兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2013 12月
院長ブログ

月別アーカイブ: 2013年12月

通称「下痢セット」

グリーンピース動物病院では、下痢を主症状とする一般的な腸炎の治療薬として、①嫌気性菌(腸管内悪玉菌)を殺すペニシリン系の抗生物質と②腸粘膜を引き締めて便の形を作り、悪玉菌の形成する腸管内毒素を吸着したりする止瀉剤、それに③善玉菌(使用した抗生物質では死なないように加工してあります)を補給する整腸剤の3剤を組み合わせて使用することが多いですが。

この組み合わせを、「下痢セット」と称しております。

最近の下痢セットの使用例ですが。当院では初診に当たる2才10ヶ月令になるキャバリア・キングチャールス・スパニエルの男の子が、2日前から下痢が始まって。現在は1時間に1回か2回水様便を排出し続けているという稟告で、先日来院して来ました。

診察を待つ間も、待合室で水様便を垂れ流すような有り様でしたが。診察をした限りでは、脱水もそうひどくはなさそうですし。検便も浮遊法直接塗抹法共に陰性。発症前に食事を変更したり、変わった物を与えたという事実も無いそうですし。
食欲もそれなりにあるということです。

気になったのは、お家の人が全員順番に感染性胃腸炎に罹患して。この犬が最後に下痢を発症したということです。
はて?人間のノロウィルスは犬に感染することがあったのでしょうか?

犬に下痢や嘔吐などの消化器症状を発症させる原因は、それこそ無数に存在しますけれども。
最初から難しいことばかり考えていても話しがややこしくなるばかりですから。

一般状態がそう悪くなければ、「下痢セット」を処方して、お薬に対する反応を見るということをすることもあります。

この子の場合も、下痢セットを処方して。少なくとも1食は食事を与えないで、投薬のみとして、翌日に再来院して投薬に対する聴かせてもらうということでお帰ししました。

翌日の来院では。最初の投薬のすぐ後から下痢はすぐに止まり。2回目の投薬でもその状態が維持されていて。

すごく調子がよろしいというお話しでした。

続きの処方を行なうについては。犬猫の腸粘膜絨毛の細胞は、そのすべてが入れ替わるのに通常で4日必要だということですから。
お薬が効いてから6日ないし7日は投薬を継続する必要があると考えております。

今回の症例の場合。年末年始の休診日のこともあり。不測の事態に備えて、少し長めに8日分の処方をさせていただき。年始は1月4日に来院して最終チェックを行なう段取りに致しました。

「下痢セット」嵌まれば抜群の働きをしてくれる頼りになる処方であります。

今日は、難しい話しを避けて、ちょっと簡単系の話しをさせていただきました。

年末年始は、12月29日から1月3日まで休診とさせていただき。年始の診察は、1月4日となります。
ただし、1月5日は臨時休診をいただいておりますので、グリーンピース動物病院に年明けに受診の方はよくよく注意して下さいませ。

 

猫の腸閉塞の病理検査結果

11月に腸閉塞の手術をして、腸管に出来ていた腫瘤を摘出した猫ちゃんの件ですが。

取り出した腫瘤を病理検査に外注していたのが、結果が帰って来ました。

「盲腸腺癌」という良くない結果でした。

既にリンパ節転移も生じていて、転移巣が大きくなって来るのがどれくらい先なのか?は正直読めておりません。

縫合糸反応性肉芽腫ではなかったです。

化学療法、一般的に言う抗がん剤療法も考えないではないですが。今までのいろいろの治療で両手の静脈が状態が悪いのと、基本的に野良猫ちゃんで抜糸まで入院で治療しましたけれども、なかなかに治療に抵抗しますし。

これからは経過を見て行って、出たとこ勝負で対応するということになりました。

今回の手術自体は上手く行ってくれて、今日退院した現在は食欲元気さ完全に回復しております。

最後の病理の結果が辛いところですが。少しでも長く良い状態が続いてくれますよう祈っております。