兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2012 9月
院長ブログ

月別アーカイブ: 2012年9月

09/28 グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

第4金曜日の午後は、普通グリーンピースわんにゃん訪問隊の活動日です。

今日も、老人ホーム鶴林園に行って来ました。

今日のお供は、ブルテリ・新田犬雑の愛ちゃんです。生後38日くらいになっています。

愛ちゃんは、生後11日目から私が哺乳して育てているのですが。物怖じしない大人しい良い子だと思います。

訪問前に園の庭で排泄をさせる時に、他の犬に一発かまされてすごくビビッてましたが。

実際に園の2階ホールに上がって訪問を始めると、お年寄りに抱っこされて大人しくしてました。

そのうちに眠くなったのか、寝てしまう始末です。

今日の訪問は、お年寄りたちの円陣を幾分小さめに配列して、訪問ボランティアや動物たちとお年寄りたちとの距離感を短く感じるようにしてみたそうです。

全体的な雰囲気はすごく良かったと思います。


でも、今日はこの活動が始まってからずうっとほとんど休まずに参加して下さったシェリーちゃんご一家が、先日シェリーちゃんがとうとう16才と10日くらいで亡くなってしまったということで 、ご挨拶に見えられてました。

最後のミーティングでご主人がスピーチをされた時には、しみじみとした気持ちになりました。

この活動も、14年くらいになりましたか?いつまでも頑張って続けて行きたいものであります。

09/27 ビーグル雑の耳血腫

今日は、県西部の街で、グリーンピース動物病院から自動車で1時間強の遠いところから、ビーグル雑をお連れの方が来院されました。

このビーグル雑は、クロちゃんと言いまして。地域で増え過ぎた猪や鹿を退治するという農林業に大切な仕事をやっている名犬です。

このクロちゃんは、昨日から左耳の耳介が異様に膨らんで痛そうにするとのことです。

数年前にも反対側の右耳が、やはり耳血腫になって、それはもう少し近くの動物病院で手術によって治ったということです。

左耳は、画像のようにプックリと膨れています。

比較の対象になるように、過去に手術をして現在は正常になっている右耳の耳介も掲載してみます。

この耳血腫の原因ですが。ほとんどの場合外耳炎を慢性的に患っていて、すごく痒いので頭を激しく振ることにより、耳介軟骨が折れて出血するというのが原因なのです。

従って、その根本原因である外耳炎を治療しなければ、耳血腫そのものをいくら治療しても犬の苦しみは無くなりません。

耳血腫も早目に手術療法をするのも一つの解決方法ではありますが。最近のトレンドとして、猫インターフェロンの注入とステロイドホルモンの内服の併用で切らずに治すというやり方が取られるようになっております。

ただ、インターフェロン療法も反応が著しく悪かったり、遅かったりする場合には、手術に移行する方が良い場合もあると思います。

また、インターフェロン療法であっても手術療法であっても、外耳炎の原因である細菌とかマラセチア菌とかをコントロールしなければならないわけであります。

飼い主様には、以上のことなどをひと通りお伝えして、手術療法?インターフェロン療法?のどちらを選択されるのかをお尋ねしたところ、当面インターフェロン療法を選ばれました。

クロちゃんについては、まず耳道を滅菌綿棒で探って、細菌培養と薬剤感受性試験の材料を採取し、インターフェロンを生理食塩液で溶解して、1バイアル10万メガユニットを膨れた耳介の血腫内に注入しました。

一応、メーカーの説明書きには、初回の注入時には血液はむしろ抜かない方が良いとのことであります。

ステロイドの内服薬は1週間分、抗菌剤は培養と感受性試験の結果が出るまでの繋ぎの期間分処方してお渡ししました。

インターフェロン注入は、5日から7日毎に実施する予定です。普通だったら1回から4回の注入で治癒するということです。

クロちゃん、速やかに治りますように。

09/25 久々の投稿です。 こじれた外耳炎です。

9月8日にやる気の無いゴーヤの日記を書いてから以降、ブログの更新をサボっておりましたので、私の健康状態を気遣ってのメールとか入るようになってしまいました。
ご心配をおかけしたかとは思いますが、私自身は元気しております。

今日の症例ですが。
昨日初診で来院された12才のチワワの女の子です。高速で約30分くらいの少し遠方の街から来られました。

1年と少し前から、右耳が外耳炎になって、自宅からは少し離れた隣の町の、獣医さんが10人も働いているような大きな動物病院に通っていたのだが、治療しているにも関わらず、悪化して行って。外耳道にポリープが多発して何回か切除したのですが、もうボロボロになってしまっていて。
先日自宅の近所の動物病院に受診してみたら、「外耳炎がこじれてどうしようもないので、全耳道切除術が必要です。うちでは出来ませんので、どこか出来るところを探して行って下さい。」と言われて困っているとのことであります。
その上に、悪い右耳と同じ方の右眼も最近ひどく膿のような眼脂が出て来るようになって、白目が赤く充血して来たので、私の動物病院にかかってみようと思われたそうです。

右耳の状態は、確かにドブのような状態です。検耳鏡で覗いて見ますが、奥の方は膿のような分泌物が充満して何にも見えません。

「全耳道切除ということになると、さすがに私の動物病院でも手に負いかねますので、大阪のネオベッツVRセンターを紹介することになると思いますよ。」とお話しをしながら。
でも、一度も細菌培養と薬剤感受性試験とかの検査も実施したことも無いということですし。

とりあえずのそんな検査を行なって、その結果に基づいた投薬と処置をやってみて、少し落ち着いたところで、大きな手術が必要かどうか?判断させていただくことにしました。

昨日は細菌培養と薬剤感受性試験の材料を採取して、帰っていただいて。
今日の午前診に、検査結果が出たのを見に来ていただきました。

薬剤感受性試験の結果では、それなりに利く薬も見つかっています。
しかし、何でこじれたのか?基礎疾患は無いのか?少々疑問も感じます。

いろいろと話しを聴いているうちに、やけに水を飲んで、尿の量も異常なくらい多いという話しが出て来ました。

確かに、体形は随分太目です。

副腎皮質機能亢進症の話しとかして、基礎疾患を調べることが、急がば回れで、耳や眼の感染症を治すことに繋がるということを理解していただいて。

院内のスクリーニング検査を実施させていただきました。

血液検査の間に、眼の状態を診察して、角膜に傷が無いことを確認し、耳道洗浄と薬剤の点耳も行ないます。

約30分後に得られた血液検査の結果では、総コレステロールとアルカリフォスファターゼがそれぞれ382mg/dlと927U/Lという高値が認められました。その他の数値では、血小板数が64万7千と高値です。
血小板数は慢性感染の存在によるものだろうと思います。総コレステロールとアルカリフォスファターゼの数値は、如何にも副腎皮質機能亢進症を疑わせるものです。

しかし、飼い主様も、今日のこの結果で、これからどうなって行くのだろうか?と心配になって来ているみたいですので。
一応副腎皮質機能亢進症には二つの原因があって、その鑑別までしようと思えば今から2回ほど血液検査を行なわなければならないこと。治療はその原因によっては手術であったり、終生続く投薬であったりすることなど、いろいろ説明してさしあげて。資料もお渡しして。

次回来院する時までに、飼い主様としてどこまで突き詰めるおつもりなのか?を聴かせていただくことにして、今日のところは帰っていただきました。

今日の投薬は、薬剤感受性試験に基づいた外耳炎を治療するための内服薬と点耳薬、耳の洗浄液、結膜炎の治療のための点眼剤2種類であります。

次回来院の際には耳も眼もそれなりに改善していることと思いますが。出来れば副腎の詳しい検査をさせていただいて、チワワちゃんの今後の状態が上手く管理出来るようになったら良いと思います。

09/08 庭のゴーヤ

たまには仕事ネタではない記事でもひとつ。

毎年庭でゴーヤを作っているのですが。今年も5月に4本植えまして。

最近は、ゴーヤのカーテンもしっかり茂って。

数日毎に美味しい実を収穫出来るようになりました。


ゴーヤの苗は、近くのホームセンターで「アバシゴーヤ」という名称で販売しているのを購入します。

植え付ける土は、地植えは2ヶ所に分けて、それに100リットルのポリエチレンのポットが4個あるの2個ずつに分けて、その4通りを順番に使用することにより、それぞれの土では4年に1回植え付けられるという形にして、連作障害を防いでいます。

ゴーヤは、特に肥料を多く要求して来る作物です。毎週末に化成肥料を少しずつ追肥してやっています。

毎年9月になると、ゴーヤにも飽きて、食卓のゴーヤを見るとげんなりするのですが。

今年は、私の飼い主太得子さんが、ゴーヤの佃煮というレシピを学んで来られまして。

これだけのゴーヤでも佃煮にするとそんなに嵩を感じませんので、飽きが来なくて済んでいるようなことであります。

それと、今年のゴーヤは、苦味そのものも少ないように感じます。育苗会社も毎年毎年品種改良に努めているのでしょうね。

ではまた。

 

09/03 自分の病院受診

先々週の水曜日に、神戸市内のクリニックで脳動脈瘤が出来ているから手術を受けた方が良いと言われまして。

本日紹介状とMRI画像の書き込まれたCDを持って、神戸市はポートアイランドという巨大埋立地に立地する神戸市立医療センター中央市民病院という大きな病院に受診しました。
グリーンピース動物病院は午前診は臨時休診です。皆様ご免なさい。

この病院には、神戸市で働いていた頃、何の病気でだったかは失念しましたが、昭和58年にかかった経験があります。あの頃は若かったなあ。

受け付けで票を機械から取って待つのですが。なかなか順番が来ませんでした。
何とか済ませると、首からぶら下げる機械を渡されて、脳神経外科の受診予定が12時になるから、約30分前にはこの機械に連絡するので、脳神経外科の診察室前に行くようにと言われました。

午前8時50分頃に受け付けに並んで、この時点で10時前です。時間があるので何処かに見物に行きたいのですが。さすがに本土に戻っては時間がかかり過ぎでしょう。かと言って、埋め立て地の事情には不慣れですから、通路にある空いたソファーに腰かけて持参した動物行動学の本を読むことにsました

しかし、首からぶら下げていた機械がピロピロと鳴って、もうすぐですよと言ってくれたのが午後1時40分頃。

実際に名前を呼ばれて、神の手と言われる高名な先生の診察を受けたのが2時40分頃でした。

先生は、しかし、持参した画像を見ながら。「これくらいだったら、まだ小さいし、様子を見ていても良いんじゃないかなあ?」なんて言ってます。

しかし、紹介状に書いてある家族歴に、兄、父、祖父と総て脳出血で倒れているという記載を見て。考え直してくれたみたいです。

「まだ小さいとは思いますが。家族歴が高率に脳出血を発症しているということですから。MRIよりはるかに精細な画像が取れる血管造影をして、手術の適否を判断しましょう。」

と言われました。

訊けば、血管造影は2泊3日かかる検査だそうです。

それから、入院前の血液検査、心電図検査、胸部エックス線検査を行なって、入院申込書で必要書類を記載して、料金支払いまで終わったのが午後4時10分過ぎ。

大急ぎで加古川に帰って、午後診に来られている患者様の診察を始めることが出来たのは、午後5時半をとうに回った頃でした。

待っておられた皆様、どうも済みませんでした。そして、留守を守ってくれた動物看護師さんたち、有り難うございました。

今日は、実は、私の島根県は隠岐の島の実家に預けていた佐賀県の地犬のマルが子宮蓄膿症疑いで急遽こちらに姪によって連れて来られていたのを、動物看護師さんたちに残業を命じて、緊急で手術を行なったので、普通の倍疲れました。

血管造影の検査の予定は、現在のところ全く判りません。何でも神戸市中央市民病院は、いきなり電話で「明日入院」と来るらしいです。

入院受け付けで、せめて数日前には連絡をくれるよう交渉しまして、何とか4日から5日まえには電話連絡をいただくようになりましたので、次回患者様にご迷惑をおかけするのではありますが。
混乱が生じないように手配する時間は何とか確保出来たとは思います。

しかし、それにしても、神の手先生、実は亀の手ではないことを祈念しつつ待つ日々を過ごすことであります。

09/01 猛犬の外耳炎

和犬のサンド君は、7才になったばかりの男の子なのですが。この犬種に有り勝ちな性格、即ち異常に臆病でなおかつ攻撃性が強いために、先日から患った外耳炎の治療をなかなか許してくれません。

飼い主様でも、嫌なところを触ろうとすると、咬み付いて来ますので、危なくて処置のしようがありません。

仕方が無いので、飼い主様と相談の上、深い鎮静をかけて、耳の中から細菌培養の材料を取るのと、徹底的な耳掃除を敢行することに致しました。

本日午後に、胃の中を空にした状態で来院してもらいます。

何せ、飼い主様もきちんと保持出来ない子です。
当院で「仲良し君」と呼び習わしている保定棒で動きを止めておいて、鎮静剤を2種類組み合わせた注射を筋肉内に打たせてもらいました。

注射の後、10分もしないうちに横たわって、なすがままという状態になります。

まず耳の中を覗いて見ます。

左耳は、出口付近にまで膿が出て来てました。矢印の先に膿が見えています。

右耳には、膿こそありませんでしたが、パサパサとした黄粉が一旦固まってまたバラケたような耳垢が沢山付着していて、耳の皮膚はガサガサです。

滅菌生理食塩液で湿らせた滅菌綿棒を膿のある左耳に挿入して、培養の材料を取ります。

綿棒に付着した汚れは、培養の基材に塗り付けて、恒温室で培養すると共に、抗生物質感受性試験も同時に行ないます。
明日の夕方には感受性試験の結果が出ていると思います。

次いで、耳掃除を徹底的に行ないます。

まず耳の中に専用の洗浄液をたっぷりと注いで、ティッシュを当てがって入念にマッサージします。

更に、綿棒を使用して、外耳道の中の耳垢を丹念に除去します。


耳の中が綺麗になったら、抗菌剤、抗真菌剤、ステロイドホルモンの合剤の軟膏を注入して、耳道をマッサージして、お薬を耳の中に塗り拡げてやります。

片方が終わったら、もう片方も同じように耳掃除と点耳を実施して。

全部終了したら、鎮静剤の拮抗薬を筋肉注射して醒ましてやります。


小型犬で寒い季節だったら、入院室で保温しながら醒ますのですが、10キロ台半ばの中型犬で、まだまだ外気温は暑いですから、待ち合い室で飼い主様に見てもらいます。

拮抗剤を注射して10分も経つと、起き上って来ます。
十分に覚醒したのを確認してから帰宅していただきます。


明日の午後診に、飼い主様だけ来院していただいて、培養と感受性試験の結果に基づいたお薬を処方することになると思います。

しかし、サンド君、今回はそれで切り抜けても、再発予防のための日々の耳のホームケアが出来ないと、また再発する可能性があります。

7才の今更ではありますが。飼い主様にはサンド君の身体を何処でも自由に扱えるようになって欲しいです。
でも、難しいし、無理かな?

私としては、与えられた条件の中で何とか疾病を治療して行くしかありません。
猛犬の外耳炎の治療のやり方を、今日は書いてみました。

ではまた。