兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2017 5月 18
院長ブログ

日別アーカイブ: 2017年5月18日

マイクロチップで飼い主発見!!

先日のことですが。

隣り町で迷い犬を保護して警察に届けたのだけれども。警察でこれ以上預かれないから連れて帰ってくれと言われて引き取って来たという方が。
シャンプーをするのに、その後ノミマダニ駆除の滴下剤を購入したいということで来院されました。

話しを聴くと、警察ではマイクロチップの読み取りはしなかったということです。

それでは念のためにと。当院に備え付けてあるマイクロチップ読み取り機のスイッチをオンにして。その子の首の付け根辺りに近付けてみました。

20170518microtip0011

ピッという独特の音がして。読み取り機の画面に番号が表示されました。

一発逆転とはこのことです。

すぐにマイクロチップの情報を管理している日本獣医師会の情報センターに問い合わせて。飼い主が判明。

飼い主に返すことが出来ました。

警察にこの読み取り機が備わっていれば、保護した人がここまで苦労することは無かったのですが。

現在兵庫県では県内の獣医師会に所属している小動物診療施設の総てと、県内数ヶ所の動物愛護センターの総てに、このマイクロチップ読み取り機が備えられております。

グリーンピース動物病院では、この10年間の間に、保護されて連れて来られた動物にマイクロチップが入っていて、それを読み取ることが出来たために飼い主の許に無事返すことが出来た事例は2件あります。

2件という数字が多いのか少ないのかという議論はさておき。マイクロチップという小さな電子機器は、動物の個体識別の手段としては素晴らしく優れた方法だと考えております。

私の場合。子犬子猫が来院した時には、ワクチンやフィラリア予防、ノミマダニの駆除、避妊去勢の説明と共に、マイクロチップの有用性を説明してそれを入れるようお勧めするのをルーティーンにしております。

最近は、一部のペットショップでは販売の時点でマイクロチップを入れているところもありますが。良いことだと思います。

20170518microtip0021

 

上の画像の中に赤と黒の小さな物体がマイクロチップです。これを動物に入れたイメージは。下の画像のような感じです。

20170518microtip0041

画像の中の赤い矢印の先に白いコントラストで映っているのがマイクロチップです。注射器のような挿入器で皮下に入れてやるのですが。全く無害でありますし。首輪や迷子札と違って体内にあるわけですから。落ちて紛失することも皆無です。

マイクロチップを自分の動物に未だ入れてない飼い主様には、この記事をお読みになったのを機会に、その挿入を検討されてみることをお勧めします。料金は挿入するのに本体込みで税別6,000円。情報登録料が1,000円だったと思います。

 

フィラリア予防失敗例 予防薬は決められた量を決められた回数と間隔で

先日来院された日本犬雑の女の子のことですが。

フィラリア予防開始の案内ハガキを送りましたので。フィラリアの感染の有無の検査を希望されました。
予防薬は、投与間隔が2ヶ月までは空いてはいないけれども。1ヶ月丁度にはやれていないので。残っていって。
結局ワンシーズン分残っているので。今回は処方を希望されませんでした。

それで、血液を少量採取して感染検出キットで検査してみたところ。

20170518firalia0011

 

画像上のパネルは、検査結果の解釈を図示した飼い主様説明用のものでして。本犬の検査キットは下の小さな日付を記載したものです。

キットの中央付近に2本縦に線が見えますが。Cの位置のはっきりした線は、この検査が正常に行われていることを示す線でして。Tの位置に見えているぼんやりとした線が、フィラリア感染していることを証明するエビデンスであります。

この子は、残念ながら昨年にフィラリアに感染していて。

20170518firalia0021

心臓の右心室から肺動脈にかけて、上の画像のボトルの中に見えるようなフィラリアの成虫が寄生しているのです。

幸い、まだ無症状ではありますが。今までと同じような中途半端な予防法を続けていると、徐々に寄生数が増えて行って慢性フィラリア症を発症して苦しむようになるでしょうし。何らかの原因で肺動脈や右心室に居たフィラリア虫が右心房や大静脈洞という部分に移動すると、急性フィラリア症を発症して1週間から2週間くらいでひどく苦しみながら死んでしまうこともあります。

飼い主様には、その旨説明を致しまして。今後はフィラリア予防については私の指示の通りにしていただくようお願いしました。

なお、いったん感染したフィラリアについては、それを駆除するのは。砒素剤を使用したり。ある種の抗生物質を併用すれば出来ますが。砒素剤は非常に危険を伴いますし。抗生物質の併用も現在犬がフィラリア症で苦しんでいるのでなければ、費用対効果の点でどうなんだろう?という感もありますし。。

この子の場合、今現在はフィラリア寄生による症状は全くありませんから。心臓の中の成虫については、そおっとしておいて。新しい虫が増えないように予防を徹底することで対応するようにします。

なお。心臓にフィラリアが寄生している状態で、漫然と予防薬を投与しますと、ショックを起こしたりして危険ですから。ショックを予防するお薬と組み合わせて与えることになります。

フィラリア予防薬については、当地方では5月末から12月末まで月に1回予防薬を投与するということは大体の皆さんには周知出来ていると思いますが。きちんと実施していないとこの子のように辛い結果に終わってしまう可能性がありますので。薬は指示の通りにきちんと与えていただきたいと思います。