兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2014 8月 15
院長ブログ

日別アーカイブ: 2014年8月15日

糸付き縫い針を飲み込んだ猫ちゃん

猫という動物は、とても遊び好きで。特に紐や糸のような物で遊ぶことが大好きです。人間がネコジャラシで遊んでやったり、自分で毛糸玉にじゃれついたりする姿は誠に可愛らしいものです。

しかし、困ったことに猫は、遊んでいるうちにそんな紐や糸を飲み込んでしまうことがあります。

猫の紐状異物誤嚥は、獣医療の中ではかなりクラシックにして重要な問題です。飲み込まれた細い紐や糸が腸管で動けなくなって、腸が切れたりして腹膜炎を生じて死に至る転機を取ることになるのです。

今回の子は、1才少々のスコティッシュフォールドの女の子ちゃんですが。「裁縫用の針を飲み込んだ。」ということで来院されました。

稟告から金属製の針を飲み込んだのは間違いなさそうなのですが。診察台上の猫ちゃん、少し不穏な表情です。


お互いに怪我をしたり、猫ちゃんがショックを起こしたりするのも困りますので。無理に口をこじ開けるのは避けて、エックス線検査を行なうことにしました。

エックス線検査の結果です。腹部や胸部には金属異物は見当たりません。よくよく見ると。頭部の辺りに細長い陰影が見えます。

拡大してみると、こんな感じです。首輪の留め金の上の方に縦に見える細長い直線状の陰影です。

少し強めに鎮静をかけて、無抵抗状態にしてから。口を開けて見ます。

赤い矢印の先が飲み込まれた針です。突き刺さってますね。
鉗子で挟んで取り出しました。

トレイに乗っているのが、取り出した糸付き縫い針です。糸が赤いのは元々の色でして。決して大量に出血したわけではありません。

猫ちゃんは、この後鎮静剤の拮抗薬を使用して、速やかに覚醒しました。

今回は、簡単な処置で異物を取り出すことが出来ましたが。異物の存在する場所によっては開腹手術を必要とする場合もあります。

猫ちゃんの玩具についてはくれぐれも注意して、このような事故を起こさないように。もし万が一異物誤嚥に気がついたならば、速やかに受診されますようお願い致します。