兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2014 9月
院長ブログ

月別アーカイブ: 2014年9月

犬の排卵日特定と人工授精

ワンちゃんと暮らしていると、中には可愛い我が子の子供が見たいと思う方もおられます。

今回の症例は、病気ではないですが。以前に交配を試みたけれども上手く行かなかったというシーズのカップルです。

女の子の方がもう5才になりますので、飼い主様もこの度発情が来たのを最後のチャンスと受け止めておられるようです。

その旨の電話相談が入った際に。私がまずお勧めしたのは、血液中の黄体ホルモンの測定であります。

牝犬は、発情の最初の頃には血液中の黄体ホルモンの量は非常に少ないレベルなのですが。発情が極期に達して排卵が生じると、「LHサージ」と呼ばれる黄体ホルモンの急激な上昇が生じるのです。

そして、犬の卵子は排卵直後はまだ精子を受け入れることが出来ませんで。排卵の2日後くらいで成熟して精子を受け入れる態勢が整うわけです。

そんなわけで、発情犬の血中の黄体ホルモンレベルを測定して、ホルモンレベルの上昇を確認してから交配を実施すれば、妊娠する可能性が非常に高くなるのであります。

残念ながらグリーンピース動物病院には、血中黄体ホルモンの院内測定が出来る機械は置いていませんが。近医にて測定することは可能であります。

そんなわけで、この朝その先生から、「昨日シーズの女の子が来院して、黄体ホルモンレベルの測定をおこなったところ、かなり上昇しかけているという数値が得られたので、排卵は今日くらいに生じると思います。」という電話が入りました。

その後、飼い主様から電話があって。「前回のチャレンジでは自然交配を試みたのだけれども妊娠しなかったので、人工授精でお願いします。」ということでして。

男の子と一緒に来院してもらって、人工授精を行ないました。

人工授精は、まず男の子から採精して、顕微鏡で精子の状態を確認することから始めます。

沢山の精子が活発に動いていました。

ユーチューブに動画は投稿してあるのですが。今回ここに掲載するのが今ひとつ上手く行きませんので、動画は後日見れるようになります。

次に、採取した精液を、女の子の膣の中に入れてやります。

やり方としては、女の子を逆立ちさせておいて、膣鏡で開いた性器に細いカテーテルを用いて、注射器内の精液を膣の奥に注入するという感じです。

大切なことは、精液の注入後に女の子の逆立ちを15分継続させておくことです。

逆立ちさせることで、自然交配での「ロック」と呼ばれる現象に替わる状態を作ってやり、妊娠の可能性をアップさせることが出来るわけです。

そんなわけで。人工授精は無事に終わりました。

後は、中1日か2日でもう1回人工授精を実施すれば、妊娠してくれるものと予想しております。

可愛い子犬がたくさん産まれますように。