兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2014 5月
院長ブログ

月別アーカイブ: 2014年5月

犬の爪の損傷

犬の爪の損傷は、意外にありふれたトラブルです。

伸び過ぎた爪は、走ったりする時に何かに引っ掛かり易く。これが折れると相当痛いようです。

ただ、折れた爪が指先から脱落してくれれば、その部分に新しい爪が生えて来て、元通りになるのですが。

爪は折れたものの。半分だけ折れて、残りはきちんと指先にくっついて残っている状態になると。


爪が伸びて、損傷部位が爪の芯の部分を通過してしまえば、神経や血管が分布しているのは爪の芯の部分だけですから、苦痛は消失するでしょうが。

爪が伸びるスピードが1日に0.3ミリくらいとすると、折れた爪による疼痛や違和感が消失するまでには、かなりの日数がかかることが多いです。

そこで、このような症例が来院した場合に、私がやらなければならないことは。折れた爪を除去して、早くに苦痛から解放してやることです。

そのやり方ですが。爪の損傷が大きくて、もう少しで脱落するという状態であって、ちょっとくらいの痛みでは心臓が止まってしまいそうにない強靭なワンコの場合だったら。
ワンコをしっかり保定してもらっておいて、鉗子とかペンチのような道具で爪を把持して、えいやあ!!で取ってしまうということも、時としてやることがあります。

この方法の利点は、全身麻酔をかけないで済むことと、料金がお安く済むということですね。

えいやあ方式が通用しそうにない損傷の程度であるとか。非常にデリケートで、強い恐怖や痛みでショックを起こすかも知れないワンコの場合には。どうしても全身麻酔をかけて、安全に処置を済ませなければなりません。

ここで私が使用する麻酔は。静脈から注入して使用するタイプで、作用時間がせいぜい10分くらいで、その後は速やかに覚醒してしまうものです。この麻酔の特徴は、少々腎臓や肝臓の状態が悪くても、また、ちょっとくらい心臓が弱くっても、比較的安全にかけることが出来るというものです。
もちろん。不測の事態に備えて、必要とあれば気管挿管とか静脈輸液が出来るようにはしておきます。

麻酔をかけて、折れた爪を除去します。同時に化膿止めの抗生物質も注射します。他の爪も随分長く伸びていましたから、爪切りも行ないます。
眠っている間に行なうことですから。ワンコは痛みや恐怖を感じることはありません。

処置が済んで、麻酔の切れる時間が来れば。ワンコは速やかに覚醒します。
注射を打ってから20分か30分も経てば、起立歩行が可能になります。

後は、明日から数日間化膿止めのお薬を内服して。露出した爪の芯が乾いてしまえば。そのうちに、忘れた頃に新しい爪が伸びて来ます。

今日の症例は。大したことではないかも知れませんが。それなりに切実な問題を取り上げてみました。

こういう簡単な症例でも、安全かつ速やかに動物の苦痛を取り除いてやることが大切だと思ってやっております。

ではまた。

 

最近来院した子犬たち

症例の紹介や解説も大切ですが。

時々、日常診療で頭も気持ちも飽和状態になってしまって、病気のことを書くのがしんどいと思うことがあります。

昨日から重症の膵炎疑いの18才猫ちゃんが入院しておりまして。夜間に数回起きて状態を診ていると、どうしても睡眠のリズムが乱れてしまいます。今日は、さすがに眠くてしようがありませんが。ここ数日来院した可愛い子犬たちを紹介してみたいと思います。

まず最初に。生後14日目のシェトランド・シープドッグの赤ちゃんです。
眼がやっと開いて来たところです。

ちいちゃくて、とても頼りなさげなのが、たまりませんね。

お母さん犬は、とても別嬪さんです。話しによると、お父さん犬もナイスな男前だそうですから。
この子も別嬪さんに育つことと思います。

次は、生後2ヶ月令のラブラドールレトリーバーの男の子です。リキという名前は、1年以上前に亡くなった先代のリキの名前を引き継いだものです。

先代のリキは、私が繁殖した犬で、それは素敵な犬でしたが。高齢になり病を得て飼い主様に見守られながら一生を終えました。

飼い主様は、先代リキが亡くなった後、どうしてもリキのことが忘れられずにいて。リキの親犬を私にお世話してくれた奈良県のブリーダーさんにお願いして。1年待った後、先代のリキそっくりな可愛い子犬がやって来たということであります。

この系統のラブは、姿形の美しさもさりながら、気性の素晴らしさが際立っております。イケメンラブに育って行くことと思います。

最後に、4ケ月令のコーギの女の子です。

この子の飼い主様は、ゴールデンレトリーバーの女の子、コーギの母娘、猫ちゃんとの賑やかな生活を楽しんでおられたのですが。年を経て犬たちは全頭亡くなってしまったのです。

わんちゃんたちが全く居なくなってしまって、寂しくなったものですから。もう一度コーギをと。迎え入れたのがこのくるみちゃんであります。

しかし、子犬はどの子も可愛いですね。見ていて飽きません。

この子たちと飼い主様たちが、これから末永く幸せに暮らしていけますように、心から祈っております。

しかし、それにしても、眠いです。膵炎疑い猫ちゃんの状態は、昨日よりも落ち着いて来ているように思われますが。これからどうなっていくのか?まだまだ予断を許しません。元気に退院出来るよう頑張ります。

ではまた。

グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

すっかりご無沙汰しております。
4月、5月は狂犬病予防注射やフィラリア予防のシーズンですから。少しだけ余裕が無くなるのが正直なところです。

でも、不思議なことに。この時期は重病の症例がそんなに出ません。わんにゃんたちにとっては過ごしやすい良い季節だということなのでしょうね。

今日は第4金曜日ですので、いつものように特別養護老人ホーム鶴林園に犬猫幼児連れ訪問に行きました。訪問ボランティアの方もいつもの人たちばかりです。

訪問前に集合するようにと決められた午後1時45分に園の庭に行きますと。ボランティアの皆さんは大体集まっていて、犬たちを遊ばせながら談笑しておられます。

私は、久し振りに連れて来たベルジアン・マリノワのゴーシュの簡単な服従訓練とボール遊びをやりました。忙しさにかまけて、彼のトレーニングはほとんどやっていませんが。当面の紐付き服従は完璧にこなしてくれます。

ベルジアン・マリノワは、さすがに防衛訓練のエキスパートというだけあって。動物病院に出入りする業者さんのうち若い元気な人に片袖防御衣を持たせて咬ませてみると、それは、もの凄い威力の咬みを見せてくれるのがゴーシュであります。

ゴーシュはそれでも私のコントロールを完璧に受け入れてくれる素直な犬です。
ただし、私以外の人の言うことは、ほとんど適当に聞き流す程度であります。

動物病院スタッフがシャンプーをするのが困難になってしまったゴーシュを、日陰に止めた自動車に残して。午後2時過ぎから園の2階ホールで触れ合いの時間を持ちますが。あっという間に楽しい時間が過ぎて行きます。

この活動は、訪問を受けるお年寄りばかりが楽しいのではなくって、訪問に来た我々ボランティアも、犬猫幼児たちも、そしてこの活動を手助けする園のスタッフの皆さんも、全員が楽しく過ごすことの出来るということで。

自画自賛になるかも知れませんが。誰も損をしない。我慢しない。すごく有り難い活動なのであります。

この冬に産まれたコーギの赤ちゃんたちも順調に育って、車椅子のお年寄りの膝の上から床に飛び降りることが出来るようになりました。

触れ合いの時間が終わると、1階食堂で園のスタッフさんと訪問ボランティアの皆さんとでミーティングを行ないます。

今日もスタッフさんから、お年寄りの皆さんの毎日の生活の表情とこの訪問の時の表情との差とかのお話しもあり、来月もまた頑張って訪問に来ようと、心を新たにすることでした。

ミーティングが終わると、急いで動物病院に戻って、午後の診療を行ないます。

今日も楽しく過ごすことが出来ました。

ではまた。