兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2013 6月 28
院長ブログ

日別アーカイブ: 2013年6月28日

ジャーマンシェパード若犬のイレウス

もうすぐ1才になるジャーマンシェパードの男の子の話しですが。

前日から嘔吐し始めたということでの来院でした。

血液検査と腹部エックス線検査では決め手になるような所見は得られませんでしたので。とりあえず注射を3本打って1日様子を見ましたが。改善しませんでしたので。飼い主様の言う「何でも飲み込んでしまう。」という事を追求すべく、バリウムによる消化管造影を試みました。

口にバイトブロックを装着して、胃チューブを使ってバリウムを250ミリリットルほど注入します。

撮影は、造影直後と、1時間後、2時間後、3時間後という感じで実施します。

3時間後の側面像でここに異物が?と思われる陰影が見られました。

画像右下部分の腸管にわずかなくびれが見えることと、その部分の口側に急にバリウムの濃度が薄くなる部分があります。

午後から予定が入っていた手術を夜に残業して実施することにして。試験的開腹を行ないました。

お腹を開いて、胃から順に消化管を触って調べて行くと、空腸という部分に何かが詰まって動けなくなっているのが見つかりました。

開けてみると、テニスボールの破片が出て来ました。

異物を摘出した腸管の傷を縫合して、閉腹する前にもう一度胃から直腸まで消化管を手で触って精査して別の異常が無いかどうか確認します。

具合の悪い場所は、テニスボールの1ヶ所だけだったようです。

腹膜、腹筋、皮下織、皮膚と順に縫って行って、麻酔導入から約3時間弱で手術は終わりました。

試験的開腹となるとどうしても切開創は大きくなりますが。傷が癒合するのに要する期間は大きくても小さくてもほとんど変わりません。

この子のように胃や腸を切開した動物は、術後は入院させて静脈輸液を続け、24時間後にはまず水を与えてみて、異常が無ければ残渣の少ない処方食を当ててて行きます。

シェパード君も、24時間後には水を飲んで、その後少量の食事を食べ。翌日には普通に処方食をどんどん食べて、お水も飲んで、手術から2日後の夕方には退院しました。

やんちゃで食いしん坊のワンちゃんについては、異物の誤嚥に特に注意する必要がありますね。

それにしても、今年は犬のイレウスの手術が多いです。一月に1件か2件はやっているように感じております。

 

手術の場合、開ければそこを縫ってやらなければなりません。