兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 02/08 老犬の前肢の腫瘤
院長ブログ

02/08 老犬の前肢の腫瘤

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今日の症例は日本犬雑の相当高齢の男の子ですが。

数年前から右前肢皮膚に腫瘤が出来まして。それが昨年から自壊して、最近そこに感染も加わって、周辺もズルズルの状態になっていて。

今回悪くなる前には近くの動物病院で治療していたのが、症状が悪化してその先生に診てもらおうとしたのに、そこが休診だということで、1月12日に当院に来院しました。

その時の画像を撮影しておいたら良かったのですが。それはひどいもので、炎症は皮下にも広く及んでいて、関節の可動性もかなりおかしな状態になっていたのです。

私が最初にやったのは、まず腫瘤の一部分をメスで切除して病理検査に出すことと、炎症で周囲をひどく濡らしている分泌物を採取して細菌培養と薬剤感受性試験を行なうことでした。

薬剤感受性試験で翌日に得られた結果は、ほとんどの薬に対して抵抗性を持ってしまった多剤耐性緑膿菌の感染があるというもので、唯一マルボフロキサシンという抗生物質だけが効いているような状態でした。

腫瘤周辺の感染は、マルボフロキサシンの投薬2週間ですっかり良くなって、皮膚に開いていた穴も塞がり、関節の可動性も改善して普通に歩けるようにまでなりました。

投薬中食欲が減退気味だったのは、胃酸分泌を抑えたり吐き気を止めたりするお薬を組み合わせることにより何とかクリヤーしました。

2週間の間に外注していた病理組織検査の結果も帰って来て、良性の腫瘍であるという結果でした。

私としては、良性腫瘍でもあり、感染もすっかり良くなって、一応めでたしめでたしという感じだったのですが。

飼い主様としては、如何に良性腫瘍であっても、あんなにひどい展開になるのであれば、是非とも切除して後顧の憂いを絶ちたいという強いご希望をお持ちのようで。

腫瘤の切除を希望されました。

で、術前検査の結果では、血液検査と尿検査、腹部エコー検査から慢性腎不全という診断が得られたのですが。とりあえず初期から中期までのものであり。手術自体は遂行可能であると判断しました。

2月8日に腫瘤の切除を実行しました。

気管挿管を済ませて各種モニターを装着します。それから術野の毛刈り、消毒を行ない。術者は手術帽とマスクの装着、手洗いと消毒、術衣手袋の装着をやって。術野を滅菌ドレープで覆ってから手術を始めます。

今から毛刈りをする腫瘤です。

で、手術は無事に済んで、画像的にはいきなりですが。術後の肢です。腫瘤が良性で比較的小さかったので、形成外科的な皮膚移植のような手技は不必要でした。

術創の上に光が反射しているのは、創傷管理用のテガダームというプラスチックフィルムを貼り付けているからです。

これで忌まわしい腫瘍の自壊と感染が再発する可能性は消失しました。
ついでに見つかった慢性腎不全をコントロールして行けば、推定14才という高齢ながらも、もうしばらく元気に生きて行けそうです。