兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2016 2月 05
院長ブログ

日別アーカイブ: 2016年2月5日

猫の子宮蓄膿症

今回の症例は、特に症状があって来院したわけではない子でした。

一緒に暮らし始めてすでに数年経過した子なのですが。 発情のことと、病気予防のことが気になっていて。 避妊手術を希望されて連れて来られたのです。

術前検査はそんなにお歳でもなく運動能力に異常もないとのことでしたから。 全血球計数と血液生化学検査、血液凝固系検査だけやりましたが。 特段の異常はありませんでした。

手術当日、麻酔導入して、仰向けに保定し、お腹の毛刈りを始めたところ。 お腹の中に何やら硬い大きな物体が触れまして。

妊娠か?と疑って。 飼い主様にお電話をかけつつ、エコーで確認してみましたら。 それは胎児ではなかったです。

お腹を開けて、中身を確認すると。 硬い大きな物体は大きく膨らんだ子宮でした。

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普段の手術よりも子宮頚管の結紮と切断に随分気を使って。 私が「コピオ」と称している、取り残した子宮に膿が溜まった状態をつくらないようにしました。

子宮卵巣の除去後は普通に閉腹して。 手術は完了です。

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取り出した子宮を無菌的に突いて穴を開けてみると。 中から赤っぽい色調の膿が出て来ました。

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出て来た膿を材料に、細菌培養と薬剤感受性試験を実施しましたが。 翌日確認してみると、細菌は生えて来ませんでした。
普通の培地で普通に培養して細菌が生えないということは。 酸素がある環境では生えない菌が居るのか?普通のお肉のスープで溶かした寒天では生えない、栄養要求度の難しい細菌が居るのか?あるいは無菌的な化膿だったのか?のいずれかなんだと思います。

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猫ちゃんの覚醒は普通に順調でしたので。 当日夕方に退院して行きました。

子宮蓄膿症。 無症状の状態で手術が出来て良かったです。

ではまた。