皆さんこんにちは
グリーンピース動物病院の更新担当の中西です
さて今回は
~猫の「年齢」と「猫種」から読み解く~
猫の健康管理は「現在の状態」だけでなく、**年齢(ライフステージ)と猫種(遺伝的背景・体型)**を前提に考えると精度が大きく上がります。本稿では、臨床での観察ポイントを軸に、年齢別の身体変化・疾患リスク、主要猫種の身体的特徴と特有リスク、検診・栄養・運動・生活環境の調整指針までを体系的に解説します。
年齢からみる身体的特徴と注意点
1. 幼猫期(0〜6か月)
2. 若齢期(7か月〜2歳)
3. 成猫期(3〜6歳)
4. 中高齢期(7〜10歳)
5. シニア期(11歳以上)
猫種からみる身体的特徴と特有リスク
純血種だけでなく、混血でも親系統の影響が見られることがあります。以下は診療で頻繁に考慮する代表的な特性です。
スコティッシュフォールド/ストレート
マンチカン
ブリティッシュショートヘア
メインクーン
ノルウェージャンフォレスト/サイベリアン
ペルシャ系(チンチラ含む)
シャルトリュー/ロシアンブルー
ラグドール
アビシニアン/ソマリ
ベンガル
スフィンクス
年齢 × 猫種で変わる実務ポイント
1) 体重・筋肉量(BCS/MCS)の評価
2) 心臓のスクリーニング
3) 関節・骨格
4) 皮膚・被毛・口腔
5) 泌尿器
栄養・運動・環境の調整
栄養
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年齢別:幼猫は高エネルギー・高消化性。成猫は体重維持を基軸。シニアは腎・関節・口腔の状態に合わせて処方。
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猫種別:大型種は成長が緩やかなため過栄養に注意。扁平顔は食器の高さ・形状で摂食効率を補助。皮膚に課題のある猫は脂肪酸バランスやたんぱく源に配慮。
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共通:急な切替は避け、7日程度で段階移行。水分はウェット併用やぬるま湯で強化。
運動・行動
環境
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トイレ:猫数+1、広さと深さは個体の好みに合わせ、砂は継続性重視。
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ストレス低減:隠れ家・高所・見通しの良い場所を確保。来客・模様替えは段階的に。
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保温・保湿:幼猫・高齢猫・無毛種では季節変動に敏感。冬季はベッドの保温、夏季は直射日光と冷房のバランス。
年齢・猫種別の検診プラン(目安)
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幼猫〜若齢:月齢に応じたワクチン・寄生虫対策、6か月齢で避妊去勢相談、歯列・乳歯残存のチェック。
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成猫(年1回):身体検査、体重・BCS/MCS、口腔・歯科、便・尿の基礎検査。猫種に応じ心エコーなど追加。
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7歳以上(年1〜2回):血液検査(腎肝・甲状腺)、尿検査、血圧、歯科評価。HCMリスクがあれば心臓検査を定期化。
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11歳以上(年2回以上):上記に加え、認知・関節・体液バランスの評価。投薬・食事・環境の三位一体でアップデート。
ご家庭で見逃したくないサイン
まとめ
猫のケアは「いま目の前の症状」だけでなく、年齢で予測される変化と猫種の身体的特性を重ね合わせて設計すると、予防と早期発見の精度が高まります。体重・筋肉量・飲水・トイレ・行動を定点観測し、猫種に応じた心臓・関節・皮膚・歯科の重点領域を定めることが実務の核心です。気になる変化があれば、些細なことでも遠慮なくご相談ください。ご家庭と病院で役割を分担し、猫それぞれの個性と年齢に寄り添うケアを一緒に作っていきましょう。