるという症状を聴取しました。

さっそく耳の中を点検してみると。黒っぽい耳垢があります。

拡大してみると。

こんな感じです。

その耳垢をスライドグラスに塗り拡げて、顕微鏡で観察すると。

こんな虫が見えました。

動画で見ると。かなりのスピードで走り回る虫です。

YouTube Preview Image

耳疥癬を発見したら。その治療は。まず疥癬の特効薬とも言うべき注射を、7日置きに3回皮下注射します。
ただ、この注射はコリー、シェトランドシープドッグのようなコリー系の犬種には、遺伝子検査でこの薬が大丈夫かどうか?検査をして大丈夫の結果が出ない限り使ってはいけません。

注射を行なったら。耳掃除を実施します。耳用の洗浄液を使って耳道洗浄を行なった後に、炎症を抑える点耳薬を使用します。

耳掃除は最初の頃は毎日した方が良いですが。耳疥癬が注射で死滅して、炎症が治まって来ると、日を開けていっても大丈夫です。

こうしてきちんと治療すれば、耳疥癬は後に障害が残ることなく治ります。

犬猫の外耳炎を発見したら、面倒でも耳垢の顕微鏡検査をまめに行なった方が良いと思います。

耳疥癬は、自然に発生することは無いですから。この子の耳疥癬もペットショップかブリーダーのところで感染したものであると思います。犬を販売するプロの方は、動物取扱業の許可制度が実施されてからはかなりレベルは上昇したように感じていますが。

伝染病や、腸内寄生虫、耳疥癬のような古典的な感染症の管理をきちんとして欲しいと思います。

 

09/27 ビーグル雑の耳血腫

今日は、県西部の街で、グリーンピース動物病院から自動車で1時間強の遠いところから、ビーグル雑をお連れの方が来院されました。

このビーグル雑は、クロちゃんと言いまして。地域で増え過ぎた猪や鹿を退治するという農林業に大切な仕事をやっている名犬です。

このクロちゃんは、昨日から左耳の耳介が異様に膨らんで痛そうにするとのことです。

数年前にも反対側の右耳が、やはり耳血腫になって、それはもう少し近くの動物病院で手術によって治ったということです。

左耳は、画像のようにプックリと膨れています。

比較の対象になるように、過去に手術をして現在は正常になっている右耳の耳介も掲載してみます。

この耳血腫の原因ですが。ほとんどの場合外耳炎を慢性的に患っていて、すごく痒いので頭を激しく振ることにより、耳介軟骨が折れて出血するというのが原因なのです。

従って、その根本原因である外耳炎を治療しなければ、耳血腫そのものをいくら治療しても犬の苦しみは無くなりません。

耳血腫も早目に手術療法をするのも一つの解決方法ではありますが。最近のトレンドとして、猫インターフェロンの注入とステロイドホルモンの内服の併用で切らずに治すというやり方が取られるようになっております。

ただ、インターフェロン療法も反応が著しく悪かったり、遅かったりする場合には、手術に移行する方が良い場合もあると思います。

また、インターフェロン療法であっても手術療法であっても、外耳炎の原因である細菌とかマラセチア菌とかをコントロールしなければならないわけであります。

飼い主様には、以上のことなどをひと通りお伝えして、手術療法?インターフェロン療法?のどちらを選択されるのかをお尋ねしたところ、当面インターフェロン療法を選ばれました。

クロちゃんについては、まず耳道を滅菌綿棒で探って、細菌培養と薬剤感受性試験の材料を採取し、インターフェロンを生理食塩液で溶解して、1バイアル10万メガユニットを膨れた耳介の血腫内に注入しました。

一応、メーカーの説明書きには、初回の注入時には血液はむしろ抜かない方が良いとのことであります。

ステロイドの内服薬は1週間分、抗菌剤は培養と感受性試験の結果が出るまでの繋ぎの期間分処方してお渡ししました。

インターフェロン注入は、5日から7日毎に実施する予定です。普通だったら1回から4回の注入で治癒するということです。

クロちゃん、速やかに治りますように。

09/25 久々の投稿です。 こじれた外耳炎です。

9月8日にやる気の無いゴーヤの日記を書いてから以降、ブログの更新をサボっておりましたので、私の健康状態を気遣ってのメールとか入るようになってしまいました。
ご心配をおかけしたかとは思いますが、私自身は元気しております。

今日の症例ですが。
昨日初診で来院された12才のチワワの女の子です。高速で約30分くらいの少し遠方の街から来られました。

1年と少し前から、右耳が外耳炎になって、自宅からは少し離れた隣の町の、獣医さんが10人も働いているような大きな動物病院に通っていたのだが、治療しているにも関わらず、悪化して行って。外耳道にポリープが多発して何回か切除したのですが、もうボロボロになってしまっていて。
先日自宅の近所の動物病院に受診してみたら、「外耳炎がこじれてどうしようもないので、全耳道切除術が必要です。うちでは出来ませんので、どこか出来るところを探して行って下さい。」と言われて困っているとのことであります。
その上に、悪い右耳と同じ方の右眼も最近ひどく膿のような眼脂が出て来るようになって、白目が赤く充血して来たので、私の動物病院にかかってみようと思われたそうです。

右耳の状態は、確かにドブのような状態です。検耳鏡で覗いて見ますが、奥の方は膿のような分泌物が充満して何にも見えません。

「全耳道切除ということになると、さすがに私の動物病院でも手に負いかねますので、大阪のネオベッツVRセンターを紹介することになると思いますよ。」とお話しをしながら。
でも、一度も細菌培養と薬剤感受性試験とかの検査も実施したことも無いということですし。

とりあえずのそんな検査を行なって、その結果に基づいた投薬と処置をやってみて、少し落ち着いたところで、大きな手術が必要かどうか?判断させていただくことにしました。

昨日は細菌培養と薬剤感受性試験の材料を採取して、帰っていただいて。
今日の午前診に、検査結果が出たのを見に来ていただきました。

薬剤感受性試験の結果では、それなりに利く薬も見つかっています。
しかし、何でこじれたのか?基礎疾患は無いのか?少々疑問も感じます。

いろいろと話しを聴いているうちに、やけに水を飲んで、尿の量も異常なくらい多いという話しが出て来ました。

確かに、体形は随分太目です。

副腎皮質機能亢進症の話しとかして、基礎疾患を調べることが、急がば回れで、耳や眼の感染症を治すことに繋がるということを理解していただいて。

院内のスクリーニング検査を実施させていただきました。

血液検査の間に、眼の状態を診察して、角膜に傷が無いことを確認し、耳道洗浄と薬剤の点耳も行ないます。

約30分後に得られた血液検査の結果では、総コレステロールとアルカリフォスファターゼがそれぞれ382mg/dlと927U/Lという高値が認められました。その他の数値では、血小板数が64万7千と高値です。
血小板数は慢性感染の存在によるものだろうと思います。総コレステロールとアルカリフォスファターゼの数値は、如何にも副腎皮質機能亢進症を疑わせるものです。

しかし、飼い主様も、今日のこの結果で、これからどうなって行くのだろうか?と心配になって来ているみたいですので。
一応副腎皮質機能亢進症には二つの原因があって、その鑑別までしようと思えば今から2回ほど血液検査を行なわなければならないこと。治療はその原因によっては手術であったり、終生続く投薬であったりすることなど、いろいろ説明してさしあげて。資料もお渡しして。

次回来院する時までに、飼い主様としてどこまで突き詰めるおつもりなのか?を聴かせていただくことにして、今日のところは帰っていただきました。

今日の投薬は、薬剤感受性試験に基づいた外耳炎を治療するための内服薬と点耳薬、耳の洗浄液、結膜炎の治療のための点眼剤2種類であります。

次回来院の際には耳も眼もそれなりに改善していることと思いますが。出来れば副腎の詳しい検査をさせていただいて、チワワちゃんの今後の状態が上手く管理出来るようになったら良いと思います。

09/01 猛犬の外耳炎

和犬のサンド君は、7才になったばかりの男の子なのですが。この犬種に有り勝ちな性格、即ち異常に臆病でなおかつ攻撃性が強いために、先日から患った外耳炎の治療をなかなか許してくれません。

飼い主様でも、嫌なところを触ろうとすると、咬み付いて来ますので、危なくて処置のしようがありません。

仕方が無いので、飼い主様と相談の上、深い鎮静をかけて、耳の中から細菌培養の材料を取るのと、徹底的な耳掃除を敢行することに致しました。

本日午後に、胃の中を空にした状態で来院してもらいます。

何せ、飼い主様もきちんと保持出来ない子です。
当院で「仲良し君」と呼び習わしている保定棒で動きを止めておいて、鎮静剤を2種類組み合わせた注射を筋肉内に打たせてもらいました。

注射の後、10分もしないうちに横たわって、なすがままという状態になります。

まず耳の中を覗いて見ます。

左耳は、出口付近にまで膿が出て来てました。矢印の先に膿が見えています。

右耳には、膿こそありませんでしたが、パサパサとした黄粉が一旦固まってまたバラケたような耳垢が沢山付着していて、耳の皮膚はガサガサです。

滅菌生理食塩液で湿らせた滅菌綿棒を膿のある左耳に挿入して、培養の材料を取ります。

綿棒に付着した汚れは、培養の基材に塗り付けて、恒温室で培養すると共に、抗生物質感受性試験も同時に行ないます。
明日の夕方には感受性試験の結果が出ていると思います。

次いで、耳掃除を徹底的に行ないます。

まず耳の中に専用の洗浄液をたっぷりと注いで、ティッシュを当てがって入念にマッサージします。

更に、綿棒を使用して、外耳道の中の耳垢を丹念に除去します。


耳の中が綺麗になったら、抗菌剤、抗真菌剤、ステロイドホルモンの合剤の軟膏を注入して、耳道をマッサージして、お薬を耳の中に塗り拡げてやります。

片方が終わったら、もう片方も同じように耳掃除と点耳を実施して。

全部終了したら、鎮静剤の拮抗薬を筋肉注射して醒ましてやります。


小型犬で寒い季節だったら、入院室で保温しながら醒ますのですが、10キロ台半ばの中型犬で、まだまだ外気温は暑いですから、待ち合い室で飼い主様に見てもらいます。

拮抗剤を注射して10分も経つと、起き上って来ます。
十分に覚醒したのを確認してから帰宅していただきます。


明日の午後診に、飼い主様だけ来院していただいて、培養と感受性試験の結果に基づいたお薬を処方することになると思います。

しかし、サンド君、今回はそれで切り抜けても、再発予防のための日々の耳のホームケアが出来ないと、また再発する可能性があります。

7才の今更ではありますが。飼い主様にはサンド君の身体を何処でも自由に扱えるようになって欲しいです。
でも、難しいし、無理かな?

私としては、与えられた条件の中で何とか疾病を治療して行くしかありません。
猛犬の外耳炎の治療のやり方を、今日は書いてみました。

ではまた。