兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 08/02 ミニチュアブルテリア若犬の毛包虫症
院長ブログ

08/02 ミニチュアブルテリア若犬の毛包虫症

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今年1月29日生まれで、6月終わり頃に去勢手術を行なったミニチュアブルテリアの男の子の話しですが。

7月26日に首の皮膚が痒くなったということで来院されました。

全身の皮膚を診てみると、首の後ろと左側面、左手の甲、右前腕後ろ側、右の内股に脱毛とその部分の発赤が見られました。

これだけの所見では、細菌感染とか真菌感染、寄生虫疾患やアレルギーなどの鑑別は正直難しいです。

とりあえずになりますが、可能性の大きな順番から、細菌感染や、犬種的にマラセチア感染あたりを疑って、セファレキシンという抗生物質の内服とマラセブシャンプーによる薬浴を1週間実施することにしました。

1週間後の8月2日、再来院したのを診ると、脱毛部の赤味は、部分的には改善されていましたが、改善していない場所もありますし。皮膚の痒みは相変わらずだということでした。

この時点で、アレルギーも疑ったのですが。それ以前に除外しておくべき疾患として、皮膚に住む毛包虫とか疥癬虫のようなダニの感染があります。

脱毛部の皮膚の表面を鋭匙で掻き取って、それを10%KOHとDMSOという薬剤で溶かして顕微鏡で観察するという、「皮膚掻き取り試験」を実施しました。

画像に見られる細長い虫が毛包虫(アカラス)というダニの一種です。

毛包虫は、普通に健康な犬の皮膚にごく少量寄生しているのが普通なのですが、このように脱毛や痒みを引き起こすほど増殖するのは、動物の免疫機能が不十分な場合に見られると言います。

若い犬が一過性に毛包虫症にかかるのは、時々見られることで、特にブルテリアとかのシングルコートの皮膚がデリケートな子に頻繁に見られるように感じますが。柴犬やボーダーコリーのような犬種でも見たことはあります。

若年性の毛包虫症は、大概は治療を施せば一過性のものに終わることがほとんどですが。
要注意なのは成犬になって、それも6才とか7才以降の中高齢になって発症する毛包虫症です。

中高齢の犬の毛包虫症を発見した場合には、必ず副腎皮質機能亢進症とか悪性腫瘍とかの犬の免疫機能が低下している原因を調べる必要があります。

毛包虫症の治療法ですが、ドラメクチンという抗生物質の一種を毎週1回、計8回皮下注射する方法とか、アミトラズという薬品での薬浴とかの方法があります。

ミニチュアブルテリアの飼い主様は、今回はアミトラズ薬浴を希望されました。薬浴はご本人が実施するのを前提にしておりますので、薬浴のやり方を説明してアミトラズの原液を1回分だけ処方しました。

アミトラズ薬浴は、最初の数回は週に1回。治療効果がはっきりと現れれば隔週に1回のペースで実施して。

最後に2回か3回皮膚の掻き取り試験で陰性が続いたらお終いにするようにしております。

ブルテリ君、一過性の疾患で済みますように。