兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2018 6月 01
院長ブログ

日別アーカイブ: 2018年6月1日

未去勢犬の精巣腫瘍

昨年から未去勢牡犬の精巣腫瘍の症例が続いています。

昨年夏から1年弱の期間で、大方7例ほど手術したでしょうか?

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精巣腫瘍の多くは、片方の精巣が大きくなったことにより発見されます。反対側の精巣は、萎縮して小さくなっていることが多いです。

その発生頻度はかなり多く、未去勢であれば全腫瘍発生件数の2番目にくらいにカウントされると記憶しています。

当然ですが、去勢している犬では発生することはありません。

なお、精巣腫瘍は停留精巣では発生リスクが正常に陰嚢に下りた精巣の約10倍に上昇するということです。

今回の症例は停留精巣ではありませんでした。

この1年で手術した7例の精巣腫瘍は、4例が停留精巣で、3例が正常に陰嚢に下りた精巣でした。

この子は、飼い主様は腫瘍の存在に気が付いてなくて。狂犬病予防注射とフィラリア予防で来院した際に、犬を保定する動物看護師が左側の精巣が巨大化しているのに気付いたというものです。

すぐにフィラリア予防の前の血液検査を検診付きのコースにして。その他必要な術前検査を実施し。

後日全身麻酔下で精巣腫瘍摘出手術を行ないました。その際に大きくはなっていない反対側の精巣も必ず摘出します。巨大化した精巣から出る異常なホルモンの影響を受けて反対側の精巣もダメージを受けていることが多く。最悪はそちらも腫瘍化していることがあるからです。

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手術は気管挿管とガス麻酔、静脈カテーテル留置と静脈輸液、各種麻酔モニターの装着は必須で行ないます。

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摘出した精巣は、片方が異常に大きくなっていましたし。反対側もどちらかというと萎縮気味でした。

これを病理検査に出します。

病理検査の結果によっては、約半年にわたる抗癌剤の投与を考慮しなければなりません。

牡犬の去勢手術、牝犬の避妊手術については、健康な動物にメスを入れることを嫌って実施したくないという飼い主様が居られますが。

最近の獣医学の常識では、繁殖予定の無い犬猫の早期の避妊去勢手術は病気の発生リスクを減少させるだけでなく、生殖にまつわるストレスから動物を解放することが出来て、動物愛護に資する行為であるとされています。

新たに子犬を迎えられる飼い主様、今現在未去勢牡犬と暮らしておられる飼い主様は、繁殖予定が無い場合は去勢手術を行なうことも考えて見られたら如何かと思う次第であります。

ではまた。