兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 野生鳥獣救急指定動物病院
院長ブログ

野生鳥獣救急指定動物病院

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2020年8月14日現在。グリーンピース動物病院は兵庫県野生鳥獣救急指定病院を辞退していまして。現在は加古川動物病院など別の動物病院がその任を負って頑張っておられますので、野生鳥獣を保護されて困っておられる方はそちらに連絡されますようお願いいたします。

この記事は2013年7月22日の時点のものでありますので、そのようにご理解いただきますようお願い申し上げます。

 

 

実は、兵庫県の制度で、私たちのような民間の動物病院を、兵庫県野生鳥獣救急指定動物病院として活用しようという仕組みがあります。

グリーンピース動物病院も、一応社会貢献の一助になるべく、名乗りを上げて指定されておりまして。時々市民の方が持ち込んで来る野生鳥獣の治療や再放鳥獣を行なっております。

しかし、社会が野生鳥獣を保護管理するのに、これで良いのか?と疑問に思うことも再々です。

一次診療としての救急指定動物病院制度は、それはそれで良いことなのかも知れませんが。

鳥獣が野生復帰を果たすために、全県単位でとりあえずの怪我が治った鳥獣を野生復帰に持って行くまでのリハビリ施設とかが必要なんじゃないか?と常々感じております。

最近持ち込まれた動物は、ツバメの雛、コウモリ、カルガモの雛くらいでしょうか?

ツバメの雛は、1ヶ月以上ミルワームを給餌して育てて、ツバメが居る公園に放鳥しました。

でも、放鳥されたツバメは、自力で食べ物を摂ることが出来るのか?外敵から逃げおおせることが出来るのか?

はなはだ疑問を感じながらの放鳥でした。

野生の鳥の雛については、日本野鳥の会が雛を拾わないように一般の人に周知するためのキャンペーンを行なっておりますが。巣立ち直後の雛を、善意に基づく行為とはいえ、無知によって「拉致」してしまう人が多いようです。

今回のツバメも巣立ち直後で、親鳥が何処かで心配して見守っていたのだと思うのですが。保護した人は、周囲に親鳥も居ないし、駐車場で車に轢かれそうだったからと言って、強引に加古川農林事務所に持ち込んだのを、農林事務所も困ってグリーンピース動物病院に連れて来たということでした。

最近も、「ツバメの雛が飛べなくって、困っているようです。そちらに連れて行って良いでしょうか?」という電話連絡があったので。「そのツバメの雛は、巣立ち直後で、親鳥が近くで心配して見守っていますし。親鳥が食べ物を食べさせていますから、貴方が「拉致」さえしなければ無事に成長して行く可能性が高いと思います。それと、いったん人間の手に落ちた野鳥の雛は、野生に戻しても食べ物を探したり、外敵から身を守ったりという教育を受けることが出来ないので、生き延びて子孫を残すところまで行けるかどうか?怪しいですよ。」とお返事したところです。

コウモリは、正確な種類は判りかねましたが。飼いネコが捕まえて遊んでいたのを、猫の飼い主が保護したものでした。

猫の口には、出血性敗血症菌という怖ろしい細菌が常在していて、その菌によって死んでしまう可能性があると判断し。抗菌剤を数日投与しながら、犬猫用の流動食を強制的に食べさせて。元気が回復したよう?なので再放獣しました。

コウモリの場合、元気か?弱っているか?判定が困難でした。何せ何にも表現してくれません。

最後のカルガモの雛は、交通頻繁な市街地の道路で彷徨っているのを保護されたのですが。近くに川も池も無いような道路で、親からもはぐれて、どうしてカルガモの雛が居たのか?不思議です。

もしかして、誰かが飼ってた?

とにかく飛べるようになるまで育てた上で、放鳥することにしました。食べ物は鶏の飼料を使いますが。ボレー粉も添加してカルシウム不足にならないように注意します。

最初から普通に食事を摂って、水もちゃんと飲んで。元気に育っています。

最近たらいをプール代わりにして水浴を楽しめるようになって来ました。

体重も順調に増えて、保護された時には240グラムだった体重も約2週間で440グラムにまで増体しております。

しかし、この鴨、野生復帰出来るでしょうか?

行く末が案じられます。

野生鳥獣救急指定動物病院とは言え、最近県からの通知で、農業被害の著しい猪や鹿、アライグマ、ヌートリア のような特定外来生物は傷病救護の対象から除外するということらしいです。

人間と自然との関わりは、難しいですよね。

過去に、青大将に食べられそうで可哀相だということで、野兎の子を連れて来られた方が居ましたが。食べ物を取り上げられた青大将は可哀相ではないのでしょうか?

見た目で差別するのもどうか?と思います。

あるいは、昔見たアフリカのドキュメンタリー番組で、溺れそうになっているヌーの子供を助けようとした取材班に、「安易に野生に介在しないように。」と制止をかけた現地のレンジャーの考え方が、一見残酷なように見えても最も健全なのかも知れません。

でも、考えようによっては、それも人間の手のほとんど入っていない大自然の中でこそ言えることで、我が国の市街地や里山のように、人間の活動が環境形成に大きな影響を与えている地域の場合にまであてはまるのかどうか?

考え始めたらきりがなくなります。

2016年10月25日追記です。

兵庫県野生動物救急指定動物病院についてですが。 近くで大勢の獣医師を雇用して頑張っている動物病院が、最近は名乗りを上げて受け入れてくれるようになりましたので。 元々少ないスタッフで頑張っていた当院は辞退させていただきました。