兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2025 12月 18
院長ブログ

日別アーカイブ: 2025年12月18日

年齢とともに変わるリスクと検診の考え方

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

年齢とともに変わるリスクと検診の考え方

犬や猫は、人間よりも早いスピードで年を重ねます。若い時期は元気で、多少の不調もすぐ回復してしまうため、「うちの子は丈夫だ」と感じる飼い主も多いでしょう。しかし年齢を重ねると、体の変化は少しずつ積み重なり、ある日突然、症状として表に出ることがあります。シニア期の定期検診が重要とされる理由は、この「静かな変化」を捉えるためです。シニア期の健康管理は、病気を怖がるためではなく、変化に合わせて暮らしを調整し、元気な時間を延ばすために行うものです。

犬猫のシニア期は、一般的に犬は体格によって始まる年齢が異なり、小型犬は比較的遅く、大型犬は早い傾向があります。猫は一定の年齢からシニアとされることが多いですが、個体差も大きいです。ここで重要なのは「年齢がシニアだから必ず病気になる」という見方ではなく、「年齢とともにリスクが上がる領域がある」という理解です。だからこそ、定期検診の内容や頻度を見直し、その子に合った形に調整していく必要があります。

シニア期に増える代表的な課題の一つが、腎臓の機能低下です。特に猫では慢性腎臓病が多く、初期には症状がほとんど出ないことがあります。水をよく飲む、尿量が増える、体重が少し減る、毛艶が落ちるなど、日常の中で見過ごされやすい変化が先行することもあります。定期検診で血液検査と尿検査を組み合わせることで、腎臓の変化を早めに捉え、食事の調整や水分摂取の工夫など、生活管理を早期に始められる可能性があります。進行を止めることは難しい場合でも、進行を緩やかにし、生活の質を保つことを目指せる点が大きな価値です。

心臓の病気も、年齢とともに増えやすい領域です。犬では僧帽弁閉鎖不全症などがよく知られていますが、初期には咳が少し出る程度、あるいは症状がないこともあります。猫でも心筋症などがあり、見た目だけでは分かりにくい場合があります。定期検診で聴診を受け、心雑音や不整脈の有無をチェックすることは、早期の気づきにつながります。必要に応じてレントゲンや超音波検査を組み合わせることで、より精密な評価が可能になります。心臓の病気は早期から適切な管理を始めることで、急な悪化のリスクを減らせることがあります。

歯周病もシニア期の重要課題です。歯石の蓄積や歯肉炎は若い時期から進行しますが、シニア期には重度化しやすく、口腔内の痛みや食欲低下につながります。さらに、口腔内の慢性炎症は全身に影響を及ぼす可能性も指摘されています。定期検診で口腔内を確認し、歯磨きの見直しや、必要なら歯科処置の検討をすることは、シニア期の生活の質を大きく左右します。食べることは生活の中心です。食べる力を守ることは、シニア期の幸福を守ることに直結します。

関節や筋肉の問題も、年齢とともに目立ちやすくなります。犬では関節炎、椎間板疾患などのリスクが増え、猫でも加齢による関節の痛みが行動の変化として現れることがあります。高いところに上らなくなる、遊ばなくなる、寝ている時間が増える、触られるのを嫌がるなど、飼い主が「性格が変わった」と感じるような変化の背景に、痛みが隠れていることもあります。定期検診では、歩き方や関節の可動域、筋肉量などを評価し、必要なら体重管理や運動の調整、サプリメントや治療の相談ができます。痛みを我慢させないことは、シニア期の大切な配慮です。

シニア期の定期検診で特に意識したいのは、頻度の見直しです。若い時期に年1回で十分だった子でも、シニア期には年2回を目安に検討すると、変化を捉えやすくなります。動物は人よりも加齢変化が早く、半年の間に状態が変わることもあります。もちろん、頻度は個体差があります。持病の有無、体質、生活環境、ストレス耐性などを踏まえて、獣医師と相談して決めることが重要です。

もう一つ大切なのが、検診が「検査中心」になりすぎないことです。シニア期の健康管理は、検査で異常を探すだけでなく、暮らしの工夫によって快適さを守ることが目的です。食事を消化しやすい形にする、水を飲みやすい場所に増やす、滑らない床にする、段差を減らす、寒暖差を調整する、トイレを行きやすい位置にする。こうした生活の整備は、検査以上に生活の質に影響します。定期検診は、その工夫の方向性を獣医師と一緒に考える場にもなります。

シニア期は、病気のリスクが増える一方で、飼い主と動物の関係がより深まる時期でもあります。若い頃のように走り回らなくても、穏やかな時間を一緒に過ごすことが増えます。その時間をできるだけ長く、快適にするために、定期検診は力を発揮します。変化を早く知り、適切に整える。それは恐れではなく、愛情の具体的な形です。シニア期の定期検診は、老いを悲観するためではなく、今ある元気を大切に守るための習慣なのです。