兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 犬用体脂肪計(犬のメタボに要注意)
診療方針

犬用体脂肪計(犬のメタボに要注意)

犬用体脂肪計とウェイトコントロール

最近は、犬たちの生活環境も著しく変化して来た結果、疾病構造にも変化が見られるようである。 即ち以前は多発していた犬フィラリア症とかジステンパー、パルボ、伝染性肝炎のような寄生虫症とか感染症が少なくなって、悪性新生物(いわゆる悪性腫瘍)、心臓疾患、糖尿病のような代謝性疾患、認知症、老齢による骨関節症が増えて来ているように感じられる。

特に室内飼いの増加による運動不足、食事管理の乱れが肥満につながり、その結果、心臓疾患、骨関節症、糖尿病が悪化するような事例も見受けられることから、肥満を予防することは犬たちの生活の質を高めるのにとても大切であると考えられる。 また、肥満は麻酔をかける際にも麻酔薬が脂肪細胞に吸収蓄積されることから、麻酔がかかり難くなったり麻酔からの覚醒が遅れたりするリスクファクターとして考えられているのだ。

そんな中、花王株式会社から犬用体脂肪計が発売されたと聞き、購入してみた。

送られて来た機械は、とても小さくて一見頼りなげであるが、これがどうして、犬の身体に押し付けてボタンを押すだけで簡単に体脂肪率を測定出来る。

また、飼い主さんにも自分の愛犬の肥満度が数字で認識されることから肥満の程度を理解しやすく、今後はクライアント・エデュケーションの大きな戦力になりそうな感じである。

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これが犬用体脂肪計です。 価格は5万円ぐらいで、医療用機械と考えれば比較的安価です。

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犬用体脂肪計で実際に測定を行なっているところです。

肥満の防止に限らず、健康管理にはまず現状の把握が大きな前提である。 即ち、現状を把握して、問題点を洗い出し、その問題点に対して改善目標を立てて、改善計画を作成実施し、実施後には結果を評価して、また新たな目標を立てるのだ。

肥満の改善と防止に当たっては、カロリーを制限し、良質な蛋白質を適量含み、ミネラル、ビタミンなどの微量栄養素が 不足しないようにデザインされた処方食を活用する。 2週間から4週間毎に体重測定、身体検査、体脂肪率の測定を実施し、肥満の程度がひどい子には、治療の開始時と一定期間毎に血液検査を行なって、内臓の機 能に異常が生じないかをチェックしながら、飼い主さんと一緒になって計画を進めていく。

最初の段階で大切なことは、消費カロリーを増やそうと闇雲に強い運動負荷をかけないことである。 人間でもそうであろうが、太り過ぎた子に運動負荷をかけ過ぎると、関節障害を生じる可能性が高いのだ。

そうした努力の積み重ねで愛犬と飼い主の健康的で幸せな生活が達成されていくのである。 小さな体脂肪計の活用により飼い主さんと協力して犬たちの健康管理に力を注いで行こうと思うものである。