兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 院長ブログ

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フィラリア予防の落とし穴

狂犬病予防注射とフィラリア予防のために初めて来院された4才8ヶ月令フレンチブルドッグの女の子の話しですが。

狂犬病予防注射を接種しながら、話しを聴いていくと。今年は既に1回は昨年の残りの滴下剤のフィラリア予防薬を使用したということでした。昨年の最後の予防薬は10月の末に使用して終わったとのことでした。

フィラリア予防の際には、面倒に感じることもありますが、毎年予防薬投与前に血液検査で前年の予防状況を確認する必要がある旨説明して。

血液検査に同意が得られましたので採血しました。

結果を見てびっくりです。

犬フィラリア成虫に対する抗体が陽性と出ました。

右側に見える検査キットの窓の反応が、左側の説明用小パネルの陽性と同じ反応になっているのが判ると思います。

フィラリア予防薬は、滴下剤とか内服用錠剤とか食べるタイプとか、年に1回の予防注射形式とか、いろいろあるのですが。基本的に能書の通りに使用していれば効果は確かなお薬ばかりだと思います。

ただし、獣医師の個人責任で、馬や牛や豚などの産業動物に使用される同様の成分のお薬を、希釈して処方する先生がおられますが。私の経験では、そんな先生のところから転院された子に、予防の失敗例が多く見られています。

獣医師は、原価が安い薬に欲に駆られて飛び付くのではなく、予防薬くらいはきちんと認可が下りた正規のお薬を使用して、飼い主様の安心安全の要望にお応えする必要があると思います。

今回のフレブルの女の子の場合、多分ですが、正規のお薬を使用していたと思いますが。使用方法に何処か能書と異なる点が存在していたのかも知れません。

犬フィラリアに感染した犬に、予防薬をいきなり投与すると、ショックを起こしたり急性フィラリア症を発症する可能性がありますから。

この子にはショックを防ぐためのステロイドホルモンを同時に処方します。

当院でのフィラリア予防を2年から3年実施して行きますと、通常は3年から5年と言われているフィラリアの寿命が短くなるようで。大抵は3年目でフィラリア成虫抗体検査が陰性に転じています。

何事も基本が大切なんだなあと、強く実感された出来事でした。

 

 

 

ポメラニアンの消化管内異物

今日の症例は、10才と3ヶ月になるポメラニアンの女の子です。

この子は6月2日に、前日から吐くようになり、食欲が低下したということで来院されました。排便はあるがやや軟便とのことでした。

飼い主様の話しを聴きながら、ワンコの様子を見ていて、カルテに記載している既往を確認して行くと、2009年に肝障害を患ったことがあります。

血液検査をすることにしました。

打ち出された結果では、総コレステロールの高値、アルカリフォスファターゼの高値、BUNとリパーゼが少しだけ高値ということでしたが、特筆すべきは炎症マーカーである犬CRPが7.0mg/dlオーバーという異常な数値です。

この時点でもっと詳しく腹部エックス線検査をすべきかどうか?ちょっと迷いました。

でも、ワンコの表情はそんなに苦しそうでもなさそうですし。

犬CRPの数値が高いのがすごく気になるので、お薬を内服させても症状が悪化するようであればすぐに来院するようお伝えした上で、とりあえずの処方として胃腸炎対応のお薬の組み合わせをお出ししました。

しかし、翌日に電話があって、症状は進行して食欲がいよいよ少なくなったこと、下痢もしていること、投薬が出来ないということでしたので、来院するようお伝えしました。

来院したワンコに腹部エックス線検査を実施してみたところ、胃の中には大量の内容物が充満しているのに、胃から後ろの腸管にはほとんど内容物が見られません。何かひどく不自然です。

リパーゼが高かったことも気になりましたので、採血して血清を東京のアイデックスラボラトリーズに送り、犬膵特異的リパーゼを測定すると共に。

ガストログラフィンというヨード系造影剤を胃チューブで胃に流し込んで、消化管造影を行ない、1時間毎にエックス線撮影を実施しました。

画像はガストログラフィン投与後16時間のものですが、液体成分はちゃんと直腸末端まで到達しているものの。胃の中の固形物は全然変化がありません。

どうもおかしいです。

そして、エックス線検査を実施しながら、念のために前腕に静脈カテーテルを留置して乳酸リンゲル液を輸液していると、ワンコは急に吐きました。

吐いた物を見てびっくりです。足拭きマットの繊維みたいな繊維の塊でした。

飼い主様に確認すると、思い当たる節があるとのことです。

これは試験的開腹をするしかないと決断し、飼い主様の了解を取り付けて、4日の午後に手術を決行しました。

麻酔導入後気管挿管をして、ガス麻酔で維持しつつ、お腹を開いてみると、やはり、吐いた物と同じ繊維製の異物が胃に充満しております。


引っ張り出してみると。結構長い繊維です。緑っぽい色でしたので、まるで茶蕎麦を吊り出したような雰囲気でした。


胃は綺麗に掃除して、2重に縫合してお終い。

でも、ここで安心してしまって閉腹するようでは、不十分です。長い繊維製の異物ですから、腸管に行って悪いことになっている可能性大です。

腸管も引っ張り出して、十二指腸から近位結腸まで丹念に探ってみますと。ありました。

長い繊維性異物が腸管に引っ掛かって、腸管がアコーディオンの襞の如くに、シワシワになっています。この状態が長く続くと腸管が切れて腹膜炎を起こして死ぬ怖れがあります。

こっちの異物は相当長かったです。腸管の切開は最小限で済みましたので、縫合も比較的楽でした。

総ての異物を摘出して閉腹完了しました。午後診開始の少し前でした。取り出した異物をワンコと比較してみると、結構沢山食べていたのにびっくりです。

その後ワンコは順調に回復して、手術2日後の本日朝から旺盛な食欲を見せてくれて、 本日夕方に退院して行きました。

本当に良かったと思います。

 

 

免疫低下の原因は?

1週間前に来院して来たシーズ犬のランちゃんは、9才と7ヶ月令避妊済み女の子なのですが。5才の頃よりアカラスと俗に言われる犬毛包虫症に罹ってまして。他院で治療しているのですが、すっきりしないということで、当院に来られたそうです。

アカラス以外にも、緑内障、乾燥性角結膜炎、それに僧房弁閉鎖不全症も存在しているようです。

で、診察室で今までの経過を聴き取りしている際に、来院4日前にトリミングに行ってから、翌日に41.1℃の発熱が生じて、かかりつけの動物病院で胸部エックス線検査の所見から気管支炎だとの診断で、解熱剤を注射してもらったが、食欲が無いというお話しでした。

検温してみますと、体温は40℃丁度で発熱しています。

診察申込み書の記載では皮膚病の治療希望ということでしたが、発熱と食欲廃絶ということであれば、まず何よりもそれに対応して、皮膚病は食欲が回復してから取り組むべきとお話しをしまして。

採血をして全血球計数とリパーゼ、犬CRPを含む徹底的な生化学検査を行なうと共に、胸部エックス線検査を実施してみました。

その結果ですが。胸部エックス線検査では気管支炎の所見は見つけられませんでした。血液生化学検査では総コレステロール、アルカリフォスファターゼ、リパーゼ、犬CRPに高値が見られました。

膵炎の疑いがあり、アルカリフォスファターゼの高値は副腎皮質機能亢進症か?膵炎による2次的なものか?どちらかと思われます。飼い主様には膵炎の確定診断のために「犬膵特異的リパーゼ」の外注検査を東京のアイデックスラボラトリーズに依頼するのと、静脈カテーテルを前腕に留置して輸液を行ないながらの入院になることを了承していただきました。

入院初日には、座っているランちゃんの頭がフーッと左に流れるように落ちて行って、ハッと戻るような常同行動と言って良いのか?と思われるような動作がずうっと見られて、意識レベルとかにも何処か問題がありそうな感じを受けました。

体温は入院二日目から38.4とか38.3℃くらいまで低下して。皮膚炎も大幅な改善が見られます。頭部のおかしな動きも2日目には消失して意識レベルも正常になりました。

犬膵特異的リパーゼの検査結果は634μg/Lと正常値200634μg/L以下に比べて上昇が見られましたので、膵炎の存在は確定ということになりました。

しかし、3日目くらいにはランちゃんの表情からかなり体調がよろしくなって来ていると判断しまして。
膵炎対応低脂肪処方食を食べてもらおうと、目の前に提示してみるのですが、顔をそむけるような反応です。

4日目、5日目も全然食事を食べようとはしません。元々自宅でも食が細く、少しでも気に入らないと頑として受け付けないということですので。

5日目にして一旦帰宅してもらいました。

すると、翌日の報告では少しではありますが食べたということです。

膵炎は何とかクリヤーというところでしょうか?

ランちゃんのこれからですが、元々大きな問題である5才で発症した全身性毛包虫症は、免疫を低下させる何らかの基礎疾患が存在していることが多いですから。副腎皮質の機能評価とか免疫機能に関わる疾病を探って行かなければならないと思います。

当面、毛包虫症は細菌の二次感染をコントロールしながら週に1回の注射で治療して行こうと考えています。

入院中中1日のペースで実施した血液検査では、犬CRPはずっと6以上の高値を継続していましたから、内臓の疾患がそんなにひどいと思われない現状では、皮膚疾患が相当悪いのだと思わざるを得ません。何とか治してやりたいと考えています。

緑内障は、これも、大きな問題ではありますが。現在は高眼圧で苦しんでいる様子はありません。眼球が大きくなって目蓋が完全に閉じなくなってしまっていることと、涙が出なくなってしまっている乾性角結膜炎(重度のドライアイ)によって慢性的に眼がひどい炎症を起こしていることに関しては人工の涙を供給する眼軟膏を米国から輸入して持っておりますので、それを使用して。

巨大になってしまっている方の眼球に関しては、そのうちに生活の質を向上させるために摘出も考えた方が良いかも知れません。

僧房弁閉鎖不全症は、今のところそんなに重症でもなさそうなので、ACE阻害剤というお薬を継続して行けば当面大丈夫かと思います。

ランちゃん、いろいろ大変ですが。急性の膵炎をクリヤーしたこれからが本番だと気を引き締めて頑張りたいと思います。

 

急性犬フィラリア症について

フィラリア予防シーズンに入って時間的にも精神的にも余裕が無いのもあるのですが。どうもこのところブログ更新が滞っています。

今日は気を取り直して、そのフィラリア予防について実際の症例をひとつ。

平成8年11月生まれの雑種犬の避妊済み女の子の話しです。今年11月で15才になるわけですから、ちゃんと元気に齢を取ったと言って良い状態ですね。

でも、この子は、2年前に大静脈洞症候群といういわゆる急性フィラリア症を発症して当院で頸静脈からのフィラリア吊り出し術を実施した病歴があるのです。

そもそも、この子は急性フィラリア症発症の5ヶ月前に頸の皮膚に大きな腫瘤が出来たということで来院され。当院で切除手術と病理検査を実施したのです。

腫瘤の治療が一段落した段階で、フィラリア予防やワクチンについてやっていないということだったので、「高齢になっても病気予防はちゃんとやった方が良いですよ。」とお伝えしたそのすが。
飼い主様は一応聴き置いてお帰りになられました。

ところが、それから3ヶ月後の11月に再来院されて。一昨日夕方から急に食欲が低下し、昨日には夜間に嘔吐した。元気も消失し呼吸が荒く、散歩の時にも全く引っ張らなくなって、ボーっと立っているという稟告でした。

この時に聴診してみると、ガリガリという急性フィラリア症特有の心雑音が聴取されまして。

急性フィラリア症の疑いがあるので、いろいろ検査を行なって確定診断を付け、フィラリアの吊り出し手術を実施しないと死亡する確率が高いということを説明させていただきました。

飼い主様は一旦帰って家族と相談するということでお帰りになられましたが。後刻再来院されて検査と手術を希望されました。

この時の検査は、フィラリア抗体検査に全血球計数、血液生化学検査ひと通りを含めた血液検査に、胸部エックス線検査、心エコー図検査を実施して。

フィラリア抗体検査は陽性、血液検査では好中球増多症と心不全による腎血液環流量減少が原因と思われる高窒素血症、胸部エックス線検査では肺野が汚く肺動脈の拡張が見られ、心エコー図検査では右心房にフィラリアの虫体らしき陰影が見られました。

以上の所見から急性フィラリア症であると診断し、手術を実施しました。

しかし、この手術ではフィラリアは1匹だけは吊り出せたものの、その次が続きません。
1匹吊り出して終わりか?と思い。聴診もしてみますが、心雑音が明らかに消失した感じも判然とはしません。

結局それから6回程鰐口鉗子で右心室まで探ってみて手術はお終いにしました。

術後は化膿止めだけでなく右心不全を治療するお薬もしばらく続けることにしました。

その後、心雑音はしばらく続いたものの、ワンコは元気を回復して、手術の1ヶ月半後には心雑音も消失。2ヶ月後には心臓のお薬もお終いにしました。

翌年すなわち手術から4ヶ月後のフィラリア抗体検査では陰性という結果でしたから。この子に寄生していたフィラリアは手術で取れた1匹だけだったのだと思います。

たった1匹だけでも寄生部位によっては命に関わるんだなあと、感慨を新たにしたことでした。

それからはワンコはずっと元気だそうです。今年もフィラリアの検査と予防薬の処方、そして狂犬病予防注射に来院して来ましたが。全然問題無い感じでした。

チャチャちゃん、いつまでも元気で頑張って下さいね。

 

 

 

グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

第4金曜日は表記の老人ホーム犬猫連れボランティア訪問活動の日です。

今日は、ぎっくり腰の症状がまだ幾分遺残しておりますので、用心して自分の犬は連れずに参加しました。

園の人や見学の人たちと話しをして、訪問活動の様子を時々デジカメで撮影するくらいのことしかしませんでしたが。自分なりに良い気分転換にはなったと思います。

 来月はマリノワゴーシュを連れて参加したいと思います。

ぎっくり腰久し振りです

6年か7年前まで頑固で厳しい腰痛に悩まされていた私ですが。
縁あって広島県は尾道市の骨屋クマ吉前岡先生と巡り合って治療を受けるようになってから、劇的に改善しまして。
月1回ペースで前岡治療院に通うことで、ぎっくり腰もほとんど生じなくなっておりました。
月1回の治療には、私の飼い主太得子さんも同行して痛や膝痛の治療を受けていたので、自分の事だけではないという意識もあって、概ねサボらずに行けていたようなことでしたが。
昨年からはクライミングインストラクターをやっている長男が太得子さんと一緒に治療に行くようになって、少々義務感からも解放された私は、腰の状態も良いので、本来は3月末に行くべきだったクマ吉先生の治療を1回飛ばして、次回治療を5月1日にしてしまい。2ヶ月も間隔を明けたのであります。
ところが、この2週間くらい腰にモヤモヤ感が生じるようになって、まずいかな?と感じておりましたが。
ついに4月20日土曜日の朝に、風呂場で椅子に腰かけて足を洗っている時に、グニュ?という感触を腰に感じてしまいました。
それからは、痛いのなんのって。辛抱たまりません。昔懐かしコルセットを引っ張り出して装着しておりますが、全然であります。
2日目くらいから、自分でも立った時の姿勢が歪んでいるのを実感するようになっておりましたが。今朝自分の立ち姿を画像撮影してみたところ、くの字に曲がって、意識して立ったわけではないのに片方の足先も先に突き出した立ち方になっております。

ユリウス@素人ハンターの出猟日記

今朝ほどクマ吉先生に電話を入れて、私の休日の水曜日に治療をしていただくよう無理をお願い致しました。
いつも困った時に無理ばかり言って申し訳ないのですが。先生、予定に入れて下さいました。
24日と1日に続けて治療を受ければ、きっと痛みは無くなることと期待しております。何せ「神の手」に触ってもらうのですから。
仕事は何とかかんとか頑張りますが。それ以外はしばらく活動休止になるかも知れません。
しかし、それにしても痛いです。

早朝犬連れ独り花見

東京ではもう桜は終わりらしいのですが。当播磨地方ではどちらかというとこれから見頃に入ります。例年大阪よりも1週間は遅いです。

毎年行くのが、市内の日岡山公園という公園でして。中心を貫く歩道が桜並木になっております。

かなり広い公園で、武道館や野球場、サッカー場なんかもあったりして、29歳になる長男が小学生の頃はここの武道館で柔道を習わせてました。長男の子育てにはかなり力が入ってました。
二男になると、全然とは言いませんが、かなり肩の力が抜けていたように感じます。

今朝は5時45分に起床して、5頭の愛犬たちを加古川河川敷に連れて行って排泄と運動をさせて、それから独り花見をしに日岡山公園に行きました。花見のお供には7ヶ月令になるベルジアン・マリノワ牡のゴーシュを紐付きで連行しました。

桜の花はそれなりに咲いておりますが。

近くに寄って子細に見てみると、大きく開いた花だけではなくって、まだこれから開く蕾もそれなりに見られます。全部開けばすごく豪華に見えることと思います。

マリノワ ゴーシュは気合いを入れて訓練しているわけではないのですが。それなりに私とは良い関係になったみたいです。やって欲しいことをちょっと教えてやるとすぐに理解してくれて、それを真面目に遂行してくれます。

もともとそんな犬なんでしょうね。

桜の木の下で、座って待たせてみたり。

伏せて待たせてみたり。

待っている犬を呼べばこちらに駆け寄って来て正面に座ってくれて、号令をかければ左脚側に移動してくれてと、お利口なものであります。

人間の意を汲んで進んで従う気持ちが強い犬を選抜育種して来た結果なのでしょうね。

しかも、防衛訓練という犬の身体能力的にはギリギリ限界までパーフォ-マンスを発揮させる訓練科目のエリートを選抜することによって、股関節形成不全などの運動能力に悪影響を及ぼす形質を除去して来たわけですから。健康面でも問題の少ない犬になっていると思いますし。

犬の繁殖はすごいです。繁殖者が望む形質を有する個体を選びながら、同じ血を絡み合わせるように4代か5代繁殖を繰り返せば、かなりの確率で望む犬を造ることが出来ることと思います。

そして、私としてはやはり現役の作業犬や猟犬の血筋の犬が、飼育するに当たっては好みであります。

春の朝のひと時楽しく過ごすことが出来ました。

今日から明日にかけて雨みたいですが、桜が散ることがないよう祈っております。

 

 

膵炎と発作に関連あり?

今日の症例は、痙攣を起こすという稟告で受診された6才のトイプードルの男の子です。

数年前に他所から譲り受けて、何かと吐くことが多い印象だったそうなのですが。
3月初めにいきなり激しい痙攣が生じて。一応すぐに回復してケロリとしていたので様子を見ていたら、14日の夕方から震えが出始めて、よだれが沢山出て、後ろ向きに歩くような奇妙な行動が出たりしたので、近医にて受診されたそうです。

そこの先生は、一応血液検査をしてから痙攣を抑える注射を打ってくれたそうですが。これから先が不安なので当院の患者様の紹介でこちらに受診されたという事でした。

動物に痙攣発作が生じるような場合、癲癇とか水頭症のような脳の疾患を疑う前にやらなければならないことは。
低血糖性発作、心臓性発作、低カルシウム性発作、尿毒症性発作、などの代謝性というか内臓性というかの発作を除外しなければなりません。

この子の場合、先の先生のところで血液検査をしたとか聴きますが。データが手許に無いということなので、当院でも採血させてもらいました。

心臓に関しては、聴診でかすかに全収縮期性雑音が聴取されましたが、発作を起こすほどの弁膜症ではないと判断しました。

簡単な脳神経の検査では、光に対する瞳孔の反射は正常で、威嚇反射も正常ですから、この度はそれ以上は診ませんでした。

血液検査の結果では、全血球計数は総て正常値。GPTが高値(609U/L)リパーゼが1000U/Lオーバーというのが正常範囲外の数値でした。

肝機能と膵機能に異常が生じている可能性がありますので。
肝機能に関してはウルソの錠剤と、サミイの含まれたサプリを処方して。
膵機能に関しては、もう一度採血を行ない、血清を分離して東京のアイデックスラボラトリーズに犬膵特異的リパーゼの検査を外注しました。

2日後に帰って来た検査結果では、犬膵特異的リパーゼも1000mg/dlオーバーというかなりの高値であります。

犬膵特異的リパーゼと犬の膵炎に特異性の高い検査項目で、これが基準値以上に上昇していると膵炎と言い切って良いと、セミナーでは聴いております。。

この子の発作も、最初に生じたのは詳しく聴くと痙攣で間違いないと思いますが、2回目の発作は震えとか後ずさりですから、あるいは膵炎関連の腹痛で生じた症状だったのかも知れません。

肝機能障害とか腎機能障害は、膵炎で普通に生じますからGPTの高値は膵炎関連のものの可能性が高いでしょう。

なお、膵炎が慢性か急性かということは、臨床症状と経過から判断しなければなりません。今回の膵炎は元々慢性膵炎を持っていたのが急性化した可能性があります。
慢性膵炎は、時々急性化しながらジミジミと燃えて行って、進行して行くと膵臓から出なければならない消化酵素が不足するようになったり、膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインスリンというホルモンが不足するようになって糖尿病になったりする可能性があります。

慢性膵炎は、主に低脂肪食を食べさせることによって管理して、時々の急性化には輸液や抗生物質などで対応して行くことになります。

今回の膵炎には、先に処方した肝臓関係の薬に加えて、抗生物質を処方するのと、低脂肪処方食を処方することで対応することにしました。

膵炎が痙攣を生じさせるというのは聴いたことは無いですが。抗痙攣剤は処方することは控えて、まず膵炎に対応してから痙攣発作が別に生じるかどうかを見極めて行こうと考えています。

膵炎に関連しては、急性慢性他疾患との係わりとか、それこそいろいろなパターンの症例が増えて来ています。
最近は自己免疫疾患との関連を疑わせるような子も治療中なのですが。その子についてはまだ帰趨が判明していませんので、後日にまとめてみたいと考えています。

ではまた。

 

 

 

グリーンピースわんにゃん訪問隊活動

本日第4金曜日は、市内の老人ホームへ犬猫子供連れでボランティア訪問に参加する日です。
今日は、学校が明日から春休みということもあって、近所の小中学校生徒とかの参加もあったりして、訪問ボランティアさんも多く参加され、賑やかなイベントになりました。
ベルジアン・マリノワゴーシュも随分賢くなり。早目にホームに行って、園庭でボール投げや咬み付きパッドの引っ張りっこ、服従作業のおさらいをやったりして。
時間が来て園の2階ホールに上がる前に、トイレに行く時などは伏せて待つことも出来るようになりつつあります。

ユリウス@素人ハンターの出猟日記

実際にホールでお年寄りの方々と触れ合う時も、お利口そのものです。

今日も可愛いお子様が参加されていまして。ゴーシュもお子様との接近遭遇を楽しんでおりました。

ユリウス@素人ハンターの出猟日記
ユリウス@素人ハンターの出猟日記

最後のミーティングで、入所2ヶ月のお年寄りで、日頃の生活ではスタッフの方とのコミュニケーションが上手く行かずに、介護拒否とでも言えるような状態になってしまっていて、いつも怒ったような感じの人が、本当に入所後初めてではないかというような満面の笑顔を見せてくれたと、園のスタッフさんが発言されたのが印象的でした。

5才のペキニーズの子宮蓄膿症

昨日来院された5才のペキニーズの女の子ですが。ここ1週間ほど食欲が低下して好物しか食べなくなっていたのが、来院当日の朝から下痢が始まったということでした。

このペキちゃんは、とにかく神経質な子で、飼い主様の娘さんが最近出産されて、お孫さんと一緒に里帰りする度にひどく嫉妬するのか?食欲不振に陥るのだということです。

しかし、一応検便に加えて血液検査と腹部エックス線検査を行なうことにしました。

検便では浮遊集虫法、直接塗抹法共に寄生虫は見つかりません。血液検査では総蛋白が高値ということ以外にはそんなに問題は無かったのですが。

腹部エックス線検査のフィルムを見ると。お腹の中に見えてはならない異常な陰影が見られます。

画像の矢印の位置辺りがそうなのですが。何か大きな塊状の物があるのです。

ペキちゃんは未避妊ですから、このような陰影を見れば、まず疑うのは子宮蓄膿症ということになります。

すぐに腹部エコー検査を実施したところ、陰影の正体はチューブ状になっていて内部に液体を貯めている構造であるということが判明しました。いよいよ子宮蓄膿症の疑いが強くなります。

当日午後には獣医師会の総会がありますので、ペキちゃんの状態から翌日の手術でも大丈夫だろうと判断して、乳酸リンゲル液の皮下輸液と抗生物質の皮下注射を実施して帰っていただきました。

午後に、獣医師会から帰ってみると、ペキちゃんの飼い主様から電話が入っていて、午後から2回吐いたのだが大丈夫だろうか?という事であります。

飼い主様も相当不安そうですし。その日のうちに残業して手術をしてしまうことにしました。

午後診の前に来院していただいて、前腕の静脈にカテーテルを留置し、乳酸リンゲル液をゆっくりと輸液しつつ午後診終了を待ちます。

午後7時から麻酔導入を開始し、お腹を開けてみました。

ペキニーズなどの短吻犬種の場合、軟口蓋の長さが異常に長くなっていて、それが咽喉に垂れ下がっていることが多く。ペキちゃんもそのために気管チューブの挿入に少し手間取りました。

開腹してみると、すぐにひどく腫大した子宮が現れます。

超音波メスを使用して速やかに摘出を行ないました。

私が手で保持しているのが腫大した子宮ですが。体重5キロ程度の小柄なペキニーズくらいだったら、細身のボールペンくらいの太さが正常です。それがバナナくらいの太さになっているのですから、大変なことになっております。

摘出した子宮をメスで突いてみると、濃厚な血膿が溢れ出て来ます。すぐに細菌培養と薬剤感受性試験を実施しました。

麻酔からの覚醒は順調で。夜間の状態も概ね良好で、私自身も一応生き物ですからずうっと見ているわけではなく、時々の容態観察のために細切れにしても睡眠は取りましたが、そう不安を感じることなく夜を過ごすことが出来ました。

夜が明けて、ペキちゃんは気分はかなり良さそうです。術中にモルヒネを使用したり、術後に3日間効果が持続するフェンタニルパッチという麻薬の貼付剤を使用しておりますので、疼痛はほとんど感じていないと思います。

しかし、手術前の状態がかなりの食欲不振があったりと、それなりに状態が悪かったのと、ひどく怖がりで神経質な子であるためか、手術翌日の午後に差し掛かってもまだ食事を食べようとはしません。

術後は数日間静脈輸液を実施して、普通に食べるようになれば退院という事になりますが。早く回復してもらいたいところであります。

でも、子宮蓄膿症。乳腺腫瘍と共に早期の卵巣子宮全摘出によって防ぐことが出来る病気です。牝犬を飼われている方は、繁殖予定が無いようであれば、早目に避妊手術を実施された方が良いと思います。