兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2015 8月 18
院長ブログ

日別アーカイブ: 2015年8月18日

犬の気管虚脱

犬、特に小型犬の気管虚脱は、比較的診ることの多い疾患です。

今回の子は10才になるヨークシャーテリアの女の子ですが。 昨日から来客に吠えたりした後ひどく咳き込むという稟告で来院しました。

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胸部聴診では心雑音は無く。 呼吸音も特に異常は感じられません。 一応胸部エックス線検査を行ないました。

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すると、肺に空気を送る管状の構造である気管が赤い矢印の付近でつぶれているのが判りました。

この状態を気管虚脱といいまして。 呼吸するたびに空気が狭いところを通過しなければなりませんので。 まあ、例えて言えばストローで息を吸ったり吐いたりするような気分で苦しいのだと思います。

気管がつぶれる原因は、気管輪という軟骨のリングの弾力性が失われて腰が抜けたようになってしまうということですが。 やはり遺伝が関与するのではないか?と私は疑っています。

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この画像は別のわんちゃんのものですが。 気管虚脱がひどくて呼吸がひどく苦しくなったので、外科の専門の先生に気管を拡げるステンレスメッシュのステントを挿入してもらったものであります。

しかし、 このように外科的対応をしなければならない気管虚脱はむしろ少ない方でして。 ほとんどの気管虚脱は気管支拡張剤というお薬を内服することにより普段の生活に支障がない程度には呼吸が楽になることが多いです。 その場合、投薬は一生続くと考えなければなりません。

今回のヨークシャーテリアの子も、気管支拡張剤を処方して様子を見ることにしました。

投薬で症状が改善して元気になることを期待しているところであります。

ではまた。