兵庫県加古川市|グリーンピース動物病院 の 院長ブログ

院長ブログ

「日常のケア」

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

「日常のケア」

動物病院で定期検診を受けることは、犬猫の健康を守るうえで非常に大切です。しかし、健康管理は検診だけで完結しません。むしろ、検診は“点”であり、日常のケアは“線”です。線が整っているから点が活きる。定期検診の結果を日々の暮らしに落とし込み、予防や生活習慣の改善につなげることで、健康管理は初めて実効性を持ちます。ここでは、定期検診とセットで考えたい「日常のケア」と「備え」について整理します。

まず、予防の領域です。ワクチンや寄生虫予防は、定期検診のタイミングで見直すと効率的です。犬では混合ワクチンや狂犬病予防接種、フィラリア予防、ノミ・ダニ予防が代表的です。猫でも生活環境によってワクチンや寄生虫対策が必要になります。重要なのは、予防は「一律」ではなく、その子の暮らしに合わせて調整することです。室内飼育か、散歩の頻度はどうか、多頭飼育か、外部との接触がどの程度あるか、旅行やペットホテル利用があるか。こうした条件によって、必要な予防の優先順位や方法は変わります。定期検診は、その調整を獣医師と相談できる機会です。

次に、体重管理と食事の見直しです。体重は健康の指標であり、肥満は多くの病気のリスクを高めます。一方で、急な体重減少も見逃してはいけないサインです。日常的に体重を測るのが難しい場合でも、月に一度程度、家庭用の体重計で抱っこして測るなど、無理のない方法で把握すると役立ちます。食事については、フードの種類だけではなく、与える量、おやつの比率、食べ方、食事回数、家族の誰が与えているかといった運用面が重要です。「良いフードを買っているのに太る」という場合、実はおやつや人の食べ物が影響していることもあります。定期検診の際に、フード量の目安や体型評価を確認し、日常の与え方を修正することは、最も効果が出やすい健康投資の一つです。

口腔ケアも、日常の積み重ねが結果を左右します。歯周病は非常に多く、進行すると口腔内の痛みだけでなく、食欲低下や体調不良の原因になります。理想は歯磨きですが、すべての子がすぐに受け入れられるわけではありません。まずは口周りに触れる練習、ガーゼで拭く、歯磨きペーストに慣れるなど、段階的なステップが現実的です。定期検診で口腔内の状態を確認し、今の段階に合ったケア方法を相談することで、挫折しにくくなります。歯科処置が必要な場合も、早めに相談して計画を立てることが、動物の負担を減らすことにつながります。

運動と環境整備も重要です。犬は散歩が基本ですが、散歩の質は年齢や体調で変わります。若い頃と同じ距離やペースがシニア期には負担になることもありますし、逆に運動不足で筋力が落ちると、関節や姿勢に悪影響が出ることもあります。猫の場合は運動量が減りやすいため、遊びの工夫や上下運動ができる環境づくりが役立ちます。ただし、関節痛がある猫では高い場所への移動が負担になることもあり、スロープや段差の調整が必要になる場合があります。定期検診で体型や筋肉量、関節の状態を評価し、日常の運動や環境の方向性を決めることは理にかなっています。

さらに、家庭でできる「観察」を習慣にすることも大切です。観察といっても、特別なことをする必要はありません。食欲、飲水、排尿・排便の状態、呼吸、歩き方、毛艶、皮膚、耳の汚れ、口臭、目やに、活動量、睡眠、触られ方の変化。こうした項目を、日常の中で“なんとなく”把握するだけでも、変化に気づきやすくなります。特に飲水量や排尿量の変化は、腎臓や内分泌の病気の早期サインになることがあります。嘔吐や下痢も、回数や状況を記録しておくと診察で判断しやすくなります。定期検診は、こうした日常情報を整理し、プロの視点で評価してもらう場でもあります。

最後に、緊急時の備えについて触れておきます。病気や事故は、休日や夜間に起こることもあります。いざという時に慌てないために、かかりつけ病院の診療時間、夜間救急の連絡先、移動手段、キャリーの準備、ペットの既往歴や服用薬の情報をまとめておくことは大切です。さらに、災害時の備えとして、フードや水、常備薬、トイレ用品、予備の首輪やリード、ワクチン証明のコピー、写真などを準備しておくと安心です。定期検診のタイミングで、健康状態や薬の情報を更新しておくと、緊急時に情報が整理されている状態になります。

定期検診は、健康管理の中心でありながら、日常ケアと組み合わせることで最大の価値を発揮します。病気を探すためだけの行事ではなく、生活を整えるための節目として活用する。検診で得た情報を、食事、運動、口腔ケア、予防、環境づくり、観察、備えに落とし込む。そうして初めて、動物病院の定期検診は「健康を守る仕組み」として機能します。犬猫の健康は、飼い主が日々の暮らしの中で守る部分が大きいからこそ、病院と家庭がつながる形が重要です。定期検診は、そのつながりを作るための、最も現実的で有効な方法の一つなのです。

年齢とともに変わるリスクと検診の考え方

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

年齢とともに変わるリスクと検診の考え方

犬や猫は、人間よりも早いスピードで年を重ねます。若い時期は元気で、多少の不調もすぐ回復してしまうため、「うちの子は丈夫だ」と感じる飼い主も多いでしょう。しかし年齢を重ねると、体の変化は少しずつ積み重なり、ある日突然、症状として表に出ることがあります。シニア期の定期検診が重要とされる理由は、この「静かな変化」を捉えるためです。シニア期の健康管理は、病気を怖がるためではなく、変化に合わせて暮らしを調整し、元気な時間を延ばすために行うものです。

犬猫のシニア期は、一般的に犬は体格によって始まる年齢が異なり、小型犬は比較的遅く、大型犬は早い傾向があります。猫は一定の年齢からシニアとされることが多いですが、個体差も大きいです。ここで重要なのは「年齢がシニアだから必ず病気になる」という見方ではなく、「年齢とともにリスクが上がる領域がある」という理解です。だからこそ、定期検診の内容や頻度を見直し、その子に合った形に調整していく必要があります。

シニア期に増える代表的な課題の一つが、腎臓の機能低下です。特に猫では慢性腎臓病が多く、初期には症状がほとんど出ないことがあります。水をよく飲む、尿量が増える、体重が少し減る、毛艶が落ちるなど、日常の中で見過ごされやすい変化が先行することもあります。定期検診で血液検査と尿検査を組み合わせることで、腎臓の変化を早めに捉え、食事の調整や水分摂取の工夫など、生活管理を早期に始められる可能性があります。進行を止めることは難しい場合でも、進行を緩やかにし、生活の質を保つことを目指せる点が大きな価値です。

心臓の病気も、年齢とともに増えやすい領域です。犬では僧帽弁閉鎖不全症などがよく知られていますが、初期には咳が少し出る程度、あるいは症状がないこともあります。猫でも心筋症などがあり、見た目だけでは分かりにくい場合があります。定期検診で聴診を受け、心雑音や不整脈の有無をチェックすることは、早期の気づきにつながります。必要に応じてレントゲンや超音波検査を組み合わせることで、より精密な評価が可能になります。心臓の病気は早期から適切な管理を始めることで、急な悪化のリスクを減らせることがあります。

歯周病もシニア期の重要課題です。歯石の蓄積や歯肉炎は若い時期から進行しますが、シニア期には重度化しやすく、口腔内の痛みや食欲低下につながります。さらに、口腔内の慢性炎症は全身に影響を及ぼす可能性も指摘されています。定期検診で口腔内を確認し、歯磨きの見直しや、必要なら歯科処置の検討をすることは、シニア期の生活の質を大きく左右します。食べることは生活の中心です。食べる力を守ることは、シニア期の幸福を守ることに直結します。

関節や筋肉の問題も、年齢とともに目立ちやすくなります。犬では関節炎、椎間板疾患などのリスクが増え、猫でも加齢による関節の痛みが行動の変化として現れることがあります。高いところに上らなくなる、遊ばなくなる、寝ている時間が増える、触られるのを嫌がるなど、飼い主が「性格が変わった」と感じるような変化の背景に、痛みが隠れていることもあります。定期検診では、歩き方や関節の可動域、筋肉量などを評価し、必要なら体重管理や運動の調整、サプリメントや治療の相談ができます。痛みを我慢させないことは、シニア期の大切な配慮です。

シニア期の定期検診で特に意識したいのは、頻度の見直しです。若い時期に年1回で十分だった子でも、シニア期には年2回を目安に検討すると、変化を捉えやすくなります。動物は人よりも加齢変化が早く、半年の間に状態が変わることもあります。もちろん、頻度は個体差があります。持病の有無、体質、生活環境、ストレス耐性などを踏まえて、獣医師と相談して決めることが重要です。

もう一つ大切なのが、検診が「検査中心」になりすぎないことです。シニア期の健康管理は、検査で異常を探すだけでなく、暮らしの工夫によって快適さを守ることが目的です。食事を消化しやすい形にする、水を飲みやすい場所に増やす、滑らない床にする、段差を減らす、寒暖差を調整する、トイレを行きやすい位置にする。こうした生活の整備は、検査以上に生活の質に影響します。定期検診は、その工夫の方向性を獣医師と一緒に考える場にもなります。

シニア期は、病気のリスクが増える一方で、飼い主と動物の関係がより深まる時期でもあります。若い頃のように走り回らなくても、穏やかな時間を一緒に過ごすことが増えます。その時間をできるだけ長く、快適にするために、定期検診は力を発揮します。変化を早く知り、適切に整える。それは恐れではなく、愛情の具体的な形です。シニア期の定期検診は、老いを悲観するためではなく、今ある元気を大切に守るための習慣なのです。

定期検診で「何をするのか」

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

定期検診で「何をするのか」

動物病院の定期検診を受けようと思ったとき、「具体的に何をするのか」「どんな検査が必要なのか」「結果はどう見ればいいのか」が分からず、少し不安になる飼い主も多いでしょう。検診という言葉は、どうしても人間の健康診断を連想させ、数値で一喜一憂してしまうこともあります。けれど、動物の定期検診で最も大切なのは「その子の基準を作り、変化を追う」ことです。単発の数値だけで判断するのではなく、生活環境や年齢、体質、過去の履歴と合わせて総合的に捉えることで、検診がより有意義になります。

定期検診の基本は、問診と身体検査です。問診では、食欲、飲水量、排尿回数、排便の状態、運動量、睡眠、咳やくしゃみの有無、嘔吐、下痢、行動の変化などを確認します。ここで重要なのは、飼い主が「いつもと比べてどうか」を伝えることです。例えば、食欲が落ちたと言っても、全く食べないのか、食べる量が2割減ったのか、嗜好が変わったのかで意味が変わります。飲水量も、増えた気がするだけではなく、可能ならおおよその量を把握すると判断に役立ちます。難しければ、「水の減り方が明らかに早くなった」「トイレの砂の固まりが大きい」など、観察できる範囲の情報でも十分です。定期検診は、飼い主の観察と獣医師の診察が組み合わさって初めて精度が上がります。

身体検査では、体重と体型評価がまず重要です。犬猫の健康は、体重管理が大きく関わります。肥満は関節、心臓、呼吸、糖代謝などに負担をかけ、逆に急激な減量は内科的疾患や腫瘍などのサインになることもあります。体重の数字だけでなく、肋骨の触れ方、腰のくびれ、腹部の吊り上がりなどの体型評価が行われます。ここで「少し太った」「少し痩せた」を早期に捉えられると、生活改善だけで戻せる範囲で対処しやすくなります。結果として、治療が必要になるリスクを下げることにもつながります。

視診と触診では、皮膚や被毛、耳、目、口腔内、リンパ節、腹部臓器、関節などがチェックされます。特に口腔内は見落とされやすい領域です。歯周病は犬猫でも非常に多く、進行すると口臭だけでなく、痛み、食欲低下、さらには全身の健康にも影響を及ぼすことがあります。定期検診で歯石や歯肉炎を確認し、適切な歯磨き指導やスケーリングのタイミングを相談することは、長期的な健康維持に大きく役立ちます。また、皮膚の状態はアレルギーや内分泌疾患のヒントになることがあり、耳の状態は外耳炎の早期サインを拾いやすいポイントです。触診でしこりが見つかることもあり、早期の段階で検査や経過観察に入れることは大きなメリットです。

検査としてよく行われるのが血液検査です。血液検査は、肝臓、腎臓、血糖、電解質、貧血、炎症反応など、体の内部状態を幅広く把握できます。ただし、血液検査の数値は、その日の状況やストレス、食事、運動などで変動することがあります。そのため、単発の数値を見て過剰に心配するのではなく、獣医師の解釈を聞きながら「この子にとってどうか」「前回と比べてどうか」を見ることが大切です。例えば基準範囲内でも、毎年少しずつ腎臓関連の値が上がっているなら、早めに食事や水分摂取、生活環境の見直しを検討するきっかけになります。逆に、少し外れていても一過性の可能性がある場合は、再検査や経過観察で判断することもあります。検診は「数値の善悪」ではなく「変化の読み取り」を重視することで、意味が深まります。

尿検査は、腎臓や泌尿器の健康状態を把握するうえで重要です。特に猫は慢性腎臓病や尿路疾患が多く、尿比重や尿蛋白、潜血、結晶の有無などの情報が役立ちます。尿検査は採尿が難しいこともありますが、可能な範囲で取り組む価値があります。便検査は寄生虫や腸内状態の確認に役立ち、特に子犬子猫や多頭飼育の環境では重要性が高まります。フィラリアやノミ・ダニなどの予防薬の計画も、検診時に見直すと合理的です。生活環境が変わったとき、散歩コースが変わったとき、旅行に行くときなど、予防が必要な範囲は変動するためです。

シニア期に入ると、レントゲンや超音波などの画像検査が検討されることもあります。画像検査は、血液検査では見えにくい心臓や肺、腹部臓器の形態変化、腫瘤の有無などを把握する助けになります。もちろん、すべての動物に毎回必要なわけではありません。年齢、既往歴、リスク、体調などを踏まえて、獣医師と相談しながら優先順位を決めることが大切です。定期検診の目的は、過剰に検査を増やすことではなく、その子にとって必要な情報を効率よく得ることにあります。

飼い主が検診をより有意義にするためにできることは、いくつかあります。第一に、普段の変化をメモしておくことです。食欲、飲水、排泄、咳、嘔吐、下痢、活動量、睡眠、行動の変化、体重の変化など、気になったことを短く記録するだけで診察の精度が上がります。第二に、食事内容やおやつ、サプリメント、予防薬の種類を把握しておくことです。第三に、検査結果を保管し、前回との比較ができるようにすることです。動物病院でも履歴は残りますが、飼い主が理解していると、生活改善の動機づけにもなります。

定期検診は、動物病院が一方的に「検査をする場」ではなく、飼い主と獣医師が共同で「健康を維持する計画」を作る場です。検診の結果をもとに、体重管理、運動、食事、口腔ケア、予防プラン、ストレス対策など、生活全体を調整していく。こうして初めて、検診は単なるイベントではなく、健康を守る習慣になります。検査の意味を知り、結果を変化として捉えることで、定期検診はより安心に、より価値あるものになっていきます。

「元気を守る」ため

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

「元気を守る」ため

動物病院の定期検診という言葉を聞くと、「病気かもしれないから行く」「何か症状が出たら受診する」というイメージが先に立つ方も多いかもしれません。しかし、定期検診の本当の価値は“病気を見つけること”だけではありません。むしろ、症状が出る前から体の変化を捉え、治療が必要になる前に生活を整えたり、必要があれば早い段階で対策を始めたりすることで、動物の「元気な時間」を長く守ることにあります。犬や猫は人のように「ここが痛い」「息苦しい」「最近だるい」と言葉で伝えることができません。そのため、飼い主が気づく頃には進行しているケースも少なくありません。定期検診は、そのギャップを埋めるための“健康の点検”であり、家族としての安心を支える習慣です。

まず大前提として、動物の体調変化は「我慢」や「隠す」傾向があると言われます。野生の本能として、弱っている姿を見せることがリスクになるため、体調不良を表に出しにくいという面があります。家庭で暮らす犬猫であっても、この傾向は残っています。食欲が少し落ちても、まだ食べているように見える。運動量が減っても、「年齢のせいかな」と受け取ってしまう。呼吸が少し荒くても、暑いだけかもしれないと判断してしまう。こうした日常の小さな変化は、忙しい生活の中では見逃されがちです。定期検診は、プロの視点と検査を通じて、目に見えない変化を拾い上げる役割を果たします。

定期検診で確認できる項目は多岐にわたります。一般身体検査では、体重、体温、心拍数、呼吸状態、粘膜の色、脱水の有無、リンパ節、皮膚・被毛、耳・口腔内、触診による腹部臓器の状態などを確認します。これらは一見基本的な確認に思えるかもしれませんが、実は「基準」を積み上げることで大きな意味を持ちます。例えば、体重が少しずつ増えているのか減っているのか。増減の幅はどれくらいか。被毛の艶や皮膚の状態が季節と合っているか。歯石や歯肉炎が進んでいないか。こうした変化を“毎年同じ条件で記録する”ことで、その子の健康の軌跡が見えるようになります。これが定期検診の強みです。体調が崩れたときに「普段と比べてどうか」を判断できる材料があることは、治療の質にも直結します。

さらに、血液検査や尿検査、便検査などのスクリーニング検査は、症状が出にくい病気の早期発見に有効です。猫では慢性腎臓病が比較的多く、初期にははっきりした症状が出ないことがあります。犬では肝臓や内分泌の病気、心臓の病気などが年齢とともに増え、初期段階では「少し疲れやすい」「水をよく飲む」程度の変化で済んでしまうこともあります。これらの病気は、早期に気づき生活管理や治療を始めることで、進行を緩やかにし、負担を減らせる可能性があります。定期検診は「早く見つけて、軽いうちに支える」ための仕組みです。

ここで強調したいのは、定期検診が「不安を増やすもの」ではなく、「不安を減らすもの」だという点です。検査を受けると何かが見つかるかもしれない、という気持ちは自然です。しかし、もし異常が見つかったとしても、早い段階で把握できるほど、選べる選択肢は増えます。治療が必要ない段階で生活改善をすれば済むこともありますし、軽い投薬や食事管理で良好な状態を保てることもあります。逆に、受診を先延ばしにして症状が強くなってからでは、治療が大がかりになり、動物の負担も飼い主の負担も大きくなります。定期検診は、未来の負担を軽くするための備えでもあります。

また、動物病院の定期検診には、病気の早期発見以外の価値もあります。例えば、ワクチンや寄生虫予防の計画を見直す機会になります。地域の感染症状況、生活環境、外出頻度、同居動物の有無などによって、適した予防プランは変わります。定期的に獣医師と相談し、その子と家族の暮らしに合った形に更新することが重要です。さらに、食事や体型、運動量、行動の変化について相談できるのも定期検診のメリットです。飼い主が抱える「これって普通?」「年齢的にどう?」という疑問は、ネット検索では答えが分かりにくいことが多く、個体差も大きい領域です。かかりつけ医がいることで、その子の過去のデータや性格、生活環境を踏まえたアドバイスを得やすくなります。

定期検診を習慣にするうえで大切なのは、「症状がないときこそ行く」という発想です。もちろん、症状があるときは早めに受診することが重要ですが、症状がないときに診てもらうことで、動物病院が“緊急時だけの場所”ではなく、“健康を支える場所”になります。これが飼い主にとっても動物にとっても安心につながります。病院に慣れるという点でもメリットがあります。普段から病院に慣れていれば、いざというときに極端なストレスを感じにくくなります。特に猫は環境変化が苦手な子も多いため、病院に行く回数が少ないほどストレスが大きくなることがあります。定期的な受診は、病院での経験を“特別な恐怖”にしないための一助にもなります。

定期検診の頻度は、年齢や持病、生活環境によって異なります。若く健康な時期は年に1回を目安にし、シニア期に入ったら年に2回を検討するなど、獣医師と相談しながら決めるのが現実的です。大切なのは「うちの子に合った頻度」を継続することです。定期検診は、魔法のように病気を消すものではありません。しかし、日々の暮らしの中で見えにくい変化を拾い、対策を早め、健康な時間を延ばすための現実的な手段です。動物病院の定期検診は、家族としての責任を増やすものではなく、家族としての安心を増やす習慣なのです。

 

呼吸・咳・寝姿の異変

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~呼吸・咳・寝姿の異変~

 

 

呼吸の異常は、ペットの命に直結するサインです。
犬や猫が「息が荒い」「咳が続く」「口を開けて呼吸する」「寝方が変わった」といった変化を見せたら、すぐに動物病院へ連れて行くべきです。
ここでは、呼吸器系の異変が示す疾患と緊急度について解説します。

まず、呼吸が速い・浅い場合は、熱中症・肺炎・心不全・気道閉塞などが疑われます。特に口を開けて呼吸する猫は非常に危険で、酸素不足に陥っている可能性があります。
また、夜間に咳をする犬は、気管虚脱や心臓病が原因のことが多いです。高齢の小型犬に多く見られ、放置すると肺水腫を起こすこともあります。

呼吸器疾患だけでなく、胸腔内の腫瘍や横隔膜ヘルニア、貧血なども呼吸異常の原因になります。
症状の進行は早く、数時間単位で悪化するケースもあります。
特に「呼吸時に腹部が大きく動く」「舌や歯茎が紫色になる」「伏せたまま動かない」などのサインがある場合は、一刻を争います。

病院ではレントゲン・超音波・酸素飽和度の測定などで緊急性を判断します。
診察までの間は、無理に動かさず静かな環境で休ませ、体を冷やしすぎないよう注意しましょう。

呼吸器の異常は、飼い主の観察力が最も重要です。
普段の呼吸数を知っておくことで、変化にいち早く気づけます。犬では安静時に1分間あたり15〜30回、猫では20〜40回程度が目安です。
スマートフォンで動画を撮り、獣医師に見せることで、より正確な診断につながります。

呼吸のリズムは命の鼓動そのもの。
「おかしい」と感じたら、迷わず受診することが、最愛の家族を守る第一歩です。

皮膚や毛並みの異変

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~皮膚や毛並みの異変~

 

ペットの皮膚は健康のバロメーターです。毛づやが悪くなったり、掻きむしりが増えたりする場合、そこには体の内側の異常が隠れていることがあります。
動物病院でも、皮膚疾患の相談は非常に多く、季節や環境、食事内容などが密接に関係しています。

代表的な症状としては「かゆみ」「赤み」「フケ」「脱毛」「ベタつき」「臭い」などが挙げられます。
例えば、ノミ・ダニによる外部寄生虫が原因の場合は、首回りや背中、尻尾の付け根などを集中的に掻くことが多く、赤い発疹や脱毛が見られます。
一方、アレルギー性皮膚炎では、顔や手足の先端、耳などにかゆみが出やすく、慢性化すると皮膚が黒ずんで厚くなります。
食物アレルギーでは特定のタンパク質や添加物が原因になることもあり、血液検査や除去食試験での確認が必要です。

また、皮膚トラブルは内臓疾患と関係することもあります。
肝臓や腎臓が弱っている場合、老廃物の排出が滞り、皮膚の代謝異常として現れるケースもあります。
特に高齢犬・猫ではホルモンバランスの乱れ(副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症など)による脱毛が見られることがあり、皮膚だけでなく全身検査が欠かせません。

スキンケアの基本は「清潔・保湿・防虫」です。
しかし、頻繁なシャンプーは逆効果になる場合もあります。皮膚のバリア機能が低下している子には、薬用シャンプーや低刺激タイプを医師の指導のもとで使用しましょう。
また、食事の質も重要です。オメガ3脂肪酸やビオチン、亜鉛などを含むフードは皮膚再生を助け、炎症を抑える効果が期待できます。

皮膚の異変は「目に見える病気」です。
早期に治療を始めれば、痒みのストレスを軽減し、再発も防ぐことができます。飼い主の観察と病院での定期的な皮膚チェックを習慣化しましょう。

食欲不振・下痢・嘔吐

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~食欲不振・下痢・嘔吐~

 

 

ペットの体調不良で最も多い相談の一つが「食べない」「吐く」「下痢をする」です。これらは一見すると軽い症状のように見えますが、実際には重大な疾患の入り口であることが少なくありません。
今回は、胃腸の異変が示す体内のサインを掘り下げていきましょう。

まず、食欲不振が一日続いた場合は要注意です。犬や猫は24時間食べないだけでも脱水や低血糖を起こすことがあり、小型犬や子猫では命に関わることもあります。
食欲不振の背景には、胃炎・膵炎・腎不全・肝臓疾患など、消化器以外の臓器の異常が関係することも多く、単なる“好き嫌い”や“わがまま”と判断するのは危険です。

嘔吐はもっともわかりやすい異変の一つですが、「何回吐いたか」「内容物に血や泡が混じっていないか」「食後か空腹時か」によって原因が大きく異なります。
空腹時の黄色い液体は胆汁性嘔吐症候群の可能性があり、食後すぐの嘔吐は誤食や胃の拡張、または消化不良が考えられます。
猫の場合、毛玉による嘔吐と病的な嘔吐の見分けも大切です。毛玉が混じっていないのに頻繁に吐く場合は、胃潰瘍や腎不全などの内臓疾患の兆候である可能性もあります。

下痢も同様に、原因は多岐にわたります。急性の下痢ではウイルス感染や食中毒、慢性的な下痢では寄生虫や炎症性腸疾患、アレルギー性腸症などが考えられます。
特に子犬・子猫は体内水分量が少ないため、短時間で脱水を起こします。便の状態(軟便・水様便・血便など)を観察し、写真を撮って記録しておくことは診断に大変有効です。

動物病院では便検査や血液検査、エコーなどで原因を特定します。
自己判断での整腸剤や絶食は、かえって症状を悪化させる場合もあります。
「一晩様子を見る」ではなく、「半日で変化を確認する」くらいの意識で早めに受診することが大切です。

小さなサインを見逃さない

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~小さなサインを見逃さない~

 

 

動物たちは言葉を話すことができません。そのため、飼い主が頼りにできるのは「行動」と「表情」、「体の動き」などの小さな変化です。犬や猫、うさぎ、ハムスターなど、どのペットも共通して“異変のサイン”を体で表しています。
ここでは、動物病院の現場でよく見られる「行動の変化」から読み取れる異常の可能性を詳しく掘り下げていきます。

たとえば犬の場合、「急に元気がなくなった」「散歩を嫌がるようになった」「好きだったご飯を残すようになった」といった変化は要注意です。特に食欲の低下は、内臓疾患や口腔トラブルの前触れであることが多く、慢性的な腎臓病や肝臓病、口内炎などが隠れているケースがあります。
猫の場合は「隠れるようになった」「撫でると嫌がる」「トイレの回数が増えた」など、些細な違いにも注目しましょう。猫は特に体調不良を隠す傾向があり、飼い主が気づいた時には進行していることも少なくありません。

動物病院で診察を受ける際、獣医師に伝える情報は非常に重要です。
「昨日までは元気だった」「朝からトイレに行っていない」「鳴き方が変わった」など、具体的な観察メモを持参すると診断の精度が格段に上がります。特にスマートフォンで動画を撮っておくと、歩き方や呼吸のリズムなどが客観的に確認でき、有力な手がかりになります。

また、季節の変わり目や気圧の変化もペットに影響を与える要素です。体温調整がうまくできない子は、軽い熱中症や低体温を起こすことがあります。環境の変化に敏感な子ほど、ストレス性の消化不良や皮膚炎を引き起こすこともあるため、生活リズムの維持と観察が欠かせません。

動物病院では「早期発見・早期治療」が基本です。行動の変化を“性格”と片づけず、医学的なサインと考えてみることで、命を救う可能性が広がります。

猫の「年齢」と「猫種」から読み解く

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~猫の「年齢」と「猫種」から読み解く~

 

猫の健康管理は「現在の状態」だけでなく、**年齢(ライフステージ)猫種(遺伝的背景・体型)**を前提に考えると精度が大きく上がります。本稿では、臨床での観察ポイントを軸に、年齢別の身体変化・疾患リスク、主要猫種の身体的特徴と特有リスク、検診・栄養・運動・生活環境の調整指針までを体系的に解説します。


年齢からみる身体的特徴と注意点

1. 幼猫期(0〜6か月)

  • 身体的特徴:骨格・筋肉・神経発達が急速。体温調節が未熟、脱水に弱い。乳歯から永久歯へ交換(生後3〜6か月)。

  • 臨床上の要点

    • 低血糖・脱水の早期進行に注意。

    • ワクチン、寄生虫対策、早期の社会化。

    • 栄養は高エネルギー・高消化性。カルシウムとリンの比率(Ca/P)を適正に。

2. 若齢期(7か月〜2歳)

  • 身体的特徴:成長完了。性成熟・行動の活発化。

  • 臨床上の要点:避妊去勢後は代謝低下と食欲増進のギャップで体重増加を招きやすい。2〜4週間で給餌量の微調整が必要。

3. 成猫期(3〜6歳)

  • 身体的特徴:代謝は安定。筋量維持がQOLを左右。

  • 臨床上の要点:歯周病や下部尿路疾患(FLUTD)の初発が増える。ストレスやトイレ環境を整え、体重・飲水量・排尿習慣の定期チェック。

4. 中高齢期(7〜10歳)

  • 身体的特徴:基礎代謝の低下、脂肪量増加、筋量緩徐低下。

  • 臨床上の要点:慢性腎臓病、甲状腺機能亢進症、関節疾患のスクリーニングを開始。年1〜2回の血液・尿検査、血圧測定を推奨。

5. シニア期(11歳以上)

  • 身体的特徴:サルコペニア(筋肉減少)、感覚低下、認知機能の変化。食欲と嗜好の変動、脱水傾向。

  • 臨床上の要点:体重・筋肉量・水分摂取の細やかな管理。関節痛、認知機能変化、心腎疾患、歯周病の併発に注意。投薬・栄養・環境(段差、保温、夜間照明)を総合調整。


猫種からみる身体的特徴と特有リスク

純血種だけでなく、混血でも親系統の影響が見られることがあります。以下は診療で頻繁に考慮する代表的な特性です。

スコティッシュフォールド/ストレート

  • 体型・特徴:中型、骨軟骨形成の遺伝的要素。

  • 要注意点:骨関節の痛み・可動域制限、尻尾や四肢末端の硬直。若齢でも跛行やジャンプ回避があればX線評価を検討。体重管理と痛み評価が柱。

マンチカン

  • 体型・特徴:短肢。脊椎・関節への負荷が個体差で大きい。

  • 要注意点:段差の少ない環境、爪とぎ位置の低さ、ジャンプの回数を減らすレイアウト。関節痛の早期サインに着目。

ブリティッシュショートヘア

  • 体型・特徴:筋肉質でがっしり。

  • 要注意点:体重過多による関節・心負担。心筋症(HCM)のスクリーニングを年1回以上で検討。

メインクーン

  • 体型・特徴:大型。成長がゆっくり。

  • 要注意点:HCMリスクの評価、関節・股関節の管理。給餌はゆるやかな成長曲線を意識。

ノルウェージャンフォレスト/サイベリアン

  • 体型・特徴:長毛・二重被毛。

  • 要注意点:毛球症予防に整毛・繊維設計。体表観察が難しいため体重・触診での被毛下の筋量評価を重視。

ペルシャ系(チンチラ含む)

  • 体型・特徴:扁平顔(短頭傾向)、長毛。

  • 要注意点:涙やけ、鼻涙管狭窄、歯列不整。眼・鼻の毎日ケア、歯科検診の頻度を上げる。

シャルトリュー/ロシアンブルー

  • 体型・特徴:引き締まった中型、被毛密。

  • 要注意点:ストレス感受性の高さが見られる個体も。環境変化は段階的に。膀胱炎予防に飲水施策。

ラグドール

  • 体型・特徴:大型で温和。抱き上げに力が抜けやすい。

  • 要注意点:肥満管理、HCMのスクリーニング。被毛ケアで皮膚トラブル予防。

アビシニアン/ソマリ

  • 体型・特徴:スリムで活発。

  • 要注意点:高活動に見合うエネルギーと環境エンリッチメント。消化器の敏感さがみられる個体は食事の変更を段階的に。

ベンガル

  • 体型・特徴:筋肉質・高活動。

  • 要注意点:運動・探索環境の不足による問題行動とストレス関連疾患の予防。高たんぱく高消化性の栄養設計。

スフィンクス

  • 体型・特徴:無毛〜短毛。体温喪失が早く、皮脂管理が難しい。

  • 要注意点:保温・皮膚清拭・皮脂バランスの維持。紫外線対策。


年齢 × 猫種で変わる実務ポイント

1) 体重・筋肉量(BCS/MCS)の評価

  • 長毛種や大型種は見た目での肥満・痩せの判定が難しいため、触診(肋骨・腰背筋)と体重推移を併用。

  • シニア期は筋量の維持を最優先。高消化性のたんぱく質と適度な運動、段差・高さを安全に使える環境を整える。

2) 心臓のスクリーニング

  • メインクーン、ラグドール、ブリティッシュなどは**心筋症(HCM)**の家系的素因を考慮し、年1回以上の聴診・心エコー(必要に応じ)を検討。

3) 関節・骨格

  • スコティッシュ、マンチカンは若齢でも関節痛が潜むことがある。段差の最適化、体重管理、痛み評価スケールをルーチン化。

  • 大型種や高齢猫は滑りにくい床材、高低差の緩やかな導線に。

4) 皮膚・被毛・口腔

  • 長毛種は毛球症対策(整毛・繊維・水分)。

  • 扁平顔では涙やけ・呼吸の細やかなケア。

  • 全猫種で歯周病対策(定期スケーリング、在宅歯みがき導入)。加齢で歯根病変の発生率が上がる。

5) 泌尿器

  • ストレス感受性の高い個体・長毛で飲水が少ない個体はFLUTDリスクが上がる。飲水デザイン(循環式給水器、器の材質・設置数)、トイレ環境最適化(頭数+1台、清潔、静寂)。


栄養・運動・環境の調整

栄養

  • 年齢別:幼猫は高エネルギー・高消化性。成猫は体重維持を基軸。シニアは腎・関節・口腔の状態に合わせて処方。

  • 猫種別:大型種は成長が緩やかなため過栄養に注意。扁平顔は食器の高さ・形状で摂食効率を補助。皮膚に課題のある猫は脂肪酸バランスやたんぱく源に配慮。

  • 共通:急な切替は避け、7日程度で段階移行。水分はウェット併用やぬるま湯で強化。

運動・行動

  • 活動性の高い猫種(ベンガル、アビシニアン)には上下運動と探索の機会を。

  • シニアや関節が弱い猫には緩やかな段差、低めのキャットタワー、滑り止めを導入。短時間の遊びを高頻度に。

環境

  • トイレ:猫数+1、広さと深さは個体の好みに合わせ、砂は継続性重視。

  • ストレス低減:隠れ家・高所・見通しの良い場所を確保。来客・模様替えは段階的に。

  • 保温・保湿:幼猫・高齢猫・無毛種では季節変動に敏感。冬季はベッドの保温、夏季は直射日光と冷房のバランス。


年齢・猫種別の検診プラン(目安)

  • 幼猫〜若齢:月齢に応じたワクチン・寄生虫対策、6か月齢で避妊去勢相談、歯列・乳歯残存のチェック。

  • 成猫(年1回):身体検査、体重・BCS/MCS、口腔・歯科、便・尿の基礎検査。猫種に応じ心エコーなど追加。

  • 7歳以上(年1〜2回):血液検査(腎肝・甲状腺)、尿検査、血圧、歯科評価。HCMリスクがあれば心臓検査を定期化。

  • 11歳以上(年2回以上):上記に加え、認知・関節・体液バランスの評価。投薬・食事・環境の三位一体でアップデート。


ご家庭で見逃したくないサイン

  • 体重変動(±5%以上/月)、被毛艶の低下、毛づくろいの減少

  • ジャンプ回避、階段や高所への躊躇、歩幅の変化

  • 飲水量やトイレ回数・時間の変化、血尿・排尿時の鳴き

  • 食欲の波、丸呑み・食べこぼし、口臭・よだれ

  • 夜間の徘徊、鳴き、睡眠リズムの変化(高齢)


まとめ

猫のケアは「いま目の前の症状」だけでなく、年齢で予測される変化猫種の身体的特性を重ね合わせて設計すると、予防と早期発見の精度が高まります。体重・筋肉量・飲水・トイレ・行動を定点観測し、猫種に応じた心臓・関節・皮膚・歯科の重点領域を定めることが実務の核心です。気になる変化があれば、些細なことでも遠慮なくご相談ください。ご家庭と病院で役割を分担し、猫それぞれの個性と年齢に寄り添うケアを一緒に作っていきましょう。

犬の年齢・体況に合わせた食事コントロール

皆さんこんにちは

グリーンピース動物病院の更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~犬の年齢・体況に合わせた食事コントロール~

 

「何をどれだけ食べさせれば良いのか」は、年齢・体格・去勢有無・活動量・持病の有無で大きく変わります。食事は治療そのものでもあり、逆に合わない食事は疾患のリスクを高めます。本記事では、来院時に私たちが実際に行う評価手順と、ライフステージ別・体況別・疾患別の食事設計を体系化して解説します。


食事設計の前提:評価のフレーム

1) 体重・体型(BCS)と筋肉量(MCS)

  • BCS(Body Condition Score):1〜9段階で理想は4〜5。肋骨が軽く触れる、腰にくびれ、上から見て砂時計型。

  • MCS(Muscle Condition Score):側頭筋・肩甲・腰背筋の量を触診。加齢や疾患で痩筋(サルコペニア)が進行していないかを別軸で評価。

2) 活動量と生活環境

  • 室内主体・散歩時間・スポーツ(アジリティ、嗅覚作業)・気温湿度・留守時間。

  • 去勢・避妊後は代謝が低下し食欲が増す傾向があるため、2〜4週間での摂餌量見直しが必須。

3) ライフステージ

  • 成長期(子犬)維持期(成犬)高齢期(シニア)妊娠・授乳期で栄養要件が異なる。

  • 大型犬の成長期は長く、骨成長管理(Ca/P比とエネルギー過多の回避)が最重要

4) 既往歴・内科疾患・薬剤

  • 慢性腎臓病、膵炎既往、肝胆道疾患、消化器疾患、尿路結石、アレルギー、糖尿病、心疾患、甲状腺機能など。


摂取量のベース:必要エネルギーの考え方

1日の基礎計算は**RER(安静時必要エネルギー)**から始めます。
RER = 70 × 体重(kg)^0.75

ここに生活ステージや活動量に応じた係数を掛けて**MER(維持必要エネルギー)**を仮決めします。

  • 成犬・室内飼い:1.4〜1.6 × RER

  • 活動性が高い成犬:1.6〜2.0 × RER

  • 去勢・避妊後の成犬(活動低〜中):1.2〜1.4 × RER

  • 体重減量中:0.8〜1.0 × RER(初期設定、進捗で調整)

  • 成長期(子犬):

    • 体重成長が速い前半:2.0 × RER

    • 成長が落ち着く後半:1.6〜1.8 × RER

  • 妊娠後半(週数に応じて):1.3〜1.6 × RER

  • 授乳期(頭数による):2.0〜3.0 × RER

  • シニア(活動低):1.2〜1.4 × RER

※あくまで出発点。2〜4週間で体重・BCS・MCS・便性状を見て微調整します。


ライフステージ別の栄養設計

A. 成長期(子犬)

  • タンパク質:高消化性・必要量十分(一般に乾物換算で22〜28%目安、品種・製品で差あり)。

  • 脂質:エネルギー源。過剰は肥満・成長板への負荷に。

  • Ca/P比約1.2:1〜1.4:1を維持。特に大型犬の過剰Caは骨関節疾患のリスク

  • DHA/EPA:脳神経・視覚発達に寄与。

  • 給与回数:6か月齢までは1日3回、その後は2回へ。

  • 体重増加速度:急激な増量は避け、月次で理想曲線内を推移。

B. 維持期(成犬)

  • 体重維持と代謝に合わせたエネルギー調整が中心。

  • 去勢・避妊後:同じフードでも給餌量を10〜20%減から開始し、3週間で再評価。

  • 活動犬:脂質エネルギー比の高いフード、運動前の大量一気食いは胃拡張リスクのため回避。

C. シニア(高齢期)

  • MCS維持のため、高消化性で十分な必須アミノ酸を確保。

  • 慢性疾患リスクに応じてリン・ナトリウム・脂質の最適化可溶性・不溶性食物繊維の比率を調整。

  • 関節ケア:体重管理が第一。必要に応じてEPA/DHA、グルコサミン・コンドロイチン配合の処方食。

  • 腎泌尿器:検査値を見ながらタンパク・リンの段階的コントロール。

D. 妊娠・授乳

  • 妊娠前半は維持量、後半から徐々に増量

  • 授乳期は需要が最大。高エネルギーで高消化性、水分アクセスを十分に。1日3〜4回以上へ分割。


体況別の食事コントロール

1) 肥満・過体重

  • 目標体重の設定(現在体重の10〜20%減を段階目標)。

  • 低エネルギー高たんぱく・適正繊維の減量用療法食を使用。

  • 週1回の体重測定月1回のBCS/MCS評価

  • 間食は1日の総カロリーの10%以内、できればゼロへ。

2) 痩せ(低体重)

  • 吸収不良や内分泌疾患を除外。

  • エネルギー密度の高い高消化性フード、1日3回以上の分割。

  • 急な高カロリー導入は下痢の原因、3〜7日で段階移行

3) 胃腸が不安定・便の質に課題

  • **可溶性繊維(発酵性)**で腸内環境を整える処方食、脂質過多の回避。

  • 新しい蛋白源への切替は1〜2週間かけて

  • 長引く下痢・血便は検査で原因精査(寄生虫、炎症、IBD など)。


疾患別の要点(簡易ガイド)

詳細は検査値・病期で変わるため、必ず主治医の指示に従ってください。

  • 慢性腎臓病(CKD)
    早期からリン制限ナトリウム適正高消化性タンパクの質重視。脱水回避のためウェットや水分強化。

  • 膵炎既往
    低脂肪・高消化性、間食の脂質管理。急な食事変更・暴食回避。

  • 肝胆道疾患
    中鎖脂肪酸の活用や高消化性、銅含量の管理が必要なケースも。

  • 糖尿病
    一定の炭水化物量と食後血糖の安定、食事とインスリンのタイミング一貫性。

  • 食物アレルギー/不耐
    加水分解蛋白または新奇蛋白の療法食で8週間の厳格トライアル。おやつ・薬のカプセル原料にも注意。

  • 心疾患
    ナトリウム制限、体重・浮腫・咳のモニタリング、筋量維持。

  • 尿路結石
    結石タイプに応じた尿pH・ミネラル管理と水分強化。勝手な食事戻しは再発リスク。


給餌の実務:頻度・食器・水分・おやつ

  • 給与回数:子犬3回、成犬2回、疾患やシニアで血糖や消化に配慮が必要なら3回以上へ。

  • 食器:浅め・広口で食べやすく、早食いにはスローボウル。

  • 水分:複数箇所に新鮮水、ウェットの併用、ぬるま湯で嗜好性を上げる。

  • おやつ管理:総量の10%以内。しつけはフードの取り分けで代用可。


食事の切り替え手順(失敗しない移行)

  • 1〜2日目:旧:新=75:25

  • 3〜4日目:旧:新=50:50

  • 5〜6日目:旧:新=25:75

  • 7日目以降:新100%
    便が緩む場合は段階を戻し、移行を長めに設定。疾患時は個別計画に従う。


家庭でのモニタリングチェックリスト(週次)

  • 体重、BCS、触って分かる筋肉量の変化

  • 食欲と摂餌時間、食べ方(早食い・残す)

  • 便性状(形・硬さ・回数・色・におい)

  • 飲水量(器の減り、給水器の補充頻度)

  • 活動量・散歩距離・息切れの有無

  • 皮膚・被毛(フケ、艶、かゆみ)

  • シニアや疾患犬は月1回以上の通院モニタリングを推奨


よくある落とし穴

  • 袋の後ろを読まない:カロリー密度は製品ごとに大きく違う。計量スプーン依存は誤差を生みやすい。

  • おやつの積み重ね:小さな一口でも回数で大きなカロリーに。

  • 去勢・避妊後の“据え置き量”:代謝が落ちるのに量が同じ→体重増加。

  • 短期間で結果を求める:減量は毎週0.5〜1.5%の体重減を目安に、数か月単位で。


ケース別・簡易モデルプラン(例)

実際は体重・検査値・嗜好・生活を聞き取り個別処方します。

  • 避妊済み成犬・室内生活・軽運動
    MER=1.3×RER。高消化性・中等度脂質の維持食。1日2回、間食はフード取り分け。月1回の体重・BCS確認。

  • 活動犬(週4のアジリティ)
    MER=1.8×RER。脂質と必須アミノ酸を確保、運動前は軽食または空腹時間を十分とる。水分と電解質の回復を重視。

  • シニア・軽度の腎機能変化
    MER=1.2×RER。リン控えめ・高消化性・適正ナトリウム。ウェット併用で水分強化。3か月毎に血液・尿検査。

  • 減量プログラム
    目標体重設定→0.8〜1.0×RERから開始。高たんぱく・高繊維の減量療法食。週次計測、停滞期は5〜10%追加調整。


受診の目安

  • 2週間以上の体重変動(±5%以上)

  • 慢性的な軟便・嘔吐・食欲低下

  • 被毛の急な艶低下・皮膚トラブル

  • 急な多飲多尿、運動不耐性、咳や呼吸の変化

  • 去勢・避妊後の食欲増進と体重増加が止まらない


まとめ

食事コントロールは「フードの銘柄選び」だけではありません。RER→MERで量を仮決めし、BCS/MCS・活動量・便や被毛の状態で2〜4週間ごとに調整するのが実務の核心です。年齢・体況・疾患に応じた目的別の処方食を使い分け、水分・給与回数・おやつ・運動を含めた総合設計で、長期的な健康とQOLを守りましょう。気になる変化があれば早めにご相談ください。