兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 耳疥癬
院長ブログ

耳疥癬

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犬と猫には耳に寄生する耳疥癬という寄生虫がおります。命がどうこうという寄生虫ではありませんが。

耳疥癬に寄生されると、激しい痒みを特徴とする外耳炎になって。対応を誤ると慢性外耳炎に移行し、ずっと外耳炎で苦しむようになる可能性があります。

今回の子は、生後2ヶ月に満たないラブラドール・レトリーバーの子犬です。

ワクチン接種で来院されて、気になる点が無いかどうか?いろいろ訊いているうちに、耳が汚れていて、掃除をしてもまたすぐに汚れるという症状を聴取しました。

さっそく耳の中を点検してみると。黒っぽい耳垢があります。

拡大してみると。

こんな感じです。

その耳垢をスライドグラスに塗り拡げて、顕微鏡で観察すると。

こんな虫が見えました。

動画で見ると。かなりのスピードで走り回る虫です。

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耳疥癬を発見したら。その治療は。まず疥癬の特効薬とも言うべき注射を、7日置きに3回皮下注射します。
ただ、この注射はコリー、シェトランドシープドッグのようなコリー系の犬種には、遺伝子検査でこの薬が大丈夫かどうか?検査をして大丈夫の結果が出ない限り使ってはいけません。

注射を行なったら。耳掃除を実施します。耳用の洗浄液を使って耳道洗浄を行なった後に、炎症を抑える点耳薬を使用します。

耳掃除は最初の頃は毎日した方が良いですが。耳疥癬が注射で死滅して、炎症が治まって来ると、日を開けていっても大丈夫です。

こうしてきちんと治療すれば、耳疥癬は後に障害が残ることなく治ります。

犬猫の外耳炎を発見したら、面倒でも耳垢の顕微鏡検査をまめに行なった方が良いと思います。

耳疥癬は、自然に発生することは無いですから。この子の耳疥癬もペットショップかブリーダーのところで感染したものであると思います。犬を販売するプロの方は、動物取扱業の許可制度が実施されてからはかなりレベルは上昇したように感じていますが。

伝染病や、腸内寄生虫、耳疥癬のような古典的な感染症の管理をきちんとして欲しいと思います。