兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 院長ブログ

院長ブログ

03/19 猫の重度歯周病の治療としての全顎抜歯

Pちゃんは最近保護された女の子の猫ちゃんです。

保護された当初、ひどく下痢が続いていて、食欲はそれなりにあるものの食べても太らないという感じで、痩せて毛並みも粗く、猫ハジラミなんかも寄生してたりと、とにかくコンディションの悪い事でしたが。

当院に健康診断のために来院されて、血液検査とかしてみたところ。
猫免疫不全ウィルス(エイズウィルス)や猫白血病ウィルス、猫コロナウィルスなどの免疫不全を生じるウィルスのキャリヤーでもありませんし。
腎機能、肝機能、電解質の異常なども特に認められません。

なお、歯周病はかなりのものです。年齢は不詳ですが。一応10才という事にしておきました。

初診時の対応としては、猫ハジラミの駆除薬としてフロントラインを頸部皮膚に滴下し。翌日か翌々日を目途に滴下剤としての消化管内寄生虫駆除剤と抗菌剤を処方しました。

翌日に持参された便を浮遊集虫法と直接塗抹法の二つの方法で検便しましたが、寄生虫の虫卵は見つかりませんでした。ただ、その4日後に回虫が1匹だけ排出されました。

虫卵が見つからないのに虫が排出された場合、虫の種類によっては1匹だけ寄生、あるいは雄だけ?雌だけの寄生によって虫が卵を産卵出来なかった可能性があります。

検便で虫卵が発見出来なかったので、一般的な下痢止めの処方をしたところ、それからはどんどん状態が良くなって、下痢は止まり、栄養も吸収されるようになったのか?体重も増加して行きました。

飼い主様は歯周病の処置を望まれましたので、初診から1週間後に麻酔下で歯周病の処置を行なうこととしました。

麻酔をかけて口の中を精査してみると、歯が残せるような状態ではありません。

画像の矢印のところの歯なんか典型的な状態ですが。歯肉が後退して歯根が大きく露出して、多くの歯に動揺が見られます。

全顎抜歯の適用と致しました。

ボロボロになった歯周病では、全顎抜歯は意外に簡単に済んでしまいます。

ただ、歯を抜いた跡は歯槽骨を指でなぞってみて、尖った部分があるようならば、ラウンドバーという丸いドリルの先を用いて滑らかになるように削ってやって、歯肉を寄せてモノフィラメントの合成吸収糸で縫合してやらなければなりません。

画像は歯を全部除去した状態ですが、下顎に縫合糸の結び目が見えることと思います。

抜いた歯は以下のようなじょうたいでした。

手術の翌日に経過観察で来院された時には、上顎の歯周病なんかは炎症がかなり治まって来ているのが診て取れました。

これからのことですが。術後1週間くらいでワクチン接種を始めることと、もう少しして初夏になる頃からフィラリア予防を始めれば良いでしょう。

Pちゃん、これからは優しい飼い主様の許で幸せに生きて行けることと思います。

今までが相当不幸だったみたいですから。その分幸せになると確信しております。

 

03/09 ジャーマンシェパードの下痢症 その2

3月2日にアップしたジャーマンシェパードのモモちゃんの下痢症のその後ですが。

アイデックスラボラトリーズに外注した犬トリプシン様免疫反応物質(c-TLI)の検査結果は、20.1ng/mlという正常範囲のものでした。

検査結果が正常範囲だから膵外分泌不全は除外されるのか?

試験的に投薬した結果ではどうだったか?と言えば。

悪臭ある未消化下痢便は見事に良便になって、体重も1週間で600グラムほど増えて、非常に良い状態になりました。という報告であります。

なお、便の性状ですが。投薬以前の便は、そんなに軟らかくない状態であっても、トイレで処分する際に便器に付着すると何回流してもいつまでもしつこく汚れが残るようなものだったのが。
投薬後の便は便器に触れても付着することもなくサラリとした感じですということであります。

なお、今回の投薬では、消化酵素のパンクレアチン以外に細菌を殺す抗菌剤と下痢を止めるお薬2剤の合剤、薬剤耐性ビフィズス菌を別に出していますから。

どの薬が効いて良い状態になっているのか?を検証するために、今日の投薬ではパンクレアチンだけを処方することにしました。

もし、これで下痢が再発するようであれば、膵外分泌不全ではない別の要因で下痢症になっているという事だと思いますので、いろいろと別の検査をしたりして追求しなければならないかも知れません。

下痢が再発しないのであれば、膵酵素が不足していると考えざるを得ないでしょう。

検査結果との不一致については、
1、膵酵素は十分量出ているが、何らかの原因で利用出来ていない。
2、膵酵素はある程度は出ているが、量が不十分である。

辺りが原因なのかも知れません。

モモちゃんの状態は一応改善しておりますので、今しばらく処方を工夫して追求してみたいと思います。

飼い主様を見上げるモモちゃんは、本当に幸せそうであります。

 

03/08 犬の食物有害反応による皮膚炎

今回の症例は、1才2ヶ月令にになる黒ラブの男の子なのですが。

生後約6ヶ月令の頃より顔面、手足の先、脇の下、内股の皮膚に炎症が生じてひどく痒いという事でした。

皮膚の掻き取り試験では疥癬や毛包虫のような寄生虫は発見されません。細菌や真菌をコントロールしても、痒みは少しましになる程度で消失はしません。

しかし、試験的に投与したステロイドホルモンには劇的に反応して、痒みはほとんど生じなくなります。

従来の知識では、ステロイドホルモンが劇的に利く痒みの原因は、蚤アレルギーとアトピーという認識でしたので、おそらくアトピー性皮膚炎であろうと説明して来ました。

その後、ステロイドホルモンと抗ヒスタミン剤、脂肪酸製剤の組み合わせで治療を継続して、それなりの効果を得て来ておりましたが。

若い犬でもあり、今後の長い治療生活の事を考えると、一度血液検査で詳しくアレルギーの状態を確認したいという飼い主様の考えもあって。
動物アレルギー検査株式会社のアレルギー検査を受けることにしました。

この検査は

1、アレルギー強度試験というアレルギーの強さを評価する検査。

2、アレルゲン特異的IgE検査という、1型アレルギーの原因である免疫抗体の1種のIgEがどんな種類の抗原に対して造られているのか?という検査。

3、リンパ球反応検査という、確かⅣ型アレルギーだと思うのですが、リンパ球が直接食べ物に反応して生じるアレルギー反応がどんな食物に対して生じるのか?という検査。

の3つの検査から成り立っております。当然そのどれかをピックアップして行なうことも可能でして。アレルギー強度検査だけを先に実施して、現在生じている皮膚炎がアレルギー性であるということを確認してから、2、3に進むやり方でも良いのですが。

どうしても、検査の精度を上げるためには、ステロイドホルモンを打ち切って4週間から6週間は経ってから検査をすることが望ましいために。

黒ラブちゃんの飼い主様は、投薬中止の期間を少しでも短くして、ワンコが苦しむ時間を短くしようと考えられてか、3種類の検査を一気に行なうことを希望されました。

これらの検査において動物病院ですることと言えば、採血をして、血清を少量と、全血を試験管に2本とを動物アレルギー検査株式会社に冷蔵宅急便で送るだけです。

それで、9日かかってファクスで送られて来た検査結果ですが。

アレルギー強度試験は、試験に使用したリンパ球の45.6%が反応したという事で、2歳未満の子が16.3%以上反応すれば陽性という事ですから。
この黒ラブちゃんの皮膚炎はアレルギー性のものであると言って良いということになります。

次に、アレルゲン特異的IgE検査の結果ですが。私の予想とは全く異なっていました。
どの抗原に対しても、アレルギー反応が生じるレベルまでにはIgEは産生されていなかったのです。


最後に、リンパ球反応検査の結果が帰って来ました。

ここでは、牛肉、豚肉、卵白、小麦の4種類の抗原に対して、リンパ球が強く反応するという結果が得られました。


以上の結果から、黒ラブちゃんの皮膚炎はⅣ型アレルギーであり、その原因物質は、牛肉、豚肉、卵白、小麦の4種類の抗原が関与している可能性が高いということが言えると思います。

ただ、リンパ球反応試験では、一般にアレルゲン除去食に使用されている蛋白については実施していません。

黒ラブちゃんの飼い主様には以上の事を説明させていただき。加水分解蛋白質を使用したアレルゲン除去食を処方すると共に、加水分解蛋白の効果が表れるまでの約1ヶ月間はステロイドホルモンなどの抗アレルギー剤の投与 を継続することにしました。

後は、その効果を判定するだけなのですが。

今回の検査では、生き物の検査には珍しいくらい綺麗な結果が得られておりますので。それが実際の生体での治療とどう結びつくのか?大きな関心を持って見守っているところであります。

なお、病変部の画像は、飼い主様に提供をお願いしておりますので、しばらくお待ち下さい。

 

03/07 老犬の認知症

リュウちゃんは、15才の柴犬の男の子ですが。

昨年の10月頃より夜昼構わず遠吠えをするということで、1月18日に来院して来られました。その吠え方ですが、昼の遠吠えは大きな声「オーッ」という感じで、夜の遠吠え?は比較的小さな声「ヒンヒン」という調子だそうです。

高齢になって耳も聴こえなくなり、眼も白内障で見え難くなり、不安な気持ちが強くなって、そこに認知症が加わって、大きな声で吠えるということは、犬では結構多く見られる症状です。

そんな症例が来ると、私が行なっている治療は。内服は抗不安薬と抗鬱薬を組み合わせて処方し。食事をヒルズのブレインダイエット(b/d) というのに変更するというものです。
治療開始直後は、幾分効果があるか?という感じだったり。抗不安薬が睡眠導入剤の効果も発揮したりして最初からかなり良い感じになったりと、効果には幾分のバラつきはありますが。

リュウちゃんは投薬して1週間で夜昼共に吠える声が小さくなったという稟告が得られて。

次の2週間後は昼間もあまり吠えなくなった。夜は静かにしているということになり。

次の2週間後はかなり大人しくしています。という報告となり。

更に2週間後の今日は、以前のように夜昼とも吠えることは無く、大変助かりました。ということになりました。

処方食はずっと続けるとして、投薬はどうなんだということですが。過去には食事だけで維持出来ないか?と試みたこともありましたが。
こんな症例の場合、投薬を中止するとまた吠え始めるのがほとんどなので、投薬は継続するようにお伝えしています。

リュウちゃん、とりあえず落ち着いた感じになっています。飼い主様も安心してリュウちゃんと暮らすことが出来るという事で、すごく満足されています。

これからもずっとこんな感じで幸せな老犬生活を送ることが出来たら良いですね。

 

03/02 ジャーマンシェパードの下痢症

本日午前診を受診された10才になったばかりのジャーマンシェパードドッグのモモちゃんの話しですが。

約1ヶ月前から良便と下痢を数日毎に繰り返すようなことで、お腹はひどく空腹で食糞するくらいひもじいのに、いくら食べても進行性に削痩して行くということです。

下痢には時々鮮血が混じったり、粘液が混じったりするのですが。糞の臭いはかなりの悪臭であるということで。持参された便は消化不良性の下痢という印象でした。

モモちゃんは、もともとすごく神経質な子で、近所の子が塀にボールをぶつける音とか、見知らぬ人が家に入って来るとか、心理的にプレッシャーを感じるとてきめんに下痢をする傾向があったということです。

私としては、稟告で症状を聴き、モモちゃんの表情とか体形とかを見て、膵酵素が不足している下痢症ではないか?という印象を受けました。

しかし、先入観とか直感だけで仕事を進めていると、いつか大失敗しそうになると思いますので。糞便検査、腹部エックス線検査、院内での血液検査(全血球計数と血液生化学検査)を実施することにします。

糞便検査の結果は寄生虫は発見出来ずで、腹部エックス線検査では消化管内にはガスのみで食事が入っていないことが判っただけで。
全血球計数は異常値は無し。血液生化学検査ではほとんどが正常値であるも、総コレステロール値のみが正常値よりも低いという結果でした。

これまでの検査結果と症状、糞便の性状から、膵臓からの消化酵素の分泌不足の有無を確かめるために、東京のアイデックスラボラトリーズの行なう、犬トリプシン様免疫反応物質(c-TLI)という検査を外注で行なうことを提案させていただき、飼い主様の承諾を得て検体の血清を採取しました。

検査結果が出るまでの間、1週間分のお薬として、当院で下痢セットと称している、ペニシリン系の抗生物質と、下痢止め2剤の合剤、耐性ビフィズス菌の3つのお薬の組み合わせと、パンクレアチンという消化酵素製剤を処方します。

c-TLIの検査結果は、来週後半までには報告があると思います。さて、どんな展開になるのでしょうか?

あるいは、単に神経が過敏なジャーマンシェパードドッグに良く見られる精神的な下痢だったりするかも知れませんが、私としては膵酵素分泌不足の予想を立てております。

 

02/24 柴犬の腸閉塞

午前診に来院して来た若い柴犬ですが。

10日前から食欲不振に陥って。近医で検査すると肝臓が悪いということで、治療を受けているのだが、嘔吐が止まらず。昨日は尿素窒素もかなり上昇して来たという事で、点滴を受けたと。
しかし、嘔吐は続くということでした。

犬を触ってみると、ひどく痩せています。1週間食べなくてもここまで痩せることはないと思います。

治療を行なっているのにも関わらず症状が進行しているということは、好い加減な対応をしては絶対に駄目だということですから。

血液検査と腹部エックス線検査をまず行なって、その結果によっては腹部エコー検査が必要になるかも知れないと、連れて来た方にはお伝えしました。

犬をお連れになった方は、現役の泌尿器科の女医さんだということで、犬は御実家の飼い犬だそうです。

血液検査を行なって、それを今まで治療して来た獣医さんのデータと突き合わせてみると、肝機能障害も腎機能の項目の異常も存在はしているが改善傾向にあり、このデータで食べないのはおかしいと思いました。
全血球計数ではほとんど異常値は見られません。

ただ、リパーゼがかなり高値であること、炎症マーカーである犬CRPがしっかり高値であることが目立つ異常値です。
ナトリウムイオン、カリウムイオン、クロールイオンなどの電解質が低値なのは持続的に嘔吐していて、まったく食べれていないという結果だと思います。

腹部エックス線検査では、腸管内に砂と思われる異物が沢山観察されました。それと、腸管内のガスの存在にかなり違和感を感じます。

これらのことから、疑わしい疾患は、膵炎、腸閉塞、何らかの薬物中毒辺り?かと推定しました。

膵炎に関しては、犬膵特異的リパーゼを東京のアイデックスラボラトリーズに外注することにして。

腸閉塞に関しては、午後から消化管造影検査を行ないました。

犬の口にバイトブロックを咬ませて、そこから細めの胃カテーテルを胃まで挿入して。この時に大切なのはカテーテルから液体を注入する前に必ず注射器で陰圧をかけて空気がどんどん入って来ないか?ということをチェックしなければなりません。

滅多に無い事ですが、胃カテーテルが間違って気管に挿入された状態で液体を注入すると、窒息したり誤嚥性肺炎を起こしたりするのです。

この子の場合、胃カテーテルは適切な位置にありましたので、ガストログラフィンという造影剤を注入して。
直後、1時間後、2時間後とエックス線撮影を実施しました。

造影1時間後も2時間後も造影剤はほとんど小腸に流れて行かず。1時間後と2時間後の撮影の合い間に嘔吐してしまいました。

クライアントには、機能性イレウスなのか?どうかは不明だが、イレウスは存在していそうなので、試験的開腹が必要だと思うとお伝えして。手術に同意していただきました。

手術までは、静脈に留置したカテーテルから生理食塩液に塩化カリウムを適量添加したものを輸液してコンディションを整えます。

午後5時を過ぎ、午後診が終了してから麻酔導入を行ない、試験的開腹を実施しました。クライアントも立ち会って見届けてくれました。

開腹してみると、空腸から回腸まで広い範囲の小腸に異物が触知されます。触るとかなり固い感触です。
異物の遠位側では何とか異物を排出しようとして腸が頑張り過ぎているのでしょう。腸重積に陥っていました。

異物が詰まっている小腸の適当な部分を2ヶ所切開して、異物を引っ張り出しました。こんな作業をする場合、術野や周辺を汚染させないように注意しながらやらなければなりません。

異物を取り出した切開部は丁寧に縫合します。なるべく縫合部位が狭くならないようなやり方を取ります。

最後に、胃から直腸まで腸管を順次点検して、その他の異常が無いかどうか?きちんとチェックし終わったら、閉腹の作業にかかります。

腹膜と腹筋、皮下織、皮膚と、順番に縫って行って。手術終了は午後7時半少し前くらいでしたか?

術後は覚醒も順調でした。夜の間、何回か容態点検を行ないますが。眼を離すとクルクル回って、輸液ラインを捩じってキンクさせてしまうのが困りました。

結果、この子は、食品ラップフィルムの誤食による腸閉塞ということでした。

しかし、誤食の原因が単に食いしん坊な犬だということなのか?それとも何か基礎疾患があるのか?2ヶ月か3ヶ月前にサイエンスダイエットから変更したという食事内容に問題は無かったのか?

再発防止に関して思いを致す必要があると考える次第であります。

なお、この子の経過としては、術後24時間くらい経過したら、まず水を与えてみて。異常が生じなかったら消化の良い残渣の少ない食事を少量食べさせて。

翌日からその処方食を食べさせていって。順調に食べるようであれば退院という運びになると予定しております。

 

 

 

 

 

02/22 小さな自然

自然と言えば、私の自宅の小さな庭も、リビングでくつろぐ猫のよっちゃんも、犬舎で狩りの疲れを癒している犬たちも、そして、我々の肉体も総て自然の一部であり、大きな流れの中でぶつかったり合流したり離れたりしながら、曼荼羅のように生きているのですが。

自宅の小さな庭には、毎朝鶏の食べ残しをお皿に入れて置いてありますので、1年中スズメたちが賑やかしく集っております。

ここ数日、庭に訪問して来るのがメジロです。

もうすぐ春とは言っても、寒さが厳しく山野に食べる物の少なくなる時期に、庭に生えているキウイの木の実が熟れて落ちているのを食べに来ます。

12月とか1月には来てないのは、彼らにも何か季節毎に活動のリズムがあるのでしょう。

1月にはキウイが木から落ちそうになるのを、ヒヨドリがつついて賑やかでした。

毎年早春に来てくれるのは、メジロ以外にも、ツグミの一種のシロハラとか、ウグイスとか居ります。

そう言えば、今年はまだキジバトを見ません。昨年とか一昨年にはキジバトのペアが鶏の食べ残しを独占して、スズメたちが不満そうにしていたものです。

このところ、ブログの症例紹介を怠り気味です。 仕事が閑だと却って気が抜けるのでしょうね。いよいよ春が来ますから、気を引き締めないといけません。

ではまた。

02/09 高齢Mダックスフントの歯肉の腫瘤生検と歯周病処置

年齢15才という高齢のミニチュアダックスフントの男の子ですが。

この数年前から顔を見る度に歯周病処置が必要ですよとお伝えして来ました。

先日来院された時には、今年に入ってから右下顎の口の中に腫瘤が出来ていて、大きくなりつつあるので心配であるということでした。

口の中を見ると、右下顎の歯肉に黒いやや柔らかい感触の腫瘤が出来ています。嫌な感じです。悪性黒色腫(メラノーマ)辺りが怪しいです。

絶対ではないけれども、あまり良い物ではなさそうだとお伝えしたところ。切除生検と病理検査、それに懸案だった歯周病処置を希望されました。

術前検査として、胸部エックス線検査、コンピュータ解析装置付き心電図検査、採血して全血球計数、院内の血液生化学検査、外注による凝固系検査を行ないました。

歯周病や悪性腫腫瘍などによる慢性炎症に起因するであろう血小板数の軽度の増加と、犬C反応性蛋白の上昇が観察されました。

処置の当日。朝から預かって昼まで静脈輸液を実施して。午後1時過ぎた頃から麻酔導入を行ないます。

麻酔導入後、生検切除を実施する前の腫瘤の様子です。

赤い矢印の先の辺りが問題の腫瘤です。

 

右下顎の歯石を綺麗に掃除して、腫瘤を切除し、これから右上顎の歯石を除去にかかろうかという段階での画像です。歯石が除去された下顎の歯の綺麗さと、未処置の上顎の歯の悲惨な状態のコントラストが強烈です。

右が終了して、左側の上下の歯の歯石も綺麗に清掃した後の画像です。

歯石の付き方が半端ではなく。特に左右上顎犬歯から第1、第2前臼歯までの歯周ポケットがひどく深くなっていて、清掃して行くと食物塊や被毛などがボロボロと出て来るような有り様でした。
本犬すごく気持ちが悪かったのではなかったか?と思慮されます。

生検も歯周病処置も無事に終了して、麻酔からの覚醒も速やかで、元気に退院して行きました。

腫瘤の病理組織検査は10日から2週間で結果が帰って来ることと思います。良性であって欲しいのですが、腫瘤の根っ子に相当する部分が周囲の一見健常に見える部分に沁みて行く有り様が見て取れますので、悪性度の高い腫瘍ではないか?と予想しています。

検査結果が出たら、獣医として出来ることを提案させていただくわけですが。飼い主様はこれ以上痛い思い苦しい思いをさせたくないという気持ちが強いようですので、経過観察になってしまうかも知れません。

 

 

02/08 老犬の前肢の腫瘤

今日の症例は日本犬雑の相当高齢の男の子ですが。

数年前から右前肢皮膚に腫瘤が出来まして。それが昨年から自壊して、最近そこに感染も加わって、周辺もズルズルの状態になっていて。

今回悪くなる前には近くの動物病院で治療していたのが、症状が悪化してその先生に診てもらおうとしたのに、そこが休診だということで、1月12日に当院に来院しました。

その時の画像を撮影しておいたら良かったのですが。それはひどいもので、炎症は皮下にも広く及んでいて、関節の可動性もかなりおかしな状態になっていたのです。

私が最初にやったのは、まず腫瘤の一部分をメスで切除して病理検査に出すことと、炎症で周囲をひどく濡らしている分泌物を採取して細菌培養と薬剤感受性試験を行なうことでした。

薬剤感受性試験で翌日に得られた結果は、ほとんどの薬に対して抵抗性を持ってしまった多剤耐性緑膿菌の感染があるというもので、唯一マルボフロキサシンという抗生物質だけが効いているような状態でした。

腫瘤周辺の感染は、マルボフロキサシンの投薬2週間ですっかり良くなって、皮膚に開いていた穴も塞がり、関節の可動性も改善して普通に歩けるようにまでなりました。

投薬中食欲が減退気味だったのは、胃酸分泌を抑えたり吐き気を止めたりするお薬を組み合わせることにより何とかクリヤーしました。

2週間の間に外注していた病理組織検査の結果も帰って来て、良性の腫瘍であるという結果でした。

私としては、良性腫瘍でもあり、感染もすっかり良くなって、一応めでたしめでたしという感じだったのですが。

飼い主様としては、如何に良性腫瘍であっても、あんなにひどい展開になるのであれば、是非とも切除して後顧の憂いを絶ちたいという強いご希望をお持ちのようで。

腫瘤の切除を希望されました。

で、術前検査の結果では、血液検査と尿検査、腹部エコー検査から慢性腎不全という診断が得られたのですが。とりあえず初期から中期までのものであり。手術自体は遂行可能であると判断しました。

2月8日に腫瘤の切除を実行しました。

気管挿管を済ませて各種モニターを装着します。それから術野の毛刈り、消毒を行ない。術者は手術帽とマスクの装着、手洗いと消毒、術衣手袋の装着をやって。術野を滅菌ドレープで覆ってから手術を始めます。

今から毛刈りをする腫瘤です。

で、手術は無事に済んで、画像的にはいきなりですが。術後の肢です。腫瘤が良性で比較的小さかったので、形成外科的な皮膚移植のような手技は不必要でした。

術創の上に光が反射しているのは、創傷管理用のテガダームというプラスチックフィルムを貼り付けているからです。

これで忌まわしい腫瘍の自壊と感染が再発する可能性は消失しました。
ついでに見つかった慢性腎不全をコントロールして行けば、推定14才という高齢ながらも、もうしばらく元気に生きて行けそうです。

 

 

 

 

 

02/06 大腸内視鏡検査(自分が受けました)

齢58になって、生まれて初めて大腸内視鏡検査を受けました。

昨年12月26日に神戸百年記念病院で受けた人間ドックの結果から、便潜血が2日間採取した資料のうち1本より検出されたということで、内視鏡検査を指示されたのであります。

神戸百年記念病院の人間ドックは結構人気があるみたいですが、残念なことに、胃の内視鏡検査については、喉頭の局所麻酔が雑い感じがしました。お陰で、胃内視鏡検査の間は何回もえづいてひどい思いをしました。

胃内視鏡検査は今まで数回経験がありますが、あんなひどい目に遭ったのは初めてでした。

しかし、この歳になると、親戚、犬友さん、仕事の関係者などいろいろな人があちこちに癌が出来たと、ある人は早目に発見されて無事に過ぎ、ある人は発見が遅れて命を落とし、ある人はかなり進行はしていたが、現代医療の技術に助けられて、でもかなり苦しんだ上、助かったと。いろいろな経過を取っているみたいです。

人生ここまで来れば、残りはおまけみたいなものでしょうが。仕事でも趣味でも何でも、少しでも長く楽しめるように、健康管理はきちんとやりたいと考えております。

さて、大腸内視鏡検査は、術者の技術レベルによって受ける側の苦痛の度合いに大きく差があること。ポリープや癌などの異常を発見しても検査即治療という対応が出来る出来ないとやはり大きく差があることが予想されますので。
いろいろ聴き合わせをしたりして、JR神戸駅北側にある青山内科クリニックで受けることに決定しました。

実際に電話で連絡を取ってみると、かなり人気のある病院らしくて、予約は1ヶ月以上先になるようでした。

最初に外来受診を1回受けて。検査の前の問診とか行ない、検査用の下剤などの資材をもらって。

検査の前日から繊維性の食物を摂らない食事制限を始めて。

検査当日は朝から絶食し、ポカリスウェットやアクウェリアスと同じ味の下剤を200ミリリットルずつ2時間くらいかけて合計1.8リットル飲んで、腸を綺麗に掃除して。

午後の4時過ぎからクリニックに行って、5時前から検査を開始して。

深目の沈静を希望したので、検査中はほとんど意識を失っていて、痛いも痒いも全く判らず。

約1時間後に検査は終了し、治療や生検が必要な病変は見つからなかったという結果を伝えていただき。

安心して帰宅することが出来ました。

大腸内視鏡を受診すると、年齢にも拠るようですが、100人中癌が発見されるのは2名か3名で、約70名に前癌性のポリープが見られるということであります。

今回は無事に終わりましたが。3年毎の定期検査を受けた方がよろしいということでした。

これで当面の健康についての心配はひと通りクリヤーです。 これからもワンちゃんネコちゃんと飼い主様の安心と幸せに貢献出来るよう一生懸命獣医診療をやって行きたいと思います。