兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 03/08 犬の食物有害反応による皮膚炎
院長ブログ

03/08 犬の食物有害反応による皮膚炎

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今回の症例は、1才2ヶ月令にになる黒ラブの男の子なのですが。

生後約6ヶ月令の頃より顔面、手足の先、脇の下、内股の皮膚に炎症が生じてひどく痒いという事でした。

皮膚の掻き取り試験では疥癬や毛包虫のような寄生虫は発見されません。細菌や真菌をコントロールしても、痒みは少しましになる程度で消失はしません。

しかし、試験的に投与したステロイドホルモンには劇的に反応して、痒みはほとんど生じなくなります。

従来の知識では、ステロイドホルモンが劇的に利く痒みの原因は、蚤アレルギーとアトピーという認識でしたので、おそらくアトピー性皮膚炎であろうと説明して来ました。

その後、ステロイドホルモンと抗ヒスタミン剤、脂肪酸製剤の組み合わせで治療を継続して、それなりの効果を得て来ておりましたが。

若い犬でもあり、今後の長い治療生活の事を考えると、一度血液検査で詳しくアレルギーの状態を確認したいという飼い主様の考えもあって。
動物アレルギー検査株式会社のアレルギー検査を受けることにしました。

この検査は

1、アレルギー強度試験というアレルギーの強さを評価する検査。

2、アレルゲン特異的IgE検査という、1型アレルギーの原因である免疫抗体の1種のIgEがどんな種類の抗原に対して造られているのか?という検査。

3、リンパ球反応検査という、確かⅣ型アレルギーだと思うのですが、リンパ球が直接食べ物に反応して生じるアレルギー反応がどんな食物に対して生じるのか?という検査。

の3つの検査から成り立っております。当然そのどれかをピックアップして行なうことも可能でして。アレルギー強度検査だけを先に実施して、現在生じている皮膚炎がアレルギー性であるということを確認してから、2、3に進むやり方でも良いのですが。

どうしても、検査の精度を上げるためには、ステロイドホルモンを打ち切って4週間から6週間は経ってから検査をすることが望ましいために。

黒ラブちゃんの飼い主様は、投薬中止の期間を少しでも短くして、ワンコが苦しむ時間を短くしようと考えられてか、3種類の検査を一気に行なうことを希望されました。

これらの検査において動物病院ですることと言えば、採血をして、血清を少量と、全血を試験管に2本とを動物アレルギー検査株式会社に冷蔵宅急便で送るだけです。

それで、9日かかってファクスで送られて来た検査結果ですが。

アレルギー強度試験は、試験に使用したリンパ球の45.6%が反応したという事で、2歳未満の子が16.3%以上反応すれば陽性という事ですから。
この黒ラブちゃんの皮膚炎はアレルギー性のものであると言って良いということになります。

次に、アレルゲン特異的IgE検査の結果ですが。私の予想とは全く異なっていました。
どの抗原に対しても、アレルギー反応が生じるレベルまでにはIgEは産生されていなかったのです。


最後に、リンパ球反応検査の結果が帰って来ました。

ここでは、牛肉、豚肉、卵白、小麦の4種類の抗原に対して、リンパ球が強く反応するという結果が得られました。


以上の結果から、黒ラブちゃんの皮膚炎はⅣ型アレルギーであり、その原因物質は、牛肉、豚肉、卵白、小麦の4種類の抗原が関与している可能性が高いということが言えると思います。

ただ、リンパ球反応試験では、一般にアレルゲン除去食に使用されている蛋白については実施していません。

黒ラブちゃんの飼い主様には以上の事を説明させていただき。加水分解蛋白質を使用したアレルゲン除去食を処方すると共に、加水分解蛋白の効果が表れるまでの約1ヶ月間はステロイドホルモンなどの抗アレルギー剤の投与 を継続することにしました。

後は、その効果を判定するだけなのですが。

今回の検査では、生き物の検査には珍しいくらい綺麗な結果が得られておりますので。それが実際の生体での治療とどう結びつくのか?大きな関心を持って見守っているところであります。

なお、病変部の画像は、飼い主様に提供をお願いしておりますので、しばらくお待ち下さい。