兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2025 12月 23
院長ブログ

日別アーカイブ: 2025年12月23日

「日常のケア」

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

「日常のケア」

動物病院で定期検診を受けることは、犬猫の健康を守るうえで非常に大切です。しかし、健康管理は検診だけで完結しません。むしろ、検診は“点”であり、日常のケアは“線”です。線が整っているから点が活きる。定期検診の結果を日々の暮らしに落とし込み、予防や生活習慣の改善につなげることで、健康管理は初めて実効性を持ちます。ここでは、定期検診とセットで考えたい「日常のケア」と「備え」について整理します。

まず、予防の領域です。ワクチンや寄生虫予防は、定期検診のタイミングで見直すと効率的です。犬では混合ワクチンや狂犬病予防接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防が代表的です。猫でも生活環境によってワクチンや寄生虫対策が必要になります。重要なのは、予防は「一律」ではなく、その子の暮らしに合わせて調整することです。室内飼育か、散歩の頻度はどうか、多頭飼育か、外部との接触がどの程度あるか、旅行やペットホテル利用があるか。こうした条件によって、必要な予防の優先順位や方法は変わります。定期検診は、その調整を獣医師と相談できる機会です。

次に、体重管理と食事の見直しです。体重は健康の指標であり、肥満は多くの病気のリスクを高めます。一方で、急な体重減少も見逃してはいけないサインです。日常的に体重を測るのが難しい場合でも、月に一度程度、家庭用の体重計で抱っこして測るなど、無理のない方法で把握すると役立ちます。食事については、フードの種類だけではなく、与える量、おやつの比率、食べ方、食事回数、家族の誰が与えているかといった運用面が重要です。「良いフードを買っているのに太る」という場合、実はおやつや人の食べ物が影響していることもあります。定期検診の際に、フード量の目安や体型評価を確認し、日常の与え方を修正することは、最も効果が出やすい健康投資の一つです。

口腔ケアも、日常の積み重ねが結果を左右します。歯周病は非常に多く、進行すると口腔内の痛みだけでなく、食欲低下や体調不良の原因になります。理想は歯磨きですが、すべての子がすぐに受け入れられるわけではありません。まずは口周りに触れる練習、ガーゼで拭く、歯磨きペーストに慣れるなど、段階的なステップが現実的です。定期検診で口腔内の状態を確認し、今の段階に合ったケア方法を相談することで、挫折しにくくなります。歯科処置が必要な場合も、早めに相談して計画を立てることが、動物の負担を減らすことにつながります。

運動と環境整備も重要です。犬は散歩が基本ですが、散歩の質は年齢や体調で変わります。若い頃と同じ距離やペースがシニア期には負担になることもありますし、逆に運動不足で筋力が落ちると、関節や姿勢に悪影響が出ることもあります。猫の場合は運動量が減りやすいため、遊びの工夫や上下運動ができる環境づくりが役立ちます。ただし、関節痛がある猫では高い場所への移動が負担になることもあり、スロープや段差の調整が必要になる場合があります。定期検診で体型や筋肉量、関節の状態を評価し、日常の運動や環境の方向性を決めることは理にかなっています。

さらに、家庭でできる「観察」を習慣にすることも大切です。観察といっても、特別なことをする必要はありません。食欲、飲水、排尿・排便の状態、呼吸、歩き方、毛艶、皮膚、耳の汚れ、口臭、目やに、活動量、睡眠、触られ方の変化。こうした項目を、日常の中で“なんとなく”把握するだけでも、変化に気づきやすくなります。特に飲水量や排尿量の変化は、腎臓や内分泌の病気の早期サインになることがあります。嘔吐や下痢も、回数や状況を記録しておくと診察で判断しやすくなります。定期検診は、こうした日常情報を整理し、プロの視点で評価してもらう場でもあります。

最後に、緊急時の備えについて触れておきます。病気や事故は、休日や夜間に起こることもあります。いざという時に慌てないために、かかりつけ病院の診療時間、夜間救急の連絡先、移動手段、キャリーの準備、ペットの既往歴や服用薬の情報をまとめておくことは大切です。さらに、災害時の備えとして、フードや水、常備薬、トイレ用品、予備の首輪やリード、ワクチン証明のコピー、写真などを準備しておくと安心です。定期検診のタイミングで、健康状態や薬の情報を更新しておくと、緊急時に情報が整理されている状態になります。

定期検診は、健康管理の中心でありながら、日常ケアと組み合わせることで最大の価値を発揮します。病気を探すためだけの行事ではなく、生活を整えるための節目として活用する。検診で得た情報を、食事、運動、口腔ケア、予防、環境づくり、観察、備えに落とし込む。そうして初めて、動物病院の定期検診は「健康を守る仕組み」として機能します。犬猫の健康は、飼い主が日々の暮らしの中で守る部分が大きいからこそ、病院と家庭がつながる形が重要です。定期検診は、そのつながりを作るための、最も現実的で有効な方法の一つなのです。