兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 院長ブログ

院長ブログ

12/01 猫の耳疥癬

午前診に来院されたスコティッシュフォールドの男の子ですが。4月生まれですから生後7ヶ月ということになります。

お家に来たのは9月ということです。10月から耳が汚いのに気が付いて、飼い主様は気になっていたのが。グリーンピース動物病院のHPを見られて来院することにしたとのことでした。

早速耳の中を観察してみますと、黒い、比較的乾燥した耳垢が大量に存在しております。

綿棒で探って耳垢を掘り出し。採取した耳垢を顕微鏡で観察してみました。この耳垢検査はちょっと耳垢が多いような外耳炎に対しては、なるべくルーティンで実施した方が良いと思います。

すると。居ました。

耳疥癬とか耳ヒゼンダニいうダニの一種です。犬や猫の耳に寄生するとひどい外耳炎を引き起こして、対応せずに放置していると、耳がボロボロになって行きます。

耳疥癬の治療は、即効性のある注射薬でまず殺虫を行なって。同時に耳の炎症を抑えるための耳掃除と点耳薬の使用で対応します。

猫ちゃんと一緒に写っている箱がその注射薬のパッケージです。牛や豚の寄生虫駆除薬を、獣医師の裁量により目的外使用しております。

注射は週に1回のペースで3回実施します。1回目の注射でほとんどの成ダニが死滅するはずですが。その後卵から孵化して来ますので。その幼虫を完全に殺滅させないと、また再発する可能性ありです。

耳掃除と点耳薬の使用により、耳は随分と綺麗になりました。

でも、こんな病気だったら、比較的気が楽ですね。基本的に治る病気ですから。

末期の悪性腫瘍とか、高齢動物の腎不全とか、認知症とか、寝たきりになって褥瘡でボロボロとか。

治る見込みは無いけれども。治らないでもちょっとでも楽に出来ないかと一生懸命に治療しなければならない子ばかり診ている時に、こんな簡単と言えば語弊があるかも知れませんが。治る見込みの子が来ると、どこかホッとしている自分に気が付きます。

11/29 肥満と肝障害と食事療法

今日のテーマは、犬だけでなく人間でもこれを見るとドキッとする人が居るかも知れません。

今年2月に13才になる男の子の柴犬のシンちゃんですが。2012年2月2日に初診で来院した時には、GPT146U/L、ALP>3500U/Lと、比較的軽度かとは思いましたが、肝障害が存在していました。

体重は14.3キロあり、ひどい肥満とは言えないものの、軽い肥満傾向でした。獣医の世界の判断基準では、ボデイコンディションスコア4というところでしょう。

来院の理由も、近医で肝臓が悪いと言われてお薬をもらったが改善しないということでした。

いろいろ検査させていただくことには了解を得て。血液検査、肝エコーをやってみます。

血液検査の結果は、上記の通りで、肝エコーでも胆嚢にスラッジは溜まっていますが、正常範囲です。

原因は判りませんが、とりあえずのお薬としてペニシリン系の嫌気性菌を殺す作用の強い抗生物質と、幹細胞を守る作用のお薬とを2剤処方しました。

飲水量が多いかも?というお話しでしたので。ACTH刺激試験を行なって、副腎の機能的なサイズを評価してみましたが、特に副腎皮質機能亢進症とまでは言えない結果でした。

翌週に、ペニスから出血があるということでしたので。エックス線検査で前立腺の腫大が見られたことから、去勢手術はお勧めしました。

ただ、ペニスからの出血は、マスターベーションに拠る擦り傷であると判断しました。

去勢手術は3月初めに行ないました。繁殖の予定の無い牡犬を、「自然が一番」という考えで不自然な禁欲生活を強いているのが大方の飼い主様の傾向だと思いますが。マスターベーションをするのも性的フラストレーションの現れだということを理解していただいてのことであります。

その後、食事療法として肝臓サポート食を食べてもらいながら、抗生物質と肝庇護剤の投薬を続けますが。GPTは正常値に下がったものの、ALPは500U/L前後を行ったり来たり。総コレステロールも高値が続いていました。

この夏には、軽度ではありましたが、熱中症にもかかったりして、さすがにウェイトコントロールにも取り組まなければなりませんよと、お伝えしまして。

8月末頃より、ロイヤルカナンウォルサムというメーカーの、消化器サポート高繊維というお食事を食べてもらうことにします。

で、気になる肝臓の数値は、肝臓サポート食と消化器サポート高繊維とを半々に混ぜてやっていて体重が14キロ台の頃までは、むしろ高値が続いていたのですが。

シンちゃんが新しい食事に慣れて、消化器サポート高繊維だけを食べるようになり、体重が13キロ台前半になった頃からどんどん正常値に近づいて来まして。

まず総コレステロール値が正常値に下がって来て、その次の月くらいからALPも正常値に近くなって来まして。

11月29日の検査ではほぼすべての生化学検査の項目が正常範囲内に収まったのであります。この時点で体重は12.8キロでして。見た目にもスリムになって健康的な外観であります。

飼い主様はえらくお喜びになっております。

シンちゃんは、年齢こそ13才とかなりの高齢ですが。最近はすごく若返った感じになっていまして。この調子だったらまだまだ数年は元気で生活出来るかも知れません。

美味しい物を腹一杯食べることも幸せの形かも知れませんが。元気でどんどん歩ける健康もまた幸せの一つの形だと思います。

そして、犬は飼い主様が与える物だけを食べて生活するわけですから。飼い主様がワンちゃんの健康に想いを致して、適切な食生活を送らせるということは、ある意味飼い主様の義務ではないか?と思う次第であります。

ではまた。

 

11/16 グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

毎月第4金曜日が活動日の訪問活動ですが。今月は祝日と重なりますので、第3金曜日の本日に鶴林園訪問となりました。

いつものように、ブルテリ・新田雑の愛ちゃんと、ベルジアン・マリノワのゴーシュの2頭を連れて、早目に鶴林園の園庭に到着します。

2頭を出して排泄させ遊ばせてみますが。ボールを投げ与えてみると、ゴーシュのボールに対する執着はすごいです。愛ちゃんに先んじて必ずゲットしますし。取ったボールは自分だけで咬み咬みして遊ぼうとしています。

どんな意欲かは判ったので、今後はボール遊びは必ず私と行なうという癖を付けて行かなければなりません。

そうでなければ、物品を与えると何処かに持って行って、自分だけで一人遊びをする癖がついてしまいそうです。

訪問ボランティアさんたちもそろって、時間が来たので2階ホールに上がります。

愛ちゃんは、犬無し参加でもっぱらハンドラーとして活躍して下さるYさんにお願いして。
私はゴーシュと一緒にお年寄りとの交流を試みました。

ゴーシュは、誘導してやれば車椅子にかけたお年寄りの膝の上に前肢を置いて挨拶をしたりしてくれてまして。

概ね良い感じでした。

いつもは緩いオシッコもこの時ばかりはしっかりと失敗無しでクリヤーです。先月もそうでした。

そのうちに、抱っこしたいと言われるご婦人がいたので、ゴーシュをしばらく抱っこしてもらってました。

12キロ近くになっていますから、結構重かったでしょうけれども、すごく楽しそうに抱っこをしていました。

1時間の訪問時間の終わり頃、早目に2頭を連れて園庭に出て排泄させて置きました。

今月も無事に済んでホッとひと安心です。

良い性格の犬に育ちますように。

 

 

 

 

11/16 学会に参加して来ます

毎年11月の第3土日には、動物臨床医学会年次大会という大きな学会が大阪であります。

金曜日の夕方から始まるのですが。私は土日の二日間それぞれ日帰りで行って来ます。

泊まり込みで行きたいところではありますが。入院も抱えていたり、自分の飼い犬飼い猫も居たりしますから、やはり日帰りになってしまいます。

でも、北海道や沖縄の先生方も多人数泊まり込みで参加されていますので、私は近い分相当恵まれていると思います。

ロートルになって治療内容が古くショボくなって、動物や連れて来た飼い主様に迷惑をかけることがないように。最新の獣医療情報を頑張って勉強して参りますので。皆様方にはご不便のこととは思いますが、よろしくお願いいたします。

11/12 モモちゃん、中皮腫ではなかったようです

最初の臨床的問題点が腹水からスタートしたフレンチブルのモモちゃんですが。

大阪のネオベッツVRセンターにていろいろ精密検査を実施しても診断がつかず。

一時は抗生物質と利尿剤を使用したところ、劇的に改善して。

でも、投薬を中止してしばらくしたらまた再発して。同じ内容の投薬では利かなくなってしまって。

腹水の細胞診をこちらで再検査に出したところ、臨床的には中皮腫を疑うべきとの、良くない結果が帰って来たので、どうなるのか?ヒヤヒヤしながらの診療ではありましたが。

抗生物質を変更するとまたまた劇的に改善して。

ある日、腹部エコー検査を行なってみたら、最初に実施したエコー検査では見えなかった、管状の異常な構造が見えたので。

試験開腹したら子宮蓄膿症と判明して。

手術から10日経過したので、抜糸を行ないました。傷の経過は非常によろしいです。

飼い主様の曰くは、元気食欲とも快調になったということであります。

手術の際に腹膜を一部分切り取って、病理検査に出していた結果が帰って来てましたが。炎症性の変化であって、悪性腫瘍ではないということでした。

やれやれであります。

しかし、子宮蓄膿症にもいろいろなパターンがあるのですね。最初に子宮が膨れて来ないで、いきなり腹水という症例は今回が初めてでした。

でも。結果オーライで本当に良かったと思います。

モモちゃんも飼い主様もご苦労様でした。これから元気で長生き出来ますように。

 

11/11 チンチラ猫の真菌性皮膚炎?

11月2日に、久し振りに来院のあった1才になる去勢チンチラ猫のシエル君ですが。

両側足底部という比較的珍しい部位に皮膚炎が出来ていまして、化膿していました。

細菌培養と抗生物質感受性試験は実施したのですが。ちょっと気になりましたので、真菌培養の培地であるダーマキットという培地を使用して、炎症部位の毛を材料にカビの培養も実施してみました。

細菌培養と抗生物質感受性試験は、普通翌日には結果が出ますので、その結果に基づいて細菌を殺すお薬の投薬を9日間ほど実施してみました。

その結果は、それなりに治ってはいるのですが。どうもその治り方が期待したほどでもないという感じです。

検査結果が出るのに少々時間のかかるダーマキットの培地を確認してみると、カビがしっかり生えていて、そのカビの周囲の培地の色が赤く変化しています。

そうなのです。ダーマキットでカビを培養して、カビが生えた上に培地の色が赤変した場合、生えたカビには病原性があると考えて良いのです。

その結果から、カビを殺す内服薬と、カビを殺す作用の強いシャンプーを処方しましたが。さて、どうなりますか?

一応獣医としては良い結果が出ることを期待しております。

 

 

11/08 マルチーズの免疫介在性溶血性貧血

表題の免疫介在性溶血性貧血とは、自分の免疫抗体が自分自身の肉体を攻撃してしまうという、自己免疫性疾患の一種であります。

例えて言えば、自衛隊が自国民を攻撃するようになったという、悲しい病気なのですが。

狂った免疫機能がターゲットにする相手が赤血球の場合、免疫介在性溶血性貧血ということになりますし、皮膚組織の場合天疱瘡という病気になります。免疫機能が間違ってターゲットにしてしまう相手は、その他にも関節軟骨であるとか、甲状腺組織であるとか、腸管であるとか、いろいろ様々です。

そして、免疫介在性溶血性貧血でも、診断が特に難しいのは、先月に大学病院に診断を依頼した病気で、昔赤芽球癆と呼んでましたが、今でもそうなのか?骨髄の中で育って来て、今まさに循環血液中に出て行こうとしている若い赤血球が、自分の免疫で壊されてしまうという病気であります。この場合には、骨髄の生検と病理診断が必須になります。

この度診察した10才8ヶ月令のマルチーズの男の子の場合、来院まで4日か5日間突然食欲がほとんど消失してしまうという症状が出て、来院当日には散歩に連れて行こうとしたら、すぐに立ち上がったものの倒れてしまったという稟告でした。

視診で、どうも舌の色が異常に薄いように感じましたので、飼い主様に検査の必要性をお伝えして。
まず血液検査(全血球計数と血液生化学検査)とエックス線検査を行ないました。

血液検査でまず目を引いたのは、重度の貧血です。赤血球容積が9.3%しかありません。これくらいの数字の場合、動物は酸欠で口を開いた呼吸になることも多いですが。この子の呼吸状態は正常でした。

私たち獣医師が動物の貧血を発見した時にまず考えなければならないのは。

その貧血が、悪性腫瘍とか後天性免疫機能不全などが原因で骨髄で赤血球が造られなくなって生じた「非再生性貧血」なのか?

もしくは骨髄では一生懸命に赤血球を造っているのに、出血とか血管内溶血とかで貧血が進行して行くという「再生性貧血」なのか?

ということなのであります。

そして、その見極めの決め手となるのが、血液中の若い赤血球である「網状赤血球」の絶対数です。

犬でも猫でも、網状赤血球の絶対数と貧血との関連は、ちゃんとデータがありますから。網状赤血球数をカウントすることの出来る血球計数機を持っているか?あるいは特殊染色を行なった血液塗抹標本を顕微鏡で覗いてコツコツとカウンターを使って自分で計数するのかのどちらかを行なわなければなりません。

グリーンピース動物病院の場合、アイデックスラボラトリーズという米国のメーカー製の、レーザーサイトというレーザー光線の反射を用いた全血球計数が出来る血球計数機を使用しておりますので。
貧血を発見すると同時に、網状赤血球の絶対数もプリントアウトされて来ています。

ゴンちゃんの場合、網状赤血球は1μm当たり120,5300という数字で、骨髄は貧血を改善すべく一生懸命に頑張っているということが見て取れます。

即ち、ゴンちゃんの貧血は、「再生性貧血」なのです。

再生性貧血の場合、次に考えるべき問題は。それが出血性なのか?溶血性なのか?ということですが。これも全血球計数のデータの読み取りと血液生化学で黄疸色素が上昇しているのかどうか?で判断が付きます。

この場合、溶血性貧血は間違いないという結果でした。

更に突き詰めるべきことは、溶血性貧血にも、犬の場合「バベシア原虫」の寄生に拠るものか?ヘモバルトネラ寄生に拠るものか?あるいは最初に書いた免疫介在性の溶血性貧血なのか?という問題です。

ここで血液塗抹標本を真面目に評価する必要があります。血液塗抹標本を顕微鏡で覗きもしないで貧血をうんぬんする獣医師が居たとすれば、その獣医師ははっきり言って似非獣医師であり藪であると断言しても良いと思います。

私が見た塗抹の印象としては。
まず、赤血球が大きなのや小さいのやいろいろのサイズがあることと、球状赤血球が多数見られるということです。

上の画像を見れば、赤血球のサイズがいろいろであるということはすぐに判ると思います。
球状赤血球とは、丸い赤血球の中心部の色が薄くなっていない物をそう言います。

バベシア原虫らしき像も存在はしているのですが、正直アーティファクト(人工産物)との区別がはっきりしないので自信はありません。また、ヘモバルトネラの寄生は無いと言って良いと思います。これは自信があります。

上記画像の矢印の先にある色がわずかに薄くなっている部分がバベシアか?という構造なのですが。どうもはっきりと判りません。

なお、ヘモバルトネラの寄生は、正直他の基礎疾患があって、免疫機能が低下している犬でなければ、ほとんど診たことはありません。

脾臓や肝臓の血管系の腫瘍で生じるかけらのような赤血球は存在しませんでした。

塗抹の鏡検では、球状赤血球が多数確認されましたので、獣医の教科書を紐解くと、球状赤血球の存在は免疫介在性溶血性貧血を示唆するとなってはいますが。
バベシアに似たような赤血球内の構造も見られることですし。

ここでバベシアか?溶血性か?というこの問題を解決するには、外注検査による自己免疫抗体の確認(クームス試験)とバベシアの遺伝子診断とが決め手になると思います。

もう一度採血して、全血を検査センターに送ることにしました。

ただ、検査をするのは良いのですが。結果待ちの1日とか2日の間にも病状は進行して行くことでしょうから。何とかしなければなりません。

緊急避難的処方ではありますが。バベシアの特効薬の皮下注射と、免疫介在性溶血性貧血の第1選択薬であるステロイドホルモンの免疫抑制量の皮下注射のどちらも一気に行なうことにします。

輸血はとりあえずしません。口を開けた呼吸とかのひどい酸欠症状は見られないことと、血液型の事前の検査が出来ていないことがその理由です。

血液型の検査は、健康な時に前もって実施して置くのが正しいやり方で。こんなひどい貧血になってから慌ててやっても、少なくとも院内の検査では正確に結果が出ないことが多いです。

そんなことを言っていても、いよいよ危ないとなれば、我が院のドナー犬を務めてくれている謙ちゃんからの採血をやって、ためらい無く輸血を実施する心積りはあります。

という風に、ゴンちゃんの貧血の診断と治療は進んで行きましたが。

その夜には、ゴンちゃんは未明に輸液ラインをひどくキンクさせて、輸液が出来ない状態にしてくれました。しかも、それを直そうと試みると激しく抵抗して、悪くすると彼がショックを起こすか?私が咬まれて大怪我をするか?という感じでありました。

それでも、翌日になると、ゴンちゃんはいきなり朝食を食べてくれます。バベシアの注射か?ステロイドの注射のどちらかが?効いているのは間違いなさそうです。

入院2日目の夕方にはクームス試験の結果が帰って来まして。自己免疫抗体の存在は、確実とは言えないが怪しいと言うレベルの結果でした。
免疫介在性溶血性貧血の約3割はクームス試験陰性というセミナーの話しもありますので。陽性ならば確実で、陰性でも疑いは晴れないというところでしょう。

その間にもどんどん元気になって行って。入院3日目が終了するところで退院ということになりました。バベシアの遺伝子検査も陰性という報告がファクスされて来ましたので。診断としては免疫介在性溶血性貧血で良いと思います。

ゴンちゃんの今後の治療方針としては、ステロイドが効くのであれば、それ単独で。効きが今一つであれば、サイクロスポリンのような強力な免疫抑制剤との組み合わせを使用して。
とにかく血球容積を正常値にまで持って行って。貧血が改善したのであれば、徐々にお薬の量を減らして行って。

目標では3ヶ月後にはお薬からの離脱を図るということが、治療のゴールであります。

当然ステロイドを沢山使用しますから、最初の頃は毎週血液検査を実施して副作用のモニタリング、貧血改善の確認を行わなければなりません。

そんなことで、ゴンちゃんの貧血の治療は始まったばかりですが。ちゃんと道筋はつきましたので、頑張って治して行きたいと思います。

画像は入院3日目にして、退院を待っている猛犬ゴンちゃんの可愛らしい姿であります。

ではまた。

 

 

 

 

10/26 グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

午後から、月に一度のわんにゃん訪問隊活動に行って来ました。

連れて行ったのは、生後2ヶ月令になるブルテリ・和犬雑の愛ちゃんと、新着ベルジアンマリノワのゴーシュの2頭です。

当院のお客様で、犬とかは連れて来なくて、ハンドラーを務めて下さるボランティアさんに、怖がりでない愛ちゃんをお願いして。私は比較的怖がりであろうゴーシュをハンドリングしました。

ゴーシュ君、最初の15分くらいは、とにかく怖かったのか?緊張しまくりで、動けない状態が続いていました。

一方の愛ちゃんは、2階ホールに着いて放されるとすぐにお年寄りの皆さんの車椅子のところに走って行って、順々に挨拶して回っていました。

そのうちに、ゴーシュの緊張も解けたように感じましたので、お年寄りのところに連れて行って、抱っこしてもらいます。

二人目のご婦人の時には、何故だか?相手との波長が合ったのか?ゴーシュ君すごくリラックス出来たようです。寝込んでしまうくらいでした。

愛ちゃんも順調にあちこちお年寄りのところを回っていて、この子は天性こんな活動に向いているのではないのか?と思ってしまうくらいでした。

 1時間の触れ合いの時間が過ぎて、ミーティングを済ませて帰りましたが。ミーティングの間子犬2頭は熟睡していました。

それなりに緊張して精神的疲労を感じていたのだと思います。

でも、何とか良い感じで過ごすことが出来ましたので、来月16日にもこの2頭を連れて参加したいと思います。

 

 

 

10/22 主従共に快癒

シーズのかん太君は、もう12才になりますが。生後1才の頃に肝障害を患って、その管理をして来たというのはありますが。それ以外はこれまで特段の疾患は無くて過ごして来ました。

この家族は、もう20年近くも通って来ていただいてまして。先代のワンコは、牡犬がカンチ君、牝犬がリカちゃんと言って、東京ラブストーリーがネタかな?と思いつつ、診療して来た記憶があります。

このお家の二人のお嬢様も、いつしか成人、ご結婚されて、お孫さんにも恵まれ幸せにお過ごしだということでした。

しかし、先日、もう2週間ちょっと前の10月6日のことですが。
かん太君が、前日にトリミングに行った直後から、急に呼吸が苦しくなって、食欲が無くなってしまったという稟告で来院されました。

聴診してみると、心雑音がニューヨーク心臓病協会だったか?の基準だと思いますが。6分の2の強度の全収縮期性心雑音が聴取されます。

飼い主様に呼吸器症状とか何か無かったのか?と訊いてみれば、1年以上前から咳をしていたという話しです。

一応、呼吸循環器系の問題に限って、胸部エックス線検査と心エコーを実施してみました。

エックス線検査では、心臓の外形が明らかにおかしい形状で、右側に突出したような形になっています。肺野には肺水腫のような像は、はっきりとは確認出来ません。

心エコー図検査では、左心室と左心房を区切っている僧房弁というバルブの部分で逆流が生じていました。心臓腫瘍についてははっきりとは確認出来ませんでした。

飼い主様には、心臓の右側の形状がおかしく見えるについては、心臓腫瘍か?その部分の肺炎か?肺の腫瘍か?あたりの可能性があることをお伝えして、投薬はACE阻害剤、ピモベンダン、利尿剤、抗生物質などを処方しました。

飼い主様のご意向は、仮に心臓腫瘍とか肺の腫瘍とかの場合、開胸手術をやってどうこうということまではするおつもりは無いということでした。

3日後の10月9日再来院の時には、咳の症状は少し改善しているということでしたが、食欲がかなり低下してしまっていて、元気が無い。飲水はそれなりにあるということでした。

血液検査を行なってみたところ、著しい高コレステロール血症、軽度の肝障害、尿素窒素の上昇が気になるところでした。

高コレステロール血症については、甲状腺機能の検査を外注で実施すると共に、見切りで甲状腺ホルモンを処方しました。
食べないについては、焼け石に水かも知れませんが、皮下輸液を実施し、その他は前の継続で処方します。

甲状腺の検査結果は数日後に帰って来ましたが。FT4という項目が正常値よりも低下しているという結果でした。

しかし、10月15日に再来院した時には、それまでは少しずつでも何とか食べていたが、いよいよ食べることが出来なくなったということです。

今までの処方に追加で、ぺリアクチンという食欲増進効果の副作用のある抗ヒスタミン剤を処方してみました。

飼い主様には、もしかすると、いよいよ駄目かも知れませんとお伝えしました。

ところで、この飼い主様は、話しをしていると、以前からひどい頸部痛に悩まされているということでした。
余りにも痛みが辛いので、近所の整形外科にて局所麻酔薬のブロック注射をしてもらうそなのですが、最初はよく利いていた注射が、最近はそう利かなくなってしまっているという、非常に気の毒なお話しであります。

私は人間の痛みとかについては素人ですが。お話しを聴いていると、もしかして、私が月に一度お世話になっている広島県は尾道市の前岡治療院の前岡院長先生だったらこの飼い主様の苦しみを軽減出来るかも知れないと思いました。

前岡先生のことをお話ししてみると、是非とも紹介して欲しいということですから、治療院の住所と電話番号をお伝えした次第であります。

さて本日、久し振りにかん太君の来院がありまして。

先週金曜日辺りから急に元気が回復して来て、食欲も増進し。散歩をせがむまでになったということでした。

正直もう駄目か?と思っておりましたので。非常に嬉しかったです。

そして、頸部痛のひどかった飼い主様も、先週木曜日に前岡治療院にかかると、施術の後、それまでひどかった痛みが嘘のように消失したと、嬉しそうに報告をいただきました。

飼い主様の頸部痛が治癒した翌日にかん太君が劇的に回復したのも、不思議なタイミングです。

飼い主様の喜びがこちらにも伝染して参りまして。思わず涙がこぼれそうになるくらい嬉しかったことでした。

かん太君の症状については、もう少し同じ内容で投薬を続けてから、胸部エックス線検査とかを試みてみようかとお伝えしました。

そんなことで、今日は嬉しい報告でありました。

かん太君と飼い主様についてはいつまでも元気で長生き出来ますように。

ではまた。

 

 

 

 

10/21 コカプーの外耳炎と皮膚病

今日で来院3回目のアメリカンコッカースパニエルとトイプードルのミックス、いわゆるコカプーの、9才になる去勢済み男の子の話しです。

約1年前から、皮膚病と外耳炎の治療で、さる大病院にかかっていたのですが。

随分と悪化しているように思われるので、当院のHPを見られて転院して来たということでした。

治療に際して、細菌培養と薬剤感受性試験などを行なって来たのか?と訊けば。そんな検査はしたことが無いとのことであります。

皮膚病なんか、よく判らないながらにセファレキシンというお薬を内服した時に、2週間でほとんど全快という感じにまで回復して。中止したらまた調子が悪くなり。慌ててお薬を再開したら、今度は全くと言って良いほど利かなくなってしまったという話しでした。

視診してみると、皮膚も好い加減ひどい膿皮症になっていますが。最悪なのは耳で、耳道がひどく腫れて、分泌物もジュクジュクしています。

ここは何とか頑張って治して喜んでいただきたいところではありますが。耳道軟骨を触診してみると、異常にカチカチに硬くなってしまっています。慢性炎症が行き着くところまで行って、耳道軟骨にカルシウム沈着が生じて、骨化してしまっているのかも知れません。

飼い主様には、耳道軟骨が骨化するまで行っている外耳炎は、外科的に最悪は全耳道切除までやらないと完全治癒は望めないかも知れませんとお伝えして。自分のところで何処まで治ってくれるのか?一応頑張って見ましょうというお話しをしました。

コカプーちゃんにまずやったことは。皮膚と耳道と別々に細菌培養と薬剤感受性試験を行なうということです。
CTのある大きな動物病院の獣医さんから見ると子供だましのような簡単な検査ではありますが、外耳炎とか皮膚疾患には、実はこの検査が最も大きな武器となる可能性のある、私にとっては最も大切な検査なのであります。

上の画像が翌日に判定したその結果であります。

セファレキシンは、治療歴からも明らかですが。全然利かなくなってしまっていました。耳の培養をしたシャーレに生えている菌は、緑色の色素を分泌しておりますので、性質の悪い緑膿菌という薬剤耐性菌であります。

その結果から、使用する薬剤は、内服ではミノサイクリン、点自はフラジオマイシンというお薬を選択しました。

次に実施したのは、血液検査です。この年齢になって急にそんな感染症にやられて、通常の治療で悪化の一途をたどる場合、もしかすると基礎疾患として何か?免疫機能を低下させるような全身性の病気を発病している可能性があると考えるからです。

しかし、血液検査では特に免疫機能を低下させるような疾患は見つけることが出来ませんでした。

そういうわけで、治療開始して1週間が経過した本日。再来院したコカプーちゃんは、嬉しいことに皮膚も耳もびっくりするくらい改善していました。

画像ではっきりとは判らないかも知れませんが。耳道の腫れがすごく改善しておりまして。耳道の中を外から覗き込むことが可能になっているのです。

耳道を触診してみると、あれほど硬かった耳道軟骨が柔らかくなってまして。あの硬さはカルシウム沈着ではなくって単なる腫れによるものだったんだなと思われました。

皮膚の状態も、この1週間でほとんど大丈夫か?と思われるくらいに綺麗になっていました。

しかし、本当の闘いはこれからかも知れません。

もう1週間今までと同じ投薬を続けて。来週には念のために再度細菌培養と薬剤感受性試験を実施して。本当の意味で完全治癒に持って行けるように、気を引き締めて治療をして行きたいと考えております。

グリーンピース動物病院は、CTやMRIも無く。院長が飼い主様と患者様を裏切ることが出来ない性格のために代診を置くことも無い、ある意味ショボぃ小さな動物病院ではありますが。
総ては飼い主様と患者様の安心と幸せのために気合いを入れて日々の診療に打ち込んで行きたいと思って頑張ります。

ではまた。