兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 軟部外科
院長ブログ

カテゴリー別アーカイブ: 軟部外科

08/20 エアデールテリア足先の悪性黒色腫手術完了

7月13日に初診で針吸引と細胞診を実施して、診断がつかず。
7月19日に、生検切除で病理検査をやって、やっと悪性黒色腫と診断がついて。

7月30日に腫瘍切除の手術を行なった後、この子の皮膚の常在菌の問題なのか?薬剤耐性菌が感染しまして。
しばらく細菌培養と抗生物質感受性テストを行った結果に基づいて、一生懸命治療を行ないまして。

本日晴れて抜糸完了しまして。

手術の際に切り取った腫瘤の病理検査も、マージン10ミリで完全切除とお墨付きを戴きました。

 何せ、中指と薬指に相当する指を2本セットで切除してしまったものですから、肢は一見チョキ状態であります。

それでも、肉球は温存されていて、普通に歩行可能ですから。執刀獣医としては我ながら上手に出来たと自画自賛しているところであります。

悪性黒色腫は、しかし、悪性度が高くて転移や再発が生じやすい腫瘍です。
完全切除はされてはいますが、今後の経過を注意深く診て行きたいと思います。

08/10 生ジャガチワワちゃん、元気でした。

昨晩生ジャガイモ2センチ角切りを食道に詰めて危ないところだったチワワちゃん。

午後診で容態確認のために来院されました。

元気に食事も摂っているらしいです。

胸部聴診をして、麻酔の副作用で不整脈とか肺水腫とか生じてないことを確認して、静脈留置カテーテルを抜去して終了としました。

これで本当に一件落着です。チャンチャン。

ではまた。

08/09 チワワの食道内異物

午後診も終わりに近づいた頃、もうそろそろ閉める準備をしようと思いつつある時間に、チワワちゃんの来院がありました。

約1時間前に2センチ角に切った生のジャガイモを飲み込んだのだけれど、それから急に気分悪そうになって、2回ほど泡を吐いたとのことです。
その後もまだ気分悪そうなので連れて来たということでしたが。

飼い主様に抱っこされたチワワちゃんは、そんなに気分悪そうでもなさそうです。

しかし、こんな時に事態を甘く見ていると、危機の見落としという最悪の事態に陥る可能性がありますから。

2センチ角切り生ジャガイモということであれば、異物は食道内に停留している可能性があること。
異物を確認するためには、造影剤を口から飲ませてエックス線検査をする必要があること。

上記2点を飼い主様に説明させていただき、了解を得た上で、ヨード系造影剤のガストログラフィン5ミリリットルを注射器を使用して飲ませてからエックス線写真を撮影しました。

食道内に角ばった物体が、特に側方から撮影した写真ではっきりと確認出来ると思います。

さて、この異物をどうして処理したものか?

プロポフォールという短時間作用型の安全な静脈麻酔を使用して眠らせて置いてから、胃カテーテルで胃内に押し込むことにしました。

左前肢の静脈にカテーテルを留置して、プロポフォールを適量ゆっくりと注入すると、チワワちゃんは穏やかに意識を失います。

太いのと細いのと、2種類準備してあるゴム製の胃カテーテルのうち、細いのを用意して。
それをチワワちゃんの口から挿入し、押して行きます。

勿論、口から胃までの距離を測って、カテーテルのどの部分まで入れれば胃に到達するのかは、挿入前に実施してます。

ここらが異物か?という辺りで、少し抵抗が感じられましたので、ひどく乱暴にならない程度に押してみます。

ポン!!という感じでカテーテルが胃の中に入りました。

もう1回カテーテルを引いて押してみます。

ポン!!の感覚は今度も感じられました。カテーテルの先端が噴門という胃の入り口を通過する際にこんな感じになるようです。

胃カテーテルを抜いて、確認のためのエックス線検査を行ないました。

食道内の異物は消失しています。

プロポフォールの麻酔は、約15分で醒めますので、立ちあがって歩くようになった時点で帰ってもらいました。

翌朝に状態観察のために来院していただく予定ですが。もう大丈夫かな?と考えています。
ただ、2センチ角の生のジャガイモが、胃の中でどれくらいこなれてくれるのか?まさかトウモロコシの芯のようにずっと形を保って、腸閉塞の原因にはならないとは思いますが。
そこのところは、僅かながら不安もあります。

 

07/30 エアデールテリア趾間腫瘤の摘出

7月13日と19日の2日にわたって過去の院長ブログに掲載しておりました、エアデールテリアのエルちゃんの左前肢第3-4趾間の腫瘤は、結局切除生検までやって、「悪性黒色腫疑い」という診断が付きました。

「疑い」ということは、細胞とその配列が典型的な悪性黒色腫の形態をしていないということなのでしょうね。

しかし、そこまでの診断が付いたわけですから。切除するということになりました。

切除手術は本日午後に実施致しました。

切除生検の際に大きく取りましたので、何か腫瘤が無くなったように錯覚しそうですが、皮膚が黒っぽく見えている部分はメラノーマが浸潤しているのではないか?と疑っています。

午後1時から型通りに麻酔導入をして、術野の毛刈りと消毒、術者助手の手洗い消毒術衣手袋の装着を行ない。切皮開始は50分くらいでしたか?

手術時間は切皮から縫合終了まで約1時間でした。

出来上がりの画像はこんな感じです。

足の裏の大きな肉球と人間で言う人差し指、小指を残したのは、なるべく自然に歩行出来るようにと考えたからなのですが。
もしかして、その結果として健康な部位を付けて完全切除をする、いわゆるマージンが不足して、腫瘍細胞が残ってしまう可能性もあります。

そこで、摘出した組織はもう一度病理検査に出して、完全切除が達成出来ているのかどうか?を組織学的に見てもらうことにしました。

ボトルの中に見えているのは、摘出した中指と薬指に相当する趾です。

エルちゃんは、術後はケージで休んでおります。今日の午後6時には退院出来ると思います。

完全切除が出来ていて、再発や転移が生じませんように。