兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 02/24 柴犬の腸閉塞
院長ブログ

02/24 柴犬の腸閉塞

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午前診に来院して来た若い柴犬ですが。

10日前から食欲不振に陥って。近医で検査すると肝臓が悪いということで、治療を受けているのだが、嘔吐が止まらず。昨日は尿素窒素もかなり上昇して来たという事で、点滴を受けたと。
しかし、嘔吐は続くということでした。

犬を触ってみると、ひどく痩せています。1週間食べなくてもここまで痩せることはないと思います。

治療を行なっているのにも関わらず症状が進行しているということは、好い加減な対応をしては絶対に駄目だということですから。

血液検査と腹部エックス線検査をまず行なって、その結果によっては腹部エコー検査が必要になるかも知れないと、連れて来た方にはお伝えしました。

犬をお連れになった方は、現役の泌尿器科の女医さんだということで、犬は御実家の飼い犬だそうです。

血液検査を行なって、それを今まで治療して来た獣医さんのデータと突き合わせてみると、肝機能障害も腎機能の項目の異常も存在はしているが改善傾向にあり、このデータで食べないのはおかしいと思いました。
全血球計数ではほとんど異常値は見られません。

ただ、リパーゼがかなり高値であること、炎症マーカーである犬CRPがしっかり高値であることが目立つ異常値です。
ナトリウムイオン、カリウムイオン、クロールイオンなどの電解質が低値なのは持続的に嘔吐していて、まったく食べれていないという結果だと思います。

腹部エックス線検査では、腸管内に砂と思われる異物が沢山観察されました。それと、腸管内のガスの存在にかなり違和感を感じます。

これらのことから、疑わしい疾患は、膵炎、腸閉塞、何らかの薬物中毒辺り?かと推定しました。

膵炎に関しては、犬膵特異的リパーゼを東京のアイデックスラボラトリーズに外注することにして。

腸閉塞に関しては、午後から消化管造影検査を行ないました。

犬の口にバイトブロックを咬ませて、そこから細めの胃カテーテルを胃まで挿入して。この時に大切なのはカテーテルから液体を注入する前に必ず注射器で陰圧をかけて空気がどんどん入って来ないか?ということをチェックしなければなりません。

滅多に無い事ですが、胃カテーテルが間違って気管に挿入された状態で液体を注入すると、窒息したり誤嚥性肺炎を起こしたりするのです。

この子の場合、胃カテーテルは適切な位置にありましたので、ガストログラフィンという造影剤を注入して。
直後、1時間後、2時間後とエックス線撮影を実施しました。

造影1時間後も2時間後も造影剤はほとんど小腸に流れて行かず。1時間後と2時間後の撮影の合い間に嘔吐してしまいました。

クライアントには、機能性イレウスなのか?どうかは不明だが、イレウスは存在していそうなので、試験的開腹が必要だと思うとお伝えして。手術に同意していただきました。

手術までは、静脈に留置したカテーテルから生理食塩液に塩化カリウムを適量添加したものを輸液してコンディションを整えます。

午後5時を過ぎ、午後診が終了してから麻酔導入を行ない、試験的開腹を実施しました。クライアントも立ち会って見届けてくれました。

開腹してみると、空腸から回腸まで広い範囲の小腸に異物が触知されます。触るとかなり固い感触です。
異物の遠位側では何とか異物を排出しようとして腸が頑張り過ぎているのでしょう。腸重積に陥っていました。

異物が詰まっている小腸の適当な部分を2ヶ所切開して、異物を引っ張り出しました。こんな作業をする場合、術野や周辺を汚染させないように注意しながらやらなければなりません。

異物を取り出した切開部は丁寧に縫合します。なるべく縫合部位が狭くならないようなやり方を取ります。

最後に、胃から直腸まで腸管を順次点検して、その他の異常が無いかどうか?きちんとチェックし終わったら、閉腹の作業にかかります。

腹膜と腹筋、皮下織、皮膚と、順番に縫って行って。手術終了は午後7時半少し前くらいでしたか?

術後は覚醒も順調でした。夜の間、何回か容態点検を行ないますが。眼を離すとクルクル回って、輸液ラインを捩じってキンクさせてしまうのが困りました。

結果、この子は、食品ラップフィルムの誤食による腸閉塞ということでした。

しかし、誤食の原因が単に食いしん坊な犬だということなのか?それとも何か基礎疾患があるのか?2ヶ月か3ヶ月前にサイエンスダイエットから変更したという食事内容に問題は無かったのか?

再発防止に関して思いを致す必要があると考える次第であります。

なお、この子の経過としては、術後24時間くらい経過したら、まず水を与えてみて。異常が生じなかったら消化の良い残渣の少ない食事を少量食べさせて。

翌日からその処方食を食べさせていって。順調に食べるようであれば退院という運びになると予定しております。