兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 2015 2月
院長ブログ

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小型犬の膝蓋骨内方脱臼グレード3に対する手術療法

今日は本当に久し振りにトイプードルの若犬の膝蓋骨内方脱臼グレード3の手術を行ないました。

午後1時過ぎから麻酔にとりかかって。術野の毛刈り、毛剃り、消毒。術者と助手の手洗い消毒、滅菌術衣手袋の装着ひと通りきちんと行なって。

① 大腿骨の先っぽの、膝のお皿が入る溝を深くする手術と。

② 膝のお皿が内側に引っ張られないようにする内側支帯解放術と。

③ 膝のお皿から下に延びる膝蓋靭帯がすねの骨に付着している場所(脛骨粗面といいます)を少しばかり外側に移動させて、膝のお皿が内側に引っ張られるモーメントが生じないようにする術式と。

以上3つの処置を行ないまして。

手術は無事に終わりました。

エックス線写真が小さくて見難いかも知れません。画像向かって左側がこの子の右脚ですが。まだ手術をしておりませんので矢印の先に脱臼した膝蓋骨が見えています。

向かって右側の左脚は、上の矢印が手術によって本来の位置に収まっている膝蓋骨でして。下の矢印は脛骨粗面移植術を行なった場所です。

左脚が回復した時点で、右脚も同じ手術を行ないたいと思います。

ポムちゃん、予定では順調に治って元気に走れるようになることと予想しております。

最近、ブログの更新をサボっておりました。その後、猫の甲状腺機能亢進症とか、犬のアトピー性皮膚炎に対する減感作療法とかいろいろ書きたい題材はありますので。ボチボチでも書いて行きたいと思います。読者の皆様にはこれからもよろしくお願い致します。

追記
手術の翌日。トイプー君は経過観察のために来院されました。

飼い主様の報告によれば、朝食は元気に食べて、化膿止めの投薬も普通に出来たそうです。
見たところ、一般状態すこぶる良好で。麻酔後の不整脈とか肺水腫の有無を確認するためにルーチンで行なっている胸部聴診でも特に異常は認められず。術創も良い感じです。

こうした手術では、術後2週間を目途に抜糸を行ないますが。足を普通に使うようになるには、少なくとも1ヶ月はかかると思います。
しかし、機能が回復した後は、もう膝のお皿が外れることはありませんので、正常歩行が可能になるはずです。

もう片方のお皿の脱臼については状態をみて、出来れば手術をした方が良いでしょう。

まだ1才未満の若い犬ですから。元気で長生きして幸せな一生を送って欲しいと切に願っております。