兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 院長ブログ

院長ブログ

膵炎と発作に関連あり?

今日の症例は、痙攣を起こすという稟告で受診された6才のトイプードルの男の子です。

数年前に他所から譲り受けて、何かと吐くことが多い印象だったそうなのですが。
3月初めにいきなり激しい痙攣が生じて。一応すぐに回復してケロリとしていたので様子を見ていたら、14日の夕方から震えが出始めて、よだれが沢山出て、後ろ向きに歩くような奇妙な行動が出たりしたので、近医にて受診されたそうです。

そこの先生は、一応血液検査をしてから痙攣を抑える注射を打ってくれたそうですが。これから先が不安なので当院の患者様の紹介でこちらに受診されたという事でした。

動物に痙攣発作が生じるような場合、癲癇とか水頭症のような脳の疾患を疑う前にやらなければならないことは。
低血糖性発作、心臓性発作、低カルシウム性発作、尿毒症性発作、などの代謝性というか内臓性というかの発作を除外しなければなりません。

この子の場合、先の先生のところで血液検査をしたとか聴きますが。データが手許に無いということなので、当院でも採血させてもらいました。

心臓に関しては、聴診でかすかに全収縮期性雑音が聴取されましたが、発作を起こすほどの弁膜症ではないと判断しました。

簡単な脳神経の検査では、光に対する瞳孔の反射は正常で、威嚇反射も正常ですから、この度はそれ以上は診ませんでした。

血液検査の結果では、全血球計数は総て正常値。GPTが高値(609U/L)リパーゼが1000U/Lオーバーというのが正常範囲外の数値でした。

肝機能と膵機能に異常が生じている可能性がありますので。
肝機能に関してはウルソの錠剤と、サミイの含まれたサプリを処方して。
膵機能に関しては、もう一度採血を行ない、血清を分離して東京のアイデックスラボラトリーズに犬膵特異的リパーゼの検査を外注しました。

2日後に帰って来た検査結果では、犬膵特異的リパーゼも1000mg/dlオーバーというかなりの高値であります。

犬膵特異的リパーゼと犬の膵炎に特異性の高い検査項目で、これが基準値以上に上昇していると膵炎と言い切って良いと、セミナーでは聴いております。。

この子の発作も、最初に生じたのは詳しく聴くと痙攣で間違いないと思いますが、2回目の発作は震えとか後ずさりですから、あるいは膵炎関連の腹痛で生じた症状だったのかも知れません。

肝機能障害とか腎機能障害は、膵炎で普通に生じますからGPTの高値は膵炎関連のものの可能性が高いでしょう。

なお、膵炎が慢性か急性かということは、臨床症状と経過から判断しなければなりません。今回の膵炎は元々慢性膵炎を持っていたのが急性化した可能性があります。
慢性膵炎は、時々急性化しながらジミジミと燃えて行って、進行して行くと膵臓から出なければならない消化酵素が不足するようになったり、膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインスリンというホルモンが不足するようになって糖尿病になったりする可能性があります。

慢性膵炎は、主に低脂肪食を食べさせることによって管理して、時々の急性化には輸液や抗生物質などで対応して行くことになります。

今回の膵炎には、先に処方した肝臓関係の薬に加えて、抗生物質を処方するのと、低脂肪処方食を処方することで対応することにしました。

膵炎が痙攣を生じさせるというのは聴いたことは無いですが。抗痙攣剤は処方することは控えて、まず膵炎に対応してから痙攣発作が別に生じるかどうかを見極めて行こうと考えています。

膵炎に関連しては、急性慢性他疾患との係わりとか、それこそいろいろなパターンの症例が増えて来ています。
最近は自己免疫疾患との関連を疑わせるような子も治療中なのですが。その子についてはまだ帰趨が判明していませんので、後日にまとめてみたいと考えています。

ではまた。

 

 

 

グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

本日第4金曜日は、市内の老人ホームへ犬猫子供連れでボランティア訪問に参加する日です。
今日は、学校が明日から春休みということもあって、近所の小中学校生徒とかの参加もあったりして、訪問ボランティアさんも多く参加され、賑やかなイベントになりました。
ベルジアン・マリノワゴーシュも随分賢くなり。早目にホームに行って、園庭でボール投げや咬み付きパッドの引っ張りっこ、服従作業のおさらいをやったりして。
時間が来て園の2階ホールに上がる前に、トイレに行く時などは伏せて待つことも出来るようになりつつあります。

ユリウス@素人ハンターの出猟日記

実際にホールでお年寄りの方々と触れ合う時も、お利口そのものです。

今日も可愛いお子様が参加されていまして。ゴーシュもお子様との接近遭遇を楽しんでおりました。

ユリウス@素人ハンターの出猟日記
ユリウス@素人ハンターの出猟日記

最後のミーティングで、入所2ヶ月のお年寄りで、日頃の生活ではスタッフの方とのコミュニケーションが上手く行かずに、介護拒否とでも言えるような状態になってしまっていて、いつも怒ったような感じの人が、本当に入所後初めてではないかというような満面の笑顔を見せてくれたと、園のスタッフさんが発言されたのが印象的でした。

5才のペキニーズの子宮蓄膿症

昨日来院された5才のペキニーズの女の子ですが。ここ1週間ほど食欲が低下して好物しか食べなくなっていたのが、来院当日の朝から下痢が始まったということでした。

このペキちゃんは、とにかく神経質な子で、飼い主様の娘さんが最近出産されて、お孫さんと一緒に里帰りする度にひどく嫉妬するのか?食欲不振に陥るのだということです。

しかし、一応検便に加えて血液検査と腹部エックス線検査を行なうことにしました。

検便では浮遊集虫法、直接塗抹法共に寄生虫は見つかりません。血液検査では総蛋白が高値ということ以外にはそんなに問題は無かったのですが。

腹部エックス線検査のフィルムを見ると。お腹の中に見えてはならない異常な陰影が見られます。

画像の矢印の位置辺りがそうなのですが。何か大きな塊状の物があるのです。

ペキちゃんは未避妊ですから、このような陰影を見れば、まず疑うのは子宮蓄膿症ということになります。

すぐに腹部エコー検査を実施したところ、陰影の正体はチューブ状になっていて内部に液体を貯めている構造であるということが判明しました。いよいよ子宮蓄膿症の疑いが強くなります。

当日午後には獣医師会の総会がありますので、ペキちゃんの状態から翌日の手術でも大丈夫だろうと判断して、乳酸リンゲル液の皮下輸液と抗生物質の皮下注射を実施して帰っていただきました。

午後に、獣医師会から帰ってみると、ペキちゃんの飼い主様から電話が入っていて、午後から2回吐いたのだが大丈夫だろうか?という事であります。

飼い主様も相当不安そうですし。その日のうちに残業して手術をしてしまうことにしました。

午後診の前に来院していただいて、前腕の静脈にカテーテルを留置し、乳酸リンゲル液をゆっくりと輸液しつつ午後診終了を待ちます。

午後7時から麻酔導入を開始し、お腹を開けてみました。

ペキニーズなどの短吻犬種の場合、軟口蓋の長さが異常に長くなっていて、それが咽喉に垂れ下がっていることが多く。ペキちゃんもそのために気管チューブの挿入に少し手間取りました。

開腹してみると、すぐにひどく腫大した子宮が現れます。

超音波メスを使用して速やかに摘出を行ないました。

私が手で保持しているのが腫大した子宮ですが。体重5キロ程度の小柄なペキニーズくらいだったら、細身のボールペンくらいの太さが正常です。それがバナナくらいの太さになっているのですから、大変なことになっております。

摘出した子宮をメスで突いてみると、濃厚な血膿が溢れ出て来ます。すぐに細菌培養と薬剤感受性試験を実施しました。

麻酔からの覚醒は順調で。夜間の状態も概ね良好で、私自身も一応生き物ですからずうっと見ているわけではなく、時々の容態観察のために細切れにしても睡眠は取りましたが、そう不安を感じることなく夜を過ごすことが出来ました。

夜が明けて、ペキちゃんは気分はかなり良さそうです。術中にモルヒネを使用したり、術後に3日間効果が持続するフェンタニルパッチという麻薬の貼付剤を使用しておりますので、疼痛はほとんど感じていないと思います。

しかし、手術前の状態がかなりの食欲不振があったりと、それなりに状態が悪かったのと、ひどく怖がりで神経質な子であるためか、手術翌日の午後に差し掛かってもまだ食事を食べようとはしません。

術後は数日間静脈輸液を実施して、普通に食べるようになれば退院という事になりますが。早く回復してもらいたいところであります。

でも、子宮蓄膿症。乳腺腫瘍と共に早期の卵巣子宮全摘出によって防ぐことが出来る病気です。牝犬を飼われている方は、繁殖予定が無いようであれば、早目に避妊手術を実施された方が良いと思います。

 

03/19 猫の重度歯周病の治療としての全顎抜歯

Pちゃんは最近保護された女の子の猫ちゃんです。

保護された当初、ひどく下痢が続いていて、食欲はそれなりにあるものの食べても太らないという感じで、痩せて毛並みも粗く、猫ハジラミなんかも寄生してたりと、とにかくコンディションの悪い事でしたが。

当院に健康診断のために来院されて、血液検査とかしてみたところ。
猫免疫不全ウィルス(エイズウィルス)や猫白血病ウィルス、猫コロナウィルスなどの免疫不全を生じるウィルスのキャリヤーでもありませんし。
腎機能、肝機能、電解質の異常なども特に認められません。

なお、歯周病はかなりのものです。年齢は不詳ですが。一応10才という事にしておきました。

初診時の対応としては、猫ハジラミの駆除薬としてフロントラインを頸部皮膚に滴下し。翌日か翌々日を目途に滴下剤としての消化管内寄生虫駆除剤と抗菌剤を処方しました。

翌日に持参された便を浮遊集虫法と直接塗抹法の二つの方法で検便しましたが、寄生虫の虫卵は見つかりませんでした。ただ、その4日後に回虫が1匹だけ排出されました。

虫卵が見つからないのに虫が排出された場合、虫の種類によっては1匹だけ寄生、あるいは雄だけ?雌だけの寄生によって虫が卵を産卵出来なかった可能性があります。

検便で虫卵が発見出来なかったので、一般的な下痢止めの処方をしたところ、それからはどんどん状態が良くなって、下痢は止まり、栄養も吸収されるようになったのか?体重も増加して行きました。

飼い主様は歯周病の処置を望まれましたので、初診から1週間後に麻酔下で歯周病の処置を行なうこととしました。

麻酔をかけて口の中を精査してみると、歯が残せるような状態ではありません。

画像の矢印のところの歯なんか典型的な状態ですが。歯肉が後退して歯根が大きく露出して、多くの歯に動揺が見られます。

全顎抜歯の適用と致しました。

ボロボロになった歯周病では、全顎抜歯は意外に簡単に済んでしまいます。

ただ、歯を抜いた跡は歯槽骨を指でなぞってみて、尖った部分があるようならば、ラウンドバーという丸いドリルの先を用いて滑らかになるように削ってやって、歯肉を寄せてモノフィラメントの合成吸収糸で縫合してやらなければなりません。

画像は歯を全部除去した状態ですが、下顎に縫合糸の結び目が見えることと思います。

抜いた歯は以下のようなじょうたいでした。

手術の翌日に経過観察で来院された時には、上顎の歯周病なんかは炎症がかなり治まって来ているのが診て取れました。

これからのことですが。術後1週間くらいでワクチン接種を始めることと、もう少しして初夏になる頃からフィラリア予防を始めれば良いでしょう。

Pちゃん、これからは優しい飼い主様の許で幸せに生きて行けることと思います。

今までが相当不幸だったみたいですから。その分幸せになると確信しております。

 

03/09 ジャーマンシェパードの下痢症 その2

3月2日にアップしたジャーマンシェパードのモモちゃんの下痢症のその後ですが。

アイデックスラボラトリーズに外注した犬トリプシン様免疫反応物質(c-TLI)の検査結果は、20.1ng/mlという正常範囲のものでした。

検査結果が正常範囲だから膵外分泌不全は除外されるのか?

試験的に投薬した結果ではどうだったか?と言えば。

悪臭ある未消化下痢便は見事に良便になって、体重も1週間で600グラムほど増えて、非常に良い状態になりました。という報告であります。

なお、便の性状ですが。投薬以前の便は、そんなに軟らかくない状態であっても、トイレで処分する際に便器に付着すると何回流してもいつまでもしつこく汚れが残るようなものだったのが。
投薬後の便は便器に触れても付着することもなくサラリとした感じですということであります。

なお、今回の投薬では、消化酵素のパンクレアチン以外に細菌を殺す抗菌剤と下痢を止めるお薬2剤の合剤、薬剤耐性ビフィズス菌を別に出していますから。

どの薬が効いて良い状態になっているのか?を検証するために、今日の投薬ではパンクレアチンだけを処方することにしました。

もし、これで下痢が再発するようであれば、膵外分泌不全ではない別の要因で下痢症になっているという事だと思いますので、いろいろと別の検査をしたりして追求しなければならないかも知れません。

下痢が再発しないのであれば、膵酵素が不足していると考えざるを得ないでしょう。

検査結果との不一致については、
1、膵酵素は十分量出ているが、何らかの原因で利用出来ていない。
2、膵酵素はある程度は出ているが、量が不十分である。

辺りが原因なのかも知れません。

モモちゃんの状態は一応改善しておりますので、今しばらく処方を工夫して追求してみたいと思います。

飼い主様を見上げるモモちゃんは、本当に幸せそうであります。

 

03/08 犬の食物有害反応による皮膚炎

今回の症例は、1才2ヶ月令にになる黒ラブの男の子なのですが。

生後約6ヶ月令の頃より顔面、手足の先、脇の下、内股の皮膚に炎症が生じてひどく痒いという事でした。

皮膚の掻き取り試験では疥癬や毛包虫のような寄生虫は発見されません。細菌や真菌をコントロールしても、痒みは少しましになる程度で消失はしません。

しかし、試験的に投与したステロイドホルモンには劇的に反応して、痒みはほとんど生じなくなります。

従来の知識では、ステロイドホルモンが劇的に利く痒みの原因は、蚤アレルギーとアトピーという認識でしたので、おそらくアトピー性皮膚炎であろうと説明して来ました。

その後、ステロイドホルモンと抗ヒスタミン剤、脂肪酸製剤の組み合わせで治療を継続して、それなりの効果を得て来ておりましたが。

若い犬でもあり、今後の長い治療生活の事を考えると、一度血液検査で詳しくアレルギーの状態を確認したいという飼い主様の考えもあって。
動物アレルギー検査株式会社のアレルギー検査を受けることにしました。

この検査は

1、アレルギー強度試験というアレルギーの強さを評価する検査。

2、アレルゲン特異的IgE検査という、1型アレルギーの原因である免疫抗体の1種のIgEがどんな種類の抗原に対して造られているのか?という検査。

3、リンパ球反応検査という、確かⅣ型アレルギーだと思うのですが、リンパ球が直接食べ物に反応して生じるアレルギー反応がどんな食物に対して生じるのか?という検査。

の3つの検査から成り立っております。当然そのどれかをピックアップして行なうことも可能でして。アレルギー強度検査だけを先に実施して、現在生じている皮膚炎がアレルギー性であるということを確認してから、2、3に進むやり方でも良いのですが。

どうしても、検査の精度を上げるためには、ステロイドホルモンを打ち切って4週間から6週間は経ってから検査をすることが望ましいために。

黒ラブちゃんの飼い主様は、投薬中止の期間を少しでも短くして、ワンコが苦しむ時間を短くしようと考えられてか、3種類の検査を一気に行なうことを希望されました。

これらの検査において動物病院ですることと言えば、採血をして、血清を少量と、全血を試験管に2本とを動物アレルギー検査株式会社に冷蔵宅急便で送るだけです。

それで、9日かかってファクスで送られて来た検査結果ですが。

アレルギー強度試験は、試験に使用したリンパ球の45.6%が反応したという事で、2歳未満の子が16.3%以上反応すれば陽性という事ですから。
この黒ラブちゃんの皮膚炎はアレルギー性のものであると言って良いということになります。

次に、アレルゲン特異的IgE検査の結果ですが。私の予想とは全く異なっていました。
どの抗原に対しても、アレルギー反応が生じるレベルまでにはIgEは産生されていなかったのです。


最後に、リンパ球反応検査の結果が帰って来ました。

ここでは、牛肉、豚肉、卵白、小麦の4種類の抗原に対して、リンパ球が強く反応するという結果が得られました。


以上の結果から、黒ラブちゃんの皮膚炎はⅣ型アレルギーであり、その原因物質は、牛肉、豚肉、卵白、小麦の4種類の抗原が関与している可能性が高いということが言えると思います。

ただ、リンパ球反応試験では、一般にアレルゲン除去食に使用されている蛋白については実施していません。

黒ラブちゃんの飼い主様には以上の事を説明させていただき。加水分解蛋白質を使用したアレルゲン除去食を処方すると共に、加水分解蛋白の効果が表れるまでの約1ヶ月間はステロイドホルモンなどの抗アレルギー剤の投与 を継続することにしました。

後は、その効果を判定するだけなのですが。

今回の検査では、生き物の検査には珍しいくらい綺麗な結果が得られておりますので。それが実際の生体での治療とどう結びつくのか?大きな関心を持って見守っているところであります。

なお、病変部の画像は、飼い主様に提供をお願いしておりますので、しばらくお待ち下さい。

 

03/07 老犬の認知症

リュウちゃんは、15才の柴犬の男の子ですが。

昨年の10月頃より夜昼構わず遠吠えをするということで、1月18日に来院して来られました。その吠え方ですが、昼の遠吠えは大きな声「オーッ」という感じで、夜の遠吠え?は比較的小さな声「ヒンヒン」という調子だそうです。

高齢になって耳も聴こえなくなり、眼も白内障で見え難くなり、不安な気持ちが強くなって、そこに認知症が加わって、大きな声で吠えるということは、犬では結構多く見られる症状です。

そんな症例が来ると、私が行なっている治療は。内服は抗不安薬と抗鬱薬を組み合わせて処方し。食事をヒルズのブレインダイエット(b/d) というのに変更するというものです。
治療開始直後は、幾分効果があるか?という感じだったり。抗不安薬が睡眠導入剤の効果も発揮したりして最初からかなり良い感じになったりと、効果には幾分のバラつきはありますが。

リュウちゃんは投薬して1週間で夜昼共に吠える声が小さくなったという稟告が得られて。

次の2週間後は昼間もあまり吠えなくなった。夜は静かにしているということになり。

次の2週間後はかなり大人しくしています。という報告となり。

更に2週間後の今日は、以前のように夜昼とも吠えることは無く、大変助かりました。ということになりました。

処方食はずっと続けるとして、投薬はどうなんだということですが。過去には食事だけで維持出来ないか?と試みたこともありましたが。
こんな症例の場合、投薬を中止するとまた吠え始めるのがほとんどなので、投薬は継続するようにお伝えしています。

リュウちゃん、とりあえず落ち着いた感じになっています。飼い主様も安心してリュウちゃんと暮らすことが出来るという事で、すごく満足されています。

これからもずっとこんな感じで幸せな老犬生活を送ることが出来たら良いですね。

 

03/02 ジャーマンシェパードの下痢症

本日午前診を受診された10才になったばかりのジャーマンシェパードドッグのモモちゃんの話しですが。

約1ヶ月前から良便と下痢を数日毎に繰り返すようなことで、お腹はひどく空腹で食糞するくらいひもじいのに、いくら食べても進行性に削痩して行くということです。

下痢には時々鮮血が混じったり、粘液が混じったりするのですが。糞の臭いはかなりの悪臭であるということで。持参された便は消化不良性の下痢という印象でした。

モモちゃんは、もともとすごく神経質な子で、近所の子が塀にボールをぶつける音とか、見知らぬ人が家に入って来るとか、心理的にプレッシャーを感じるとてきめんに下痢をする傾向があったということです。

私としては、稟告で症状を聴き、モモちゃんの表情とか体形とかを見て、膵酵素が不足している下痢症ではないか?という印象を受けました。

しかし、先入観とか直感だけで仕事を進めていると、いつか大失敗しそうになると思いますので。糞便検査、腹部エックス線検査、院内での血液検査(全血球計数と血液生化学検査)を実施することにします。

糞便検査の結果は寄生虫は発見出来ずで、腹部エックス線検査では消化管内にはガスのみで食事が入っていないことが判っただけで。
全血球計数は異常値は無し。血液生化学検査ではほとんどが正常値であるも、総コレステロール値のみが正常値よりも低いという結果でした。

これまでの検査結果と症状、糞便の性状から、膵臓からの消化酵素の分泌不足の有無を確かめるために、東京のアイデックスラボラトリーズの行なう、犬トリプシン様免疫反応物質(c-TLI)という検査を外注で行なうことを提案させていただき、飼い主様の承諾を得て検体の血清を採取しました。

検査結果が出るまでの間、1週間分のお薬として、当院で下痢セットと称している、ペニシリン系の抗生物質と、下痢止め2剤の合剤、耐性ビフィズス菌の3つのお薬の組み合わせと、パンクレアチンという消化酵素製剤を処方します。

c-TLIの検査結果は、来週後半までには報告があると思います。さて、どんな展開になるのでしょうか?

あるいは、単に神経が過敏なジャーマンシェパードドッグに良く見られる精神的な下痢だったりするかも知れませんが、私としては膵酵素分泌不足の予想を立てております。

 

02/24 柴犬の腸閉塞

午前診に来院して来た若い柴犬ですが。

10日前から食欲不振に陥って。近医で検査すると肝臓が悪いということで、治療を受けているのだが、嘔吐が止まらず。昨日は尿素窒素もかなり上昇して来たという事で、点滴を受けたと。
しかし、嘔吐は続くということでした。

犬を触ってみると、ひどく痩せています。1週間食べなくてもここまで痩せることはないと思います。

治療を行なっているのにも関わらず症状が進行しているということは、好い加減な対応をしては絶対に駄目だということですから。

血液検査と腹部エックス線検査をまず行なって、その結果によっては腹部エコー検査が必要になるかも知れないと、連れて来た方にはお伝えしました。

犬をお連れになった方は、現役の泌尿器科の女医さんだということで、犬は御実家の飼い犬だそうです。

血液検査を行なって、それを今まで治療して来た獣医さんのデータと突き合わせてみると、肝機能障害も腎機能の項目の異常も存在はしているが改善傾向にあり、このデータで食べないのはおかしいと思いました。
全血球計数ではほとんど異常値は見られません。

ただ、リパーゼがかなり高値であること、炎症マーカーである犬CRPがしっかり高値であることが目立つ異常値です。
ナトリウムイオン、カリウムイオン、クロールイオンなどの電解質が低値なのは持続的に嘔吐していて、まったく食べれていないという結果だと思います。

腹部エックス線検査では、腸管内に砂と思われる異物が沢山観察されました。それと、腸管内のガスの存在にかなり違和感を感じます。

これらのことから、疑わしい疾患は、膵炎、腸閉塞、何らかの薬物中毒辺り?かと推定しました。

膵炎に関しては、犬膵特異的リパーゼを東京のアイデックスラボラトリーズに外注することにして。

腸閉塞に関しては、午後から消化管造影検査を行ないました。

犬の口にバイトブロックを咬ませて、そこから細めの胃カテーテルを胃まで挿入して。この時に大切なのはカテーテルから液体を注入する前に必ず注射器で陰圧をかけて空気がどんどん入って来ないか?ということをチェックしなければなりません。

滅多に無い事ですが、胃カテーテルが間違って気管に挿入された状態で液体を注入すると、窒息したり誤嚥性肺炎を起こしたりするのです。

この子の場合、胃カテーテルは適切な位置にありましたので、ガストログラフィンという造影剤を注入して。
直後、1時間後、2時間後とエックス線撮影を実施しました。

造影1時間後も2時間後も造影剤はほとんど小腸に流れて行かず。1時間後と2時間後の撮影の合い間に嘔吐してしまいました。

クライアントには、機能性イレウスなのか?どうかは不明だが、イレウスは存在していそうなので、試験的開腹が必要だと思うとお伝えして。手術に同意していただきました。

手術までは、静脈に留置したカテーテルから生理食塩液に塩化カリウムを適量添加したものを輸液してコンディションを整えます。

午後5時を過ぎ、午後診が終了してから麻酔導入を行ない、試験的開腹を実施しました。クライアントも立ち会って見届けてくれました。

開腹してみると、空腸から回腸まで広い範囲の小腸に異物が触知されます。触るとかなり固い感触です。
異物の遠位側では何とか異物を排出しようとして腸が頑張り過ぎているのでしょう。腸重積に陥っていました。

異物が詰まっている小腸の適当な部分を2ヶ所切開して、異物を引っ張り出しました。こんな作業をする場合、術野や周辺を汚染させないように注意しながらやらなければなりません。

異物を取り出した切開部は丁寧に縫合します。なるべく縫合部位が狭くならないようなやり方を取ります。

最後に、胃から直腸まで腸管を順次点検して、その他の異常が無いかどうか?きちんとチェックし終わったら、閉腹の作業にかかります。

腹膜と腹筋、皮下織、皮膚と、順番に縫って行って。手術終了は午後7時半少し前くらいでしたか?

術後は覚醒も順調でした。夜の間、何回か容態点検を行ないますが。眼を離すとクルクル回って、輸液ラインを捩じってキンクさせてしまうのが困りました。

結果、この子は、食品ラップフィルムの誤食による腸閉塞ということでした。

しかし、誤食の原因が単に食いしん坊な犬だということなのか?それとも何か基礎疾患があるのか?2ヶ月か3ヶ月前にサイエンスダイエットから変更したという食事内容に問題は無かったのか?

再発防止に関して思いを致す必要があると考える次第であります。

なお、この子の経過としては、術後24時間くらい経過したら、まず水を与えてみて。異常が生じなかったら消化の良い残渣の少ない食事を少量食べさせて。

翌日からその処方食を食べさせていって。順調に食べるようであれば退院という運びになると予定しております。

 

 

 

 

 

02/22 小さな自然

自然と言えば、私の自宅の小さな庭も、リビングでくつろぐ猫のよっちゃんも、犬舎で狩りの疲れを癒している犬たちも、そして、我々の肉体も総て自然の一部であり、大きな流れの中でぶつかったり合流したり離れたりしながら、曼荼羅のように生きているのですが。

自宅の小さな庭には、毎朝鶏の食べ残しをお皿に入れて置いてありますので、1年中スズメたちが賑やかしく集っております。

ここ数日、庭に訪問して来るのがメジロです。

もうすぐ春とは言っても、寒さが厳しく山野に食べる物の少なくなる時期に、庭に生えているキウイの木の実が熟れて落ちているのを食べに来ます。

12月とか1月には来てないのは、彼らにも何か季節毎に活動のリズムがあるのでしょう。

1月にはキウイが木から落ちそうになるのを、ヒヨドリがつついて賑やかでした。

毎年早春に来てくれるのは、メジロ以外にも、ツグミの一種のシロハラとか、ウグイスとか居ります。

そう言えば、今年はまだキジバトを見ません。昨年とか一昨年にはキジバトのペアが鶏の食べ残しを独占して、スズメたちが不満そうにしていたものです。

このところ、ブログの症例紹介を怠り気味です。 仕事が閑だと却って気が抜けるのでしょうね。いよいよ春が来ますから、気を引き締めないといけません。

ではまた。