兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 03/02 ジャーマンシェパードの下痢症
院長ブログ

03/02 ジャーマンシェパードの下痢症

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本日午前診を受診された10才になったばかりのジャーマンシェパードドッグのモモちゃんの話しですが。

約1ヶ月前から良便と下痢を数日毎に繰り返すようなことで、お腹はひどく空腹で食糞するくらいひもじいのに、いくら食べても進行性に削痩して行くということです。

下痢には時々鮮血が混じったり、粘液が混じったりするのですが。糞の臭いはかなりの悪臭であるということで。持参された便は消化不良性の下痢という印象でした。

モモちゃんは、もともとすごく神経質な子で、近所の子が塀にボールをぶつける音とか、見知らぬ人が家に入って来るとか、心理的にプレッシャーを感じるとてきめんに下痢をする傾向があったということです。

私としては、稟告で症状を聴き、モモちゃんの表情とか体形とかを見て、膵酵素が不足している下痢症ではないか?という印象を受けました。

しかし、先入観とか直感だけで仕事を進めていると、いつか大失敗しそうになると思いますので。糞便検査、腹部エックス線検査、院内での血液検査(全血球計数と血液生化学検査)を実施することにします。

糞便検査の結果は寄生虫は発見出来ずで、腹部エックス線検査では消化管内にはガスのみで食事が入っていないことが判っただけで。
全血球計数は異常値は無し。血液生化学検査ではほとんどが正常値であるも、総コレステロール値のみが正常値よりも低いという結果でした。

これまでの検査結果と症状、糞便の性状から、膵臓からの消化酵素の分泌不足の有無を確かめるために、東京のアイデックスラボラトリーズの行なう、犬トリプシン様免疫反応物質(c-TLI)という検査を外注で行なうことを提案させていただき、飼い主様の承諾を得て検体の血清を採取しました。

検査結果が出るまでの間、1週間分のお薬として、当院で下痢セットと称している、ペニシリン系の抗生物質と、下痢止め2剤の合剤、耐性ビフィズス菌の3つのお薬の組み合わせと、パンクレアチンという消化酵素製剤を処方します。

c-TLIの検査結果は、来週後半までには報告があると思います。さて、どんな展開になるのでしょうか?

あるいは、単に神経が過敏なジャーマンシェパードドッグに良く見られる精神的な下痢だったりするかも知れませんが、私としては膵酵素分泌不足の予想を立てております。